スーダン:南部で発生したカラアザール流行を受け活動拠点を増加
2010年08月27日掲載
国境なき医師団(MSF)は、スーダン南部でカラアザール(内臓リーシュマニア症)に感染した患者が急増していることを受けて、対応能力を拡大するためにジョングレイ州のパギルに活動拠点を増やした。
過去数年間よりも事態はさらに深刻となる見込み

MSFのスーダン南部における活動責任者、クリス・ロックイヤ
ー(2008年パキスタンで撮影)。
MSFは、この新たな診療所のほかにも、すでにレール、ランキエン、ナシールでカラアザールの治療プログラムを提供している。また、他の援助団体は、アヨドとオールド・ファンガクで医療施設を運営し治療にあたっている。これらの診療所では、異常に多くのカラアザール患者がおり、医療ケアを求めていると報告されている。中には、治療を受けるために何日もかけてやってくる患者もおり、多くの診療所が、毎週数十人規模の新規患者を受け入れている。
MSFのスーダン南部における活動責任者、クリス・ロックイヤーは次のように語る。「私たちは昨年の経験をもとに、9月初旬からカラアザールの患者数が増えるだろうと予測していました。しかし、州内各地の診療所を訪れる患者の数から、過去数年間よりも事態がさらに深刻であることが見込まれます」。カラアザールは、サシチョウバエに刺されることで感染する病気で、治療をしなければ命にかかわる。治療には、カラアザール治療薬の投与だけでなく、肺炎、下痢、貧血といった合併症の集中治療や、栄養失調への対応も含まれる。
今年の早期発生の要因は複合的

カラアザールに感染した24歳の息子を見守る母親。MSFは2
009年、ジョングレイ州、上ナイル州で発生したカラアザール
流行に対応した(2009年撮影)。
カラアザールの専門家でMSFの医療アドバイザーを務めるコート・リトマイヤーは語る。
「例年であれば、カラアザールが流行するにはまだ早いこの時期に、これほど多くの患者がいるという事実は、今後まもなく大流行が発生する兆候です」
この熱帯病が、今年は早くから発生していることの要因は複合的である。リトマイヤーはこう説明する。「前回、この病気が大流行したのは8年前でした。そのため、若い世代全体がカラアザールに免疫のない状態なのです」。リトマイヤーによれば、この病気を媒介するサシチョウバエが発生するのに適した気象条件が整ったことも、影響を及ぼした要因である。また、不安定な社会情勢と凶作のため、今年はスーダン南部の各州で栄養失調が拡大し、人びとがカラアザールに感染しやすくなっていることも、事態をさらに悪化させている。
物資調達や資材管理に課題
MSFは、既存の診療所の負担を軽減するため、パギルに追加の拠点を設けた。パギルはへき地の村で、そこに唯一存在する堅固な建物が診療所として使用されている。MSFのスタッフは、テントで寝泊まりしながら、その中で大部分の患者の治療も行っている。開設から2日間で、カラアザールの症例16件が確認された。パギルでも治療が受けられるといううわさが周辺地域で広がれば、患者数はさらに増えるものと見込まれる。平均して外国人派遣スタッフと現地スタッフ計6人で構成されるチームは、物資調達や施設・機材・車両管理などの面でいくつかの難しい課題に直面している。
ロックイヤーは次のように語る。
「チームは、7日~10日おきに物資補給を行うよう努めているのですが、輸送は天候と小さな滑走路の状態に完全に左右されています。滑走路は黒綿土で、雨が降るとたちまち粘り気のある泥と化してしまうのです。ですから、小型の飛行機に荷を積み過ぎないよう、医薬品や医療物資を注意深く選ばなければなりません」
パギルで活動するチームは今後、MSFが各地で運営する、それらの診療所から報告される患者の傾向に応じてパギル付近に別の活動拠点を設けるためのニーズ調査を行う。そのためパギルの活動拠点は、2011年も引き続き活動を継続する予定である。
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