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パキスタン:デーラ・ムラド・ジャマリ周辺の状況と援助活動

2010年08月25日掲載

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パキスタンのバルチスタン州、デーラ・ムラド・ジャマリ周辺における現在の状況と、そこで実施されている援助活動について、国境なき医師団(MSF)のバルチスタン州におけるプログラム責任者、ジェームス・カンバキが語る。


診察を必要とする女性の数が増加

バルチスタン州におけるMSFのプログラム責任者、ジェームス・カンバキ。
バルチスタン州におけるMSFのプログラ
ム責任者、ジェームス・カンバキ。

私たちは、カブラとマンジョショリ周辺地域、ファドフェダル運河で複数の移動診療を行っています。これらの地域は、つい最近まで私たちにとって、たどり着くことが困難な場所でしたが、現在は比較的容易に行くことができます。ここデーラ・ムラド・ジャマリでは、水様性下痢を患う多くの患者を治療し、また病院では、緊急を要する産科医療の支援を始めました。診察が必要な女性の数は非常に増加しており、医師は24時間体制でこれに対応しています。ここの多くの女性には、前置胎盤*1や子癇*2、その他多くの閉塞分娩、合併症、そして緊急を要する産科系の症状が見られます。MSFの医師は、それらを治療するために、24時間休みなく対応にあたっています。

*1 胎盤が何らかの原因で出産に悪影響のある位置に定着する異常妊娠の一つ。
*2 意識消失やけいれん発作を伴う妊娠高血圧症。

避難する人の数の多さが問題を複雑化

デーラ・ムラド・ジャマリには、通常およそ5万人の住民がいます。しかし洪水によって、何万人もの人びとが周辺地域や100kmも離れた地域からも押し寄せました。現在、その数が非常に多いことが問題を複雑にしています。公式には避難してきた人の数は6万人と発表されていますが、辺りを見回してみれば、この数がずっと多いことが容易に想像ができます。

デーラ・ムラド・ジャマリ周辺の地域や街の大半は、完全に冠水しています。それらの地域の住民が、ここへ避難しているのです。洪水直後の2、3日間は、見ていられないほどの人びとの大移動がありました。郊外の道では、何千もの人びとが運べるだけのものを持ち、トラクター、牛車、ロバ、バイク、トゥクトゥク(3輪タクシー)、または徒歩で、皆同じ方向へ移動していました。子どもを連れ、頭の上にも所持品を載せて運ぶ人びともいました。動物は、途中で死んでいきます。人びとは、非常に暑い中を必死で歩いていました。私たちは、ビニールシートと何千もの衛生用品キットと調理器具を配布しました。

清潔な飲料水の確保が依然大きな懸念

街に押し寄せた多くの人びととともに、清潔な飲料水の確保が依然として大きな懸念事項です。私たちが診療する水様性下痢の患者数は増えています。また、ここ2、3日の間には、次のような出来事が何度もありました。それは、病院へたどり着く途中で亡くなっている人びとがいるという事実です。私たちの治療を受けられずに亡くなってしまった人びとの遺体を、病院の敷地内でスタッフが発見しました。私たちには彼らがだれなのかわかりません。むごいものです。

水に関する状況は、本当にひどいです。洪水で水が汚れた運河や小さな池から、人びとは水をくみ、飲んでいます。私たちは、清潔な水が入った袋を定期的に多数配布していますが、現在のところ、まだ十分ではありません。しかし、主要な浄化装置を2、3日後に稼動できれば、この状況を緩和する手助けとなるでしょう。

劣悪な生活環境に憤る人びと

スポーツ競技場や学校の運動場、大学など至るところに、テントと一時的な避難所があります。約200張のテントがある大学では、個人用トイレが一つもありません。今後2、3日のうちに、他の多くの地域も含め、私たちは250基のトイレの設置を予定しています。このような状況では、水を媒介とする病気が引き続き脅威であり、予防が極めて重要となります。

超過密状態、強制退去、物資の不足に、人びとは強い憤りを感じています。配布の際、救援物資を手にできないと、かなりの数の抗議がありました。人びとの多くが食料を受け取れず、避難用テントがない人もいて、それぞれが困難な状況を私に訴えています。私は、家族とともに200km以上離れた場所から避難をしてきた1人の男性と会いました。彼らは何も持っておらず、住む場所と食料を手に入れたいと必死でした。彼は私に対して非常に腹を立てていましたが、私に彼を非難することはできませんでした。しかし私たちは皆、彼のような人びとを助けるために活動を行っているのです。私は、自分のチームに驚いています。メンバーは強じんで、長時間、期待以上に多くの仕事をこなしているのです。

今後2、3週間、私たちは下痢の患者の治療と、清潔な水をより多く配布することに重点を置きます。大変な任務ですが、私たちは前進しています。

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