ナイジェリア:ザムファラ州で発生した鉛中毒の続報
2010年07月21日掲載
2010年初め、ナイジェリア北西部ザムファラ州の村々では、子どもと成人の鉛中毒が確認された。6月初旬から国境なき医師団(MSF)は、州保健局とともに5歳未満児への緊急治療を行っている。彼らが最も中毒の影響を受けやすいからである。鉛中毒は、現地の村人が鉛を含む鉱石から小規模な金の抽出を行っていることが原因で発生した。鉱石の処理には砕石と乾燥の工程があり、村人が暮らす小屋の中で行われることが多い。その結果として村の家屋や土壌が汚染され、子どもたちは鉛中毒の危険にさらされる。
治療だけでない幅広い対応が必要
米国疾病対策センター(CDC)、ナイジェリア保健省、世界保健機関(WHO)とMSFが行った調査によると、汚染された7つの村の人口は合計でおよそ1万人、そのうち死亡や深刻な病気の緊急の危機に瀕している5歳未満児は、2000人と推定される。急性で激しい鉛中毒は幼児にとって命とりとなる。年長児や成人も命を落とす恐れがあり、結果として脳障害、不妊、腎不全、流産/死産や他の重大な健康上の問題となることもある。
MSFは現在、鉛に汚染された村々のうちの2ヵ所に住む、最も弱い立場にある患者に対してキレート療法*を提供している。ザムファラ州のブッキュムとアンカにある総合病院内には、2つの治療ユニットが特別に設置されており、子ども100人と授乳中の母親28人は、そこで治療を受けている。すでに40人以上の子どもが治療を受け、これらの施設から退院している。第1巡目の治療における初期成果はよかったが、依然として多くの課題が山積している。
*栄養素が持つ性質を利用して有害な物を解毒排出していく方法
MSFの活動責任者ゴータム・チャタージーは語る。
「MSFが提供できる医療は、解決策の一部でしかありません。生活手段を失った家族への対応についても、当局が取り組んでいかなければいけない課題です。そうでなければ、人びとは生計を立てるために今後も家族の健康を危険にさらすことになるでしょう」
土壌を浄化するなど再汚染を防ぐことが必須
患者が退院して帰宅するときには、鉛中毒の危険がない生活環境でなくてはならない。そうでなければ再汚染の可能性がある。このため、汚染場所の浄化はどの治療法に対しても鍵となる。環境エンジニアリング団体ブラックスミス研究所と提携先のテラ・グラフィックス社は、ヤルガルマ村とダレタ村の汚染された土壌の浄化のため、州政府および現地当局と共同で作業にあたっている。治療が無駄にならず、人びとがすぐにまた中毒に陥ることがないようにするためである。
子どもへの治療が保証されるためには、社会の協力を得て啓発活動を行うことが欠かせない。地域住民全員が汚染、治療や環境改善に関する情報、またどのようにして再汚染を防ぐかも含めて知る必要がある。MSFは、現地当局や村の指導者と連携し、アウトリーチ活動*という形で人びとが子どもを治療に連れてくるように呼びかけている。
*こちらから出向いて、援助を必要としている人びとを積極的に見つけ出し、サービスを提供すること
事態の深刻さを受け、MSFは汚染が確認されたほかの5つの村に住む5歳未満児についても、治療のために受け入れる予定である。しかし、これは被害を受けた村々の浄化や環境改善がされて初めて可能である。
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