パキスタン:さらなる降雨も予想される中、活動と調査を引き続き拡大(8月6日現在)
2010年08月10日掲載
一部の地域では水が引いてきているものの、避難した人びとのニーズは増大してきており、ますます急を要するものとなってきている。
被災者のニーズの把握が非常に困難
国境なき医師団(MSF)は、飲料水や基礎的な救援物資の配給、医療の提供に重点を置きつつ、被災者への対応の規模を拡大している。
MSF 緊急対応コーディネーターのアラン・ルファブレは語る。
「ニーズの規模がどれほどのものなのか、その全容を明確に把握することは非常に困難な状況です。カイバル・パクトゥンクワ州(旧北西辺境州)内にある多くの地域は、いまも飛行機でなければたどり着けません。今後さらに激しい雨が予想されるため、パンジャブ州、カシミール地方、シンド州における状況は依然として不透明です」
ヘリコプターによる調査でチャルサダ郡とノウシャラ郡は壊滅的と判明

ノウシャラ郡の40万人が直接洪水の被害を受け、家屋とイン
フラも大規模に破壊された。
天候に問題がない限り、MSFは飛行機でしかたどり着けない被災地に対して、ヘリコプターによる調査を引き続き行っている。
8月5日MSFの調査チームは、深刻な洪水被害を受けた数千人の人びとの状況を把握するため、スワート郡、ノウシャラ郡、チャルサダ郡でヘリコプターによる調査を行った。
ヘリコプターに搭乗したルファブレは付け加える。
「チャルサダ郡とノウシャラ郡の状況は壊滅的です。チャルサダ郡チャルサダ町を囲む地域とノウシャラ郡全域で、いくつかの村が丸ごと押し流されてしまっていることがわかりました。住民は、破壊された家のすぐ外でどうにか生きていますが、援助は何も受けていません」
スワート渓谷の北では、交通に関するインフラが洪水により押し流されたため、住民が援助を受けられない状態は長く続きそうである。
さまざまな医療ニーズに応える

MSFはペシャワールから45分離れたウトマンザイで移動診療
を行っている。
洪水は、特に医薬品の供給の面で医療施設に大きな影響を与えた。MSFは、ノウシャラ郡やペシャワール郡にある複数の病院や医療施設を支援している。
ノウシャラ郡にあるパッビ病院では、MSFの医療チームが増え続ける患者に対応している。8月5日には295件の診療が行われ、皮膚疾患と急性の下痢の患者が多く見られた。
ノウシャラ郡拠点病院では、MSFは救急処置室と外来部門に力を入れ、8月5日には320件以上の診療を行った。この病院が再び機能するための修復を続けているほか3台の救急車も提供され、これまで1日あたり10件ほどの搬送がある。
パキスタンにおけるMSFの活動責任者トーマス・コナンは語る。
「この病院の被害はそれほどひどいものではありませんが、すべてが洪水に押し流されたため、医薬品も機器も文字どおりなくなったのです。私たちの医療チームは、診察に来た患者がもれなく必要な薬を持って家に帰れるように気を配っています。今後数日間の次のステップとしては、救急処置室が週7日24時間開いている状態を保つことです。現在ノウシャラ郡では、無償で患者を受け入れている24時間対応の医療施設がほかにないからです」
また、MSFは移動診療チームを通じて、自宅を離れ学校やへき地に避難した人びとのもとに医療を届けようと試みている。現在、チャルサダ郡とペシャワール郡では、合わせて3チームによる移動診療が行われており、毎日異なる活動地に赴いて患者を診ている。8月5日には、チャルサダ郡とペシャワール郡内外の3つの活動地で300件の診療が行われた。
洪水以前から運営していたMSFの医療プログラムでも、洪水に関連した疾患で来る患者が増えている。マラカンド保護区ダルガイで、MSFは新たな移動診療プログラムを開始した。
8月9日月曜日、バルチスタン州の被災地で複数の移動診療が活動を開始する予定である。
清潔な水と救援物資の配布

MSFはチャルサダ郡の病院で救援物資の配布を行っている。
清潔な水を人びとに届けることは、水を媒介に感染する病気のまん延予防のため、現在でも優先課題の一つである。
21ヵ所の給水地点がチャルサダ郡とロワー・ディール郡に設けられたほか、スワート郡でも8ヵ所(利用者は約10万人)に設けられた。また、MSFはロワー・ディール郡にある郡病院に清潔な水を提供し、ノウシャラ郡では飲料水の供給を復旧するために活動している。
MSFは、避難民の住環境を改善するために配布する衛生用品キットの数を増やしている。このような配布活動は、8月6日にチャルサダ郡で約500世帯に向けて行われる。また、チャルサダ郡とペシャワール市をつなぐ道路沿いに避難している別の500世帯へも、調理器具セット、衛生用品、避難所用資材、塩素系浄水剤などの援助物資が配布される予定である。チャルサダ郡北部タンギで、MSFは自宅を失い学校に住む複数の世帯を確認した。
ほとんど援助団体が活動をしてないバルチスタン州、その州内で洪水による被害が最も深刻であった場所の一つバクティラバードで、MSFは約750世帯にテントと衛生用品キットを配布した。また、同州内にあるファドフェダル運河では、250世帯に衛生用品キット、調理器具セット、貯水容器を配布した。人道援助を必要とする大勢の人びとが、特にマンジョショリとカブラ周辺で確認されている。8月8日日曜日には、5000世帯分の配布が始まる見込みである。
バルチスタン州内のシディとジャルマグフィ地域でも、さらに調査が行われる予定である。
物資の輸送を継続、派遣者も増員
8月5日夜、ヨーロッパから最初の貨物機一機が飛び立った。この貨物機は、60トンの水・衛生活動用物資を積んでいる。数日中に、さらに50トンの救援物資が輸送される予定である。
また、さらに多くの海外派遣スタッフがパキスタンに向かっている。近日中に海外派遣スタッフ100人が、パキスタン国内の複数のMSFのプログラムで活動しているパキスタン人1200人に加わる予定である。
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