スーダン:栄養状態の悪化に伴い、活動を拡大
2010年08月02日掲載
スーダン南部では、凶作と高まる情勢不安が相まって、この数ヵ月間で栄養失調に陥る人の割合が大幅に増加している。国境なき医師団(MSF)の緊急対応チームはこの危機に対応しているが、スーダンの子どもたちの不必要な死を防ぐためには、より多くの栄養治療センターと栄養治療食、また医療スタッフが必要とされている。
スーダン南部におけるMSFの緊急対応コーディネーター、モーゼス・チョルは、栄養治療を切実に求めている地域により多くの援助を提供するため、MSFがどのように活動を拡大しているかについて説明する。
Q. スーダン南部の現在の栄養状態は、どのようなものでしょうか?
A. 状況は非常に憂慮すべきもので、特にナイル川上流地域で深刻です。ユニティ州だけでも、800人以上の子どもがMSFの栄養治療センターで治療を受けています。これは例年の、収穫期の狭間で備蓄食糧が不足する時だからという理由だけではありません。それは昨年の同時期と比べて、治療を受ける子どもの数が200%増加していることからも明らかです。
Q. なぜ今年はそんなに状況が悪いのでしょうか?
A. いくつかの要因が関係していますが、主な原因はまず、例年の食糧不足です。基本的に収穫が始まるまでには6~8週間あり、市場にはほとんど食糧が出回りません。さらに、主食の中心であるモロコシの価格は、昨年から2倍以上に上がっています。そのため人びとは、重要な財産であるヤギや牛などの家畜を売り、日常の食べ物を買わなければならない状況です。
また、基礎医療には大きな格差があります。したがって患者は、最も基本的な治療を受けるために、何時間も歩いて診療所にやってこなければなりません。それが、子どもたちの体調を悪くし、体重のさらなる減少にもつながっているのです。もちろん、暴力と情勢不安も事態をより一層悪化させる要因となっています。
Q. 何が起こっているのでしょうか?
A. 氏族間の紛争や選挙後のより政治的な衝突が起きた、危険地域がいくつかあります。暴動の原因が何であれ、多くの家族が住んでいる場所からの避難を強いられ、そのため自分たちの土地で農作業をすることができません。これが、作物の収穫量と人びとの食糧自給能力に直接影響を及ぼしています。
Q. MSFは、栄養失調の急増にどのように対応したのでしょう?
A. 栄養失調患者の急増に直面して、私たちは当初、MSFが運営する診療所と栄養治療センターで、それらの患者に対応できることを確認しました。しかし多くの地域において、MSFは栄養治療を行う唯一の援助団体です。そこで私たちは、MSFが活動する地域の状況が悪いのであれば、医療援助を行う団体のいないその他の地域でも、状況は同じように悪いはずだとの考えに至りました。レールでMSFが運営する栄養治療センターの患者の出身地を調査したところ、その15%が、レールから100km以上離れたユニティ州の州都ベンティウから来ていることがわかりました。それで私たちは、ベンティウに活動を広げることにしたのです。
Q. あなたはベンティウでの調査チームの一員でしたね。ベンティウに到着したとき、状況はどのようなものでしたか?
A. ベンティウは人口約10万人の大きな町ですが、そのうちの8割が失業しており人道援助に大きく依存しています。皮肉なことに、戦争中、人びとは定期的な食糧配給を頼りにすることができましたが、和平合意が結ばれてからは配給がなくなりました。
ベンティウには比較的大きな病院がありますが、その病院の医療スタッフでは、栄養面での緊急事態に対応することができませんでした。この病院にはさまざまな小児疾患の治療のため、子どもたちが入院しています。しかし、集中栄養治療のための治療食が用意されていないため、栄養失調の治療を行うことはできません。私たちが初めてベンティウの病院を訪れたとき、4人の栄養失調の子どもが入院していましたが、そのうち2人はすでに亡くなっていました。自分たちにできることは、残された2人の患者の家族に対して、カウンセリングを行うことだけだと、病院スタッフは私たちに話しました。ベンティウの病院には医薬品が不足しており、人員もスタッフに対する研修も不十分でした。そのような状況で、栄養失調の治療を始めるということは考えることもできませんでした。
Q. それでMSFは援助活動を行うことを決定したのですか?
A. 私たちは、すでにスーダン南部の多くの地域で援助活動を行っていたので、関係当局や他の援助団体にベンティウで活動を開始するよう呼びかけていました。しかし他の援助団体の中に、現行プログラムの担当地域を広げる余力のある団体はほとんどなく、ベンティウには、呼びかけに応えられる団体は一つもありませんでした。
Q. 状況を改善するためにMSFは何をするのでしょう?
A. 私たちのチームは、ベンティウ病院に2つの栄養治療センターを開設しました。そのうちの1つでは、入院と注意深く経過を見守る必要がある子どもに集中治療を行います。もう1つでは通院栄養治療を行います。そこでは、母親に連れてこられた子どもが身体測定を受け、それから家に持ち帰って食べることのできる特別な栄養治療食を受け取ります。また、センターに再びやってくるのは1~2週間後でいいのです。
ベンティウに栄養治療センターが開設されて最初の3日間で、28人の子どもが入院し、70人の子どもが通院治療プログラムに受け入れられました。
栄養失調の子どもたちが、どこから最も多く来ているのか確認ができれば、他の地域でも新たに通院治療センターを開設するかもしれません。その場合でも、最も重症な子どもはベンティウに搬送し、入院させる予定です。
MSFは、ベンティウやその周辺地域で栄養失調の子どもの命を救う治療を行っていますが、加えて現地の医療スタッフに対する栄養失調治療の研修にも重点的に取り組んでいきます。そうすれば、MSFがベンティウを離れたあとも、現地スタッフの力でこの問題に対応することができるでしょう。
Q. MSFにとって、さらに活動できることはあるでしょうか?
A. MSFは多くの場合、栄養失調を治療する唯一の団体として、すでにスーダン南部のさまざまな地域で援助活動を行っています。私たちは、これまでにいくつかの現地パートナーを見つけ、研修を行い、物資を提供し支援してきました。しかし、この国の深刻な危機に立ち向かうためには、より多くの機関・団体が援助活動を広げていくことが真に求められています。
Q. MSFは、いつ頃までベンティウで活動を予定していますか?
A. その質問に答えるのは簡単ではありません。しかし私たちは、収穫が始まって栄養状態が改善され、その後、残った患者については現地の病院スタッフが対応できるようになるように願っています。最初の計画としては、活動期間は3~4ヵ月を予定しています。その時点で再調査を行い、必要があればより長く滞在することになるでしょう。
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