パキスタン:バルチスタン州、洪水で孤立した数千人の援助に成功
2010年08月18日掲載
国境なき医師団(MSF)のバルチスタン州におけるプログラム責任者ジェームス・カンバキは、カブラ周辺で洪水のために孤立していた集団を発見した(2010年8月16日掲載)。数日後、彼のチームは被災者へ援助を届けることに成功する。
被災者のもとへたどり着くことに成功

バルチスタン州におけるMSFのプログラ
ム責任者、ジェームス・カンバキ。
洪水で孤立した小さく細長い土地に、数千人が取り残されていましたが、彼らへ援助物資を届けるため、数日前になんとかカブラを再訪することができました。水没した道路を一時的に通行できるように、砂などを使ってわずかな部分をつないだのです。トラックで通るにはあまりにも不安定でしたが、かろうじて数台の4輪駆動車を通らせることができました。
人びとは私たちを見ると、とても喜びました。多くの人は、家も食糧もほとんどない状況で1週間以上も立ち往生していました。彼らのもとにどのようにしてたどり着くかが心配だったので、私たちも非常に安心しました。村で医者や薬剤師のような役割を担っている人物は、洪水が来るとはだれも予想していなかったので、皆ここで足止めされてしまったのだと話していました。「夜中の3時に目を覚ましたときには、周囲はすでに水で取り囲まれていました」。村人たちは皆、唯一冠水を免れたこの小さく細長い土地に避難しました。村人の中には、どうにか小麦を持ち出した者もいましたが、大半はほとんど持ち出すことができませんでした。ここに立つと、水に沈んだ村の学校やモスク、その他の建物が見えます。すさまじい惨状でした。
すぐさま援助を開始
私たちは到着するとすぐに衛生用品キットと調理器具の配布を始め、移動診療の立ち上げも開始しました。別の地域で配布を行った際は、絶望に打ちひしがれた人びとの怒りと混乱に直面しましたが、ここでは雰囲気が落ち着いており、配布はうまく行きました。約500世帯分の物資をどうにか運びこみ、配布への反応も上々でした。多くの女性が家族のためにキットや物資を持ち帰る姿が見られ、勇気づけられました。
人びとが水源としている運河の水は汚れていたため、清潔な飲料水の不足についても強く懸念していました。移動診療の際には、まず塩素の配布から始め、それを使って水を消毒する方法の説明と実演も行いました。皆、塩素消毒した水を飲んでくれているといいのですが、塩素が広く使用されているかどうかを確認するためには、各地を再訪する必要があるでしょう。
私たちのチームには2名の医師と医療コーディネーターも同行しています。診療所では、水と暑さに起因する皮膚疾患の治療が大半です。下痢や呼吸器感染も多少見られます。
人道危機は増すばかりで、減少はしていません
不思議なことがありました。この村を含め、洪水に見舞われた他の地域では、依然として水位が上がっているため、人びとは被災地から避難しようと必死でした。しかし、ここではだれもほかに行くあてがなく、離れようとする人がいないのです。また、周辺地域の道路は、日差しを防ぐ屋根のある場所と乾いた土地を求めて移動する人びとで溢れています。現在1万5000人ほどが避難中なのではないかと思います。彼らの多くはすべてを失い、いつ家に戻れるかもわからない状態です。人道危機は増すばかりで、減少はしていません。
必要な援助が人びとのもとへ届いているかを確認するため、今後もカブラへは引き続き戻ってくるつもりです。
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