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中央アフリカ共和国:神の抵抗軍(LRA)の攻撃から逃げまどうゼミオ地域の人びと

2010年07月28日掲載

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中央アフリカ共和国(以下、中央アフリカ)の南東部では、今年4月下旬に急増した武装集団「神の抵抗軍(LRA)」による攻撃のために、数千人が家を離れ、小さな田舎町のゼミオに避難した。国境なき医師団(MSF)は、5月から避難した人びとと彼らを受け入れた地元住民に向けて医療活動を行っている。


4ヵ所のキャンプで避難民と難民に対応

避難民キャンプの様子。
避難民キャンプの様子。

MSFの現地プログラム・コーディネーター、ピーター・ヘイカンプは次のように語る。
「4月、LRAはこの地域の複数の町を凶暴な手段で襲いました。そして突然、集中攻撃を始め、ゼミオから35~40km四方の村々が次々に攻撃を受けました。5月初めには、すでに数千人の避難民がゼミオの町に集まっており、その数は日を追うごとに増えていきました。人びとの健康状態が悪化するであろうことはすぐに予測できたため、首都バンギのMSFチームは、ここゼミオで一刻も早く活動を開始することを決めました。私たちは、高まる死亡率に“対応”するのではなく、死亡率の上昇を“防ぐ”活動をすべきだと考えたのです」

MSFが5月初頭にゼミオへ到着したとき、頻発するLRAの攻撃に対して保護を求め、約4000人が避難していた。地域当局は、ゼミオに通じる3本の幹線道路に1ヵ所ずつ避難民キャンプを割り当てていた。4ヵ所めのキャンプには、すでに昨年10月にLRAの攻撃を受けてコンゴ民主共和国(以下、「コンゴ」)から避難してきた約3000人の難民が身を寄せていた。

ヘイカンプは続ける。 「避難してきた人びとは、キャンプ地の中に個々に小屋を建てることを希望しましたが、屋根に利用するわらが入手できないため困難でした。わらの手に入る季節が終わってしまったからです。そのため当初2ヵ月間は、ほとんどの人が地元住民に受け入れてもらっていましたが、当然ながら地元住民にとっては大きな負担です。普段8人ほどの家族を養っている家庭が、20~25人を支えるという状況を想像してみてください! 住民たちは非常に寛容でしたが、状況は限界に達しています。そのため、ビニールシートを手に入れた避難民はすぐにキャンプ地に移り、自分たちの小屋を建てています」

さまざまな医療活動を展開

避難民キャンプ内のMSFの診療所。
避難民キャンプ内のMSFの診療所。

MSFは最初、5月10日に地域保健省の病院を支援するため外来部門を立ち上げ、また、キャンプ内に診療所を設置するべくキャンプ地に向かった。MSFの看護師オルラ・コンドレンはこう語る。
「すぐに、活動すべき場所はキャンプ内であることに気づきました。キャンプでは決められたルールがなく、非常に混沌としており、小屋どうしが密接していました。直接キャンプ内で人びとのすぐそばで活動し、簡単に治せる病気がより大きな問題に発展するのを防ぐ必要があったのです。私たちがキャンプ内に立ち上げた診療所は、ビニールシートの屋根に木のベンチを置いただけの、とても簡素なものです。マラリアや下痢、肺の感染症への対処に力を入れています」

MSFは病気のまん延を防ぐため、はしかの集団予防接種を6月に実施し、1600人の子どもが接種を受けた。現在は、未接種者に対して再度予防接種を行う計画を立てており、また、他の住民に比べて栄養失調率の高いコンゴからの難民を支援するために、栄養補給プログラムの準備も進んでいる。ヘイカンプは話す。
「コンゴからの難民は、中央アフリカの国内避難民と比べても、はるかに弱い立場にあります。それはおそらく、彼らの方がキャンプで長い避難生活を送り、地元住民からの支援も少なかったからではないかと思われます」

コンドレン看護師が続ける。
「MSFは現在、週あたり約450人の患者を診察しています。その数は確実に増えており、活動を開始した2ヵ月前と比べてほぼ倍増しました。死因の多くは群を抜いてマラリアです。マラリアの重症患者が増加しているため、MSFは最近になって地元病院の入院部門の支援も開始しました。また、重度栄養失調も全体的に増えているようです。これは、慢性的な栄養失調のまん延とは異なります。避難民の栄養状態は極めて良好なのです。しかし、子どもたちは食べる量が減ったり、母乳を与えてくれる母親の食べる量が減ると、栄養素が不足して体に変化が表れます。この体の変化を、単純にマラリアと取り違えてしまうだけでも、非常に急速に栄養失調に陥ってしまうのです」

最大の困難は物流面

MSFの活動上、最大の困難は物流面である。ゼミオには配電網や給水設備がなく、たった1本の幹線道路と商業地からなる田舎町である。首都バンギからは車で5日、非常に治安の悪い地域も通過しなければならない。コンドレン看護師は振り返る。
「幸運にも滑走路が1本あり、空路で物資を運び入れることができます。しかし、これまでには、患者が運び込まれても治療に必要な薬や栄養治療食が足りないのではないかと、ものすごく心配する場面もありました」

攻撃は止まず、広域にわたり監視を継続

ハイカンプはこう締めくくる。
「状況は多少安定してきました。食糧や救援物資の配給、水や衛生に関する問題に取り組む他の援助団体と仕事を分担しています。

人びとが私たちを受け入れてくれたことに、大変感銘を受けました。彼らは、人道援助に頼って生きることに慣れた人びとではありません。とても礼儀正しく、私たちが行った援助に感謝してくれました。多くの人は、持てる物を持ち、着の身着のまま命がけでそれぞれの村を離れなければなりませんでした。いまのところ、まだ新たに避難してくる人びともいますが、人の流れは大きく減少しています。ゼミオ周辺の村々は空になってしまったからです。100km圏内では、依然攻撃があるとの情報が入ってきます。人びとが村に戻るには、まだ状況が非常に不安定です」

LRAから攻撃を受ける人びとの緊急のニーズに応えるべく、MSFはより広域にわたって状況の監視を続けていく。


MSFは中央アフリカで1997年から活動を行っている。現在、主に北東部のカボ、バタンガフォ、ボギラ、マルコウンダ、マイティクル、パウア、ボカランガ地域で医療活動を行っている。

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