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エイズと結核、まとめてゴールにシュートしよう! ―品田裕子、看護師―

2010年06月16日掲載

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品田裕子

こんにちは。国境なき医師団(MSF)で看護師として活動している、品田裕子です。南アフリカで開催されている2010 FIFAワールドカップでは日本がカメルーンとの初戦を勝ち抜き、世間はおおいに盛り上がっていますね! サッカーと医療という異なったフィールドではありますが、アフリカで活動を行うMSFのスタッフらも、HIV/エイズ問題という大きなボールをゴールにシュートできるよう、日々努力しています。現在、HIV/エイズがまん延しているサハラ砂漠以南の国々で、結核患者数が激増していることをご存知でしょうか。このインタビューを通じて、治療の現場で起きている問題を皆さんと共有できればと思います。


Q. 現地はどのような状況でしょうか?

2009年にウガンダで働いていたとき、HIV/エイズと結核の二重感染という大きな問題が発生していました。私は現場を監督する看護師として結核病棟で働いていましたが、患者さんの50%はHIV/エイズに感染していました。HIV/エイズに感染すると免疫力が落ち、特に結核などの感染症にかかりやすくなってしまうのです。
HIV/エイズがまん延しているサハラ砂漠以南のアフリカの国々では、結核の患者数が激増しています。それに、私が働いていたような途上国のへき地では、結核の診断や治療にも困難が伴うのです。

Q. 結核の診断には、いまだ18世紀の、たんを採取して作ったサンプルを顕微鏡で観察する方法が主流だそうですが、発見できる率が50%以下という低精度と聞きました。

18世紀とは、全く驚きです。それに、治療薬にも問題があります。現在主流の薬で治療を行うと、完治するのに最低でも6ヵ月間もかかります。この長い治療を続けることができずに薬をやめてしまうと、薬に対する耐性ができてしまう危険があります。薬剤耐性の結核を発症すると、治療期間がより長くなるだけではなく、悲しいことに命を落とす確率が格段に高くなってしまいます。
私が勤務していた病棟では、数名の薬剤耐性結核患者が、病気とのつらい闘いに苦しんでいました。

Q. 金融危機の影響で、HIV/エイズや結核などの病気に対する各国からの支援金が減っていると報道されていますが、現地はいかがでしたか?

私が現地で働いていたとき、多くの患者さんたちは病気で弱った体をおして、徒歩や自転車などで長い距離をMSFの病院まで通っていました。抗結核薬はまだしも、そのほかの病気の薬が不足しているのです。支援金カットの影響か、保健省の診療所が治療薬を買えなくなり、近所の医療施設では治療ができなくなっています。これは、特にHIV/エイズと結核に二重感染し、免疫力の低下した患者さんにとって、生死を分ける深刻な問題です。

Q. HIV/エイズと結核は不治の病なのでしょうか? どうすれば、人びとの命が失われずにすむのでしょうか?

近年、抗エイズ薬治療の普及で、HIV陽性患者さんの予後は大幅に改善されました。HIV/エイズは、慢性疾患としてコントロール可能な病気になっています。結核に至っては、完治が可能な病気です。それなのに、たった一度の経済危機の影響で、何万人という人びとの命が失われようとしているのです。MSFは、HIV/エイズ治療の現場にぽっかりと空いた“穴”を解消し、各国政府と支援金拠出機関に対して、支援減額などの対策を見直すよう呼びかけています。
フィールドに空いた“穴”を埋めることができれば、大きな赤いボールを蹴り出し、ゴールに向かって大きなシュートを決められるよう、走り続けます。
私たちの足元から、もう一つのワールドカップを。
エイズと結核の問題を、まとめてゴールにシュート!

*報告書「立ち止まれない:HIV/エイズ治療格差が広がるアフリカ」
(英語版)(2010年5月発表)

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