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パキスタン:援助格差を懸念し、救援物資の配布を拡大(8月11日現在)

2010年08月13日掲載

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パキスタンが最初の洪水に見舞われてから2週間が経過したいまも、依然として数百万人が非常に困難な状況で生活をしている。国境なき医師団(MSF)は、カイバル・パクトゥンクワ州(旧北西辺境州)とバルチスタン州での活動を拡大・強化し、医療ケア、清潔な水の供給、生活必需品の配布に引き続き重点を置いている。これらの州に加えて、パンジャブ州とシンド州でも複数の追加調査が同時並行で進んでいる。


被災者のニーズは依然として増大

チャルサダ郡とペシャワールの間にあるクラサン・キャンプ。寝具や衛生用品キット、調理器具セットなどの救援物資を配布するスタッフと落合厚彦ロジスティシャン。
チャルサダ郡とペシャワールの間にある
クラサン・キャンプ。寝具や衛生用品キッ
ト、調理器具セットなどの救援物資を配布
するスタッフと落合厚彦ロジスティシャン。

MSFは医療活動の拡大に加えて、被災世帯に救援物資と飲料水の配布を続けている。それは、被災者が最低限の生活環境を維持するのを支援し、病気のまん延を予防するためである。8月10日までに、カイバル・パクトゥンクワ州とバルチスタン州の5143世帯(およそ3万6000人)に救援キットを配布した。

この標準キットには、服、石けん、歯ブラシ、タオル、カミソリ、バケツ、貯水容器、毛布、蚊帳、ビニールシートと防水シートが入っている。このキットの中身は、地域ごとのニーズに応じて調整できる。

パキスタンにおけるMSFの活動責任者トーマス・コナンは語る。
「天候に問題がなければ、今週カイバル・パクトゥンクワ州とバルチスタン州で数千セットを配布できるでしょう。ただ、被災世帯に向けて現在行われていることが、あまりにも少ないのではないかと心配しています。最初の洪水が起きてから2週間が経ちますが、人びとのニーズは非常に大きく、いまもふくらんでいます。それに対応するためには、さらに多くのことをしなければなりません」

アフガニスタン難民を受け入れているクラサン・キャンプでの配給の際、近隣の村の住民が、何の援助も得ていないのでキットをもらえないかと尋ねてきた。このとき、MSFはその日に予定していたよりも100世帯ほど多くの家族を支援することはできたが、援助の不足は明らかで、懸念すべき状況である。

このような状況での主な課題は、物資を配布する場所を見つけることである。多くの場所がいまも水面下にあり、ある日乾いていたはず場所が次の日には水に覆われていることも珍しくない。配布活動は、何トンもの物資と数十台のトラックを動員する物資調達および資材管理上の大事業であることから、綿密な計画が要求される。

移動診療を各地で実施

MSFはペシャワールから45分離れたウトマンザイで移動診療を行っている。
MSFはペシャワールから45分離れたウトマンザイで移動診療
を行っている。

MSFは8月1日以来、複数の地域で洪水被災者に対して診療を行ってきたが、その件数は合計で7000件以上になる。これらの診療件数のうち、1800件が8チームの移動診療によって行われた。これらの移動診療は、学校や避難キャンプといった、人びとが多く集まっている場所や、へき地を巡回している。

これらの移動診療を行う8チームのうち、3チームはバルチスタン州内のデーラ・ムラド・ジャマリ、カブラとソバトプールで活動を行っている。残り5チームはカイバル・パクトゥンクワ州内のマラカンド保護区、スワート郡、ロワー・ディール郡で各1チームずつ、またチャルサダ郡では2チームが活動を行う。さらに多くの移動診療が、ノウシャラ郡付近のピル・サバクを含めた地点で近いうちに始まる。

バルチスタン州カブラで行われている移動診療では、4人の子どもが重度急性栄養失調と診断され、ソバトプール診療所に入院した。

バルチスタン州におけるMSFの活動の運営にあたるピエール・ルイジ・テスタは語る。
「現時点では、これらの栄養失調を洪水の影響と関連付けることはできません。ただ、現地の食糧事情は、耕作地が冠水したことで収穫に影響が出る恐れがあり心配なので、栄養問題には今後も注意を払っていきます。多くの地域で、いまも非常に深刻な状況が続いているのです」

清潔な水の供給を拡大し、ニーズに対応

水の配布の様子。ペシャワールから45分離れたウトマンザイで移動診療にて。
水の配布の様子。ペシャワールから45分離れたウトマンザ
イで移動診療にて。

清潔な水の供給は疾患予防のためにも続けており、MSFの水・衛生活動チームが、地域の人びとに届けようと奮闘している。チャルサダ郡、ノウシャラ郡、スワート郡といった場所で、これらのチームは地方の給水システムの復旧に取り組む現地当局を支援しているほか、水を必要とする家族にトラック輸送もしている。

給水地点はスワート郡内の8ヵ所とロワー・ディール郡に設置された。このほか、MSFはロワー・ディール郡とノウシャラ郡の郡病院に清潔な水をトラック輸送している。現在、道路が通行可能になったので、3ヵ所の給水地点がマラカンド保護区内のトタカン、イサール・ババ、カランガイに設けられた。

8月10日、ノウシャラ郡の水・衛生活動チームは井戸の修復を終え、3万5000リットルの水を汲み上げて、この地域へトラックで配布した。1日あたりの汲み上げ量も近日中に増える見込みである。

チャルサダ郡内外で、MSFはトラックおよびミニバンによる21ヵ所の移動型給水地点と、7つの固定式水タンク*によって清潔な水を供給している。

*ピロータンクとも呼ばれる。緊急援助活動ほか、へき地での学術調査基地などでも使用されている。

被災者およびニーズの調査を続行

援助を必要とする人びとが取り残されていないかを確認するため、カイバル・パクトゥンクワ州とバルチスタン州で毎日調査が行われている。これは、へき地と比較的到達が容易であるとされる地域の両方で、まだ援助を受けていない多くの人びとの存在が、ますます懸念されているためである。

また、現在2つのチームがパンジャブ州とシンド州の被災地域で調査を行っている。

110トンの水・衛生活動用機材、医薬品、医療・ロジスティック(救援物資やテントなど)用物資がパキスタンに到着した。今後明らかになるニーズに応じて、追加救援物資の発送も見込まれている。

現在100人以上の海外派遣スタッフが、パキスタン国内の複数のMSFのプログラムに従事するパキスタン人1200人とともに活動している。

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