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パレスチナ・ガザ地区:新しい外科プログラムを立ち上げ

2010年09月06日掲載

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最近、情勢が緩和しているにもかかわらず、ガザ地区への禁輸は継続されている。そのため、現地の医療には影響が出ており、また、ある特定の医療ニーズに関しては、依然として対応できていない。そこで国境なき医師団(MSF)は、この状況を調査してニーズを特定し、現地の保健衛生当局とともに再建外科手術プログラムの立ち上げを決めた。このプログラムでは、紛争の被害者、家庭内のやけど事故などを含む負傷者の治療を行う予定である。


プログラム立ち上げの背景

イスラエルによるガザ侵攻作戦「鋳造された鉛」(2009年1月)から1年半以上が経ったいまも、ガザ地区の保健衛生状況は不安定なままである。検問所が開放され、国際NGOによる援助があったにもかかわらず、特定の医薬品の供給が慢性的に不足した状態が続いており、現在も100種ほどの医薬品が保健省管轄の中央薬局でも全く手に入らない。

この戦争以来、稼動している発電所はわずか1つである。それも燃料の不足からフル稼働はできず、毎日のように電力不足が起きている。医療施設では、緊急時用発電機の稼働も、ガザ地区への燃料の搬入が予測できないことで影響を受けているうえ、ときには医療サービスそのものを制限しなくてはならない。同様に、医療従事者、患者、救急車の移動も困難である。また、禁輸による健康面への影響は、別なところにも現れている。人びとは、自家発電機と低品質な密輸品のガスボンベを利用せざるをえず、これによって家庭内で深刻な事故が起きている。

負傷者は、MSFの術後ケアプログラム(2007年に開始)か保健省の施設で治療を受ける。彼らの症状は、再建外科手術を必要とする場合があるが、ガザ地区にこの種のサービスはない。このような治療を行うことのできる病院は、シファ病院とナセル病院の2ヵ所のみで、あとは2、3の民間の診療所や外科医である。500人以上の患者が、12~18ヵ月間手術を待っている。そこでMSFは、患者を治療し、保健省の待機患者リストを短縮するために、再建外科手術プログラムを立ち上げた。

プログラムの準備は最終段階に

5月、このプログラムを立ち上げ、ガザ地区内の保健衛生当局とどのように連携をしていくかを定めるために、MSFのチーム1つがナセル病院での調査を指揮した。そのチームのメンバーは、フランス・リヨンにある重度のやけど治療ユニットで勤務する形成外科医レミー・ジリオックス医師、一般開業医のマチルド・バルテロ医師、生物医学用の器材を専門に扱うロジスティシャン(物資調達、施設・器材・車両管理など幅広い業務を担当)オリヴィエ・ムニエである。

MSFは、この病院の外科チームの一部と連携して活動する予定で、外国人派遣スタッフの外科医1人、麻酔科医1人、手術室看護師1人を送る。目的は、外科と麻酔科、および術後ケアにおける技術の共有である。週3日を手術にあて、2日は術前検査と経過観察にあてられる。

ナセル病院は、すでに必要な器材のほとんどを備えている。手術器具は、MSFが供給する。MSFの手術室、滅菌室、洗濯室(手術器具の滅菌と消毒が間違いなく行われるようにするため)はより新しい設備に改修され、専門器材もMSFの薬局に備えつけられた。

2009年6月に覚書が交わされた。MSFの手術室看護師が、現地でプログラムの立ち上げを指揮し、MSFの待機患者リストにある70人の患者のトリアージ*も進んでいる。このプログラムでは初めてとなる手術がいくつか、8月初旬に行われた。

*人材・資源の制約の著しい医療状況において、最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定すること。

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