第18回国際エイズ会議:MSFが早期治療開始の効果を実証するデータを発表 -治療コスト削減に焦点を置いた議論は、患者の治療改善をなおざりにしている-
2010年07月26日掲載
国境なき医師団(MSF)は、ウィーンで開催されている第18回国際エイズ会議にて22日、エイズの早期治療開始とより効果的な薬を用いた治療は死亡率を大幅に減少し、患者が治療を継続しやすくなることを実証する研究結果を発表した。MSFは同会議において、患者の治療改善に焦点を置いた主張がなおざりにされていることに懸念を表明している。
MSFは、世界保健機関 (WHO)が推奨する、副作用のより少ない効果的な薬であるテノホビルを用いた早期治療を既に導入しているレソトで、患者1,128人の2年間の治療データを検証した。その結果、体の免疫力を示すCD4陽性リンパ球数が350を切った時点での早期段階で治療を開始した患者は、病気が進行した段階の基準値となる200以下の時点で治療を始めた患者と比べて、治療を中断しない確率が40%以上高く、入院での治療が必要になる確率は60%以上低く、さらに死亡する確率が70%低いことが明らかになった。
さらに、MSFは抗レトロウイルス薬(ARV)による治療を地域レベルで提供しているモザンビークでのプログラムのデータも検証した。その結果、地域団体を通じて地域レベルでARV治療を提供するこの方法は、遠隔地や貧困地区で暮らす患者であっても健康状態を維持することができ、医療施設に極度に依存することなく治療を継続できることを実証した。さらに、治療を中断してしまう患者の割合は1%以下と、極めて低いことも分かった。
レソトでMSFが行うHIV/エイズ治療プログラムのHIV専門医、エレン・バイグレーブ医師は話す。「病気が進行する前の早期段階で治療を開始することは、患者や地域社会にとって有効であり、医療システムの負担も減らすことができます」
一方で、治療を拡大するには、エイズ対策の支援金の不足と薬の価格上昇が大きな壁になっている。WHOが推奨する新しい第一選択薬および第二選択薬の価格の引き下げは遅れており、新しいジェネリック薬の製造は薬の特許権によって拒まれている。
レソトでMSFが検証した別のデータでは、WHOが推奨するテノホビルを含む混合薬による第一選択薬の治療はより優れた治療成果を示すだけでなく、薬の価格を30%下げれば、患者の生存期間と生活の質を考慮した場合、長期的には副作用の強いスタブジンを用いた古い治療法と治療コストは等しくなることも分かった。
MSF必須医薬品キャンペーンのディレクター、ティド・フォン・シェーン・アンゲラー医師は次のように話す。「製薬会社は国際エイズ会議において、薬の価格の引き下げについての意欲を見せておらず、主要機関の代表者は薬の価格は十分に下がっているためエイズに向けた取り組みは別の面でされるべきだと発言しています。私たちは患者にとって利益となるような面での効率化を進めるべきです。薬の価格を大幅に引き下げ、患者が治療を受けやすくし、治療を受けられる機会を早期に拡大することが必要とされています」
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