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ニジェール:地域社会と連携して栄養失調対策に取り組む

2010年07月06日掲載

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ニジェール

ナイジェリアとの国境にほど近いマガリアの町にある集中(入院)栄養治療センター(ITFC)は、受け入れ数の限界に近づいている。現在、240人の子どもが入院しているが、国境なき医師団(MSF)のニジェールにおける医療コーディネーター、クロード・ンゴベ医師は言う。
「かなりひどい状態で来る子もいるなかで、これほど多くの子どもたちを良好な環境で治療することは、ほとんど不可能です。入院が必要になる前に、栄養失調児の早期発見に力を入れなければなりません」

ザンデール県内の保健区域の1つで、MSFは小児栄養失調が悲惨な結果を招かないよう、地域と密着して活動している。


マガリアのバカドゥグ村へ

この日の朝、バカドゥグ村の若き村長、ヤウ・ドドはMSFチームを迎え入れた。村長は、近くのモスクから急いで数枚のマットを運ばせ、地域プログラムのニジェール人スーパーバイザー、アマドゥ・ルファイと、MSFのブラジル人看護師、レナータ・オリベイラ・シルバにマンゴーの木陰の席をすすめた。すぐに、たくさんの子どもたちと主に年配の村人たちが集まってきた。

少人数のMSFチームは、同日の早朝マガリアの町を発った。バカドゥグ村に向かう途上、チームはこの保健区域内で最大の村ダン・チャオに立ち寄り、外来栄養治療センター(ATFC)に数箱分のそのまま食べられる栄養治療食(RUTF)を届けた。年始から雨が2度ほど降ったが、幸い砂地の道路が通れなくなるまでにはならなかった。牧畜を営むフラニ族の円筒形の小屋の集落を縫って、オフロード車は楽々と走った。この地域では、これら円筒形の小屋は付近に農耕を営むハウサ族の村があることを示す。バカドゥグ村は、ダン・チャオ保健区域に85ヵ所ある村の1つで、この区域には約5万5000人が暮らしている。

「治療が無料であることを、だれもが知っているようにしています」

ニジェールの栄養治療センターの様子。(2008年3月撮影)
ニジェールの栄養治療センターの様子。(2008年3月撮影)

この訪問は重要である。MSFのチームは村の子どもたちが栄養失調に陥っていないか調べなければならない。そのため、到着を待っている診療所に行くことにした。

しかしまず、チームは村人たちとの会合を利用して地域保健員のなり手を募った。ルファイは候補者である2人の若い男性と1人の女性にこう説明した。
「皆さんには、子どもが栄養失調の兆候を示したときに、母親に説明する役割を担当していただきます。母親が診療所へ必ず行くよう取りはからってください。診療所では5歳未満の子どもの治療が無料で、薬があることを、村人たちに伝えなければなりません」
MSFは、区域内で活動しているすべての医療施設が、間違いなく必須医薬品の供給を受けられるようにしている。

理論上、ニジェールの医療は5歳未満の子どもに対して無料である。だが、経験のあるプロの医療従事者や医薬品の不足など、治療にあたっては障害が多い。この地域では、医療サービスが十分に活用されていないことが深刻な問題となっている。最近の研究によると、5歳未満で死亡する子どもの10人に8人は自宅で亡くなっている。また、子どもの3人に1人は一度も診療所に連れて行かれたことがない。

たとえかなりの費用がかかったとしても、MSFがどれだけ無料の医療を提供することができるかが、このプログラムを成功に導く要因の1つであることは間違いない。シルバはこう説明する。 「診療所に来るよう母親を説得するのも大切ですが、母親たちが診療所で直面している問題を解決すること、つまり経験のある医療従事者と医薬品があるという条件が必要です。さもないと、母親たちはがっかりして来る気をなくしてしまいます。私たちはこれらの対策が有効であることを示せると思っています」

空っぽの穀物貯蔵庫

ダン・チャオでは、将来の地域保健員に対する研修会の時間が設けられた。全員が診療所へ向かう。診療所はMSFが改修したばかりの小さな2部屋の建物である。村の端に建っており、最初の雨が降った後に芽吹き始めた雑穀をまたいで歩いていかなければならない。診療所の看護師アイシャトゥに会えてうれしいシルバは大声で言う。
「基本的な設備だけですが、少なくとも看護師は1人います」

熱を出した子どもが2人、それぞれの母親に連れられて来た。うち1人はすでに重度の栄養失調にかかっていた。母親は、診療所から数km離れた自分の村では、穀物の蓄えが底をついたと説明した。村の男たちは、前回の乏しい収穫の後、出稼ぎに行っていたナイジェリアから戻ったばかりだった。いまでは畑仕事をしており、雑穀やソルガムの穂が次に実るのは9月である。7月と8月に雨が順調に降れば。主食の雑穀の価格は、1ティア(約2.5kg)当たり550CFAフラン(約108円)にまで高騰する。男たちがナイジェリアから持ち帰った収入は、すぐになくなるだろう。

シルバは言う。
「今日、この子をダン・チャオの栄養治療プログラムに受け入れてもらわなければなりません。さもなければ、マガリアのITFCに入院するか、死んでしまうかのどちらかです。母親を説得しなければなりません」
母親はあっさり同意し、幼い子どもとその兄と一緒にトラックに乗り込んだ。もう1人の子どもは、チームの手持ちの医薬品で間に合った。チームは次の村へ向かった。また別の地域保健員を募り、新たに1人か2人の母親に対して、子どもを栄養治療センターに入院させるよう説得するだろう。

地域社会との連携が功を奏する!

午後の早い時間、ルファイが「今年3度目の雨」という激しい雨の中、チームはマガリアに帰って来た。ある村では、重度の栄養失調児を病院のITFCに緊急搬送した。戻る途中、バカドゥグ村の出身者1人を含む2人の子どもをITFCに入院させるため、ダン・チャオの総合医療施設(ATFCにも対応している)に搬送した。シルバは言う。
「この保健区域に住む5歳未満の子ども7000人のうち、約800人は収穫と収穫の間の時期に栄養失調に陥ると予想しています」
今後のマガリアのITFCへの入院患者数については、シルバは楽観している。
「私たちの各村での活動によって、今年は確実に入院患者数が減少すると思います。まあ、見ていてください。地域社会と連携した活動はうまくいきます。故郷のアマソニア州でも同じことを目にしました。今回もニジェールで同じことが起こりますよ」

一方、激しい雨が区域内の移動に影響をおよぼすことも考慮して、その後プログラムは急ピッチで進んだ。約100人の地域保健員の研修はほぼ終了した。マガリアのITFCには、最近ダン・チャオ以外の保健区域から、さらに多くの子どもたちが入院するようになった。地域保健チームにとってうれしいことである。
クロード・マウドー(2010年6月16日著)

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