ソマリア:ガルカイヨの「眼科手術キャンプ」
2010年05月26日掲載
ソマリアでは、他のさまざまな健康問題と同様に、眼の病気も治療されずに放置されていることが多い。国境なき医師団(MSF)は、多くのソマリア人の視力回復を目的に「眼科手術キャンプ」を4月下旬に実施し、成功裏に終えた。

眼科手術の様子。ガルカイヨにて。
活動内容:MSFは、何百人ものソマリア人に視力を回復させることを目的とする特別な「眼科手術キャンプ」を成功裏に終えた。4月21日から29日にかけて、MSFは、国際失明予防プログラム「見る権利」の研修・研究責任者を務めるソマリア人眼科医、ダルマー医師(下記の人物紹介を参照)と協力して、約3000人をスクリーニングし、そのうち600人以上に視力を回復させる手術を行った。
活動理由:ソマリアでは、他のさまざまな健康問題と同様に、眼の病気も治療されずに放置されていることが多い。国内の紛争、荒廃した医療制度、そして慢性的な貧困によって、人びとは医療を受ける機会が失われている。また、国内全体で外科医が不足しているうえ、そのほとんどがガルカイヨからは約730kmも離れた首都モガディシオに集中していることも、事態をさらに悪化させている。
一方、眼球の水晶体が混濁する白内障のような一般的な眼の病気でも、治療をしないままでいると、ほとんどの場合、失明につながる。そして、毎日が生きるための戦いであるような国では、特に人びとの生活に壊滅的な影響をおよぼすことになる。そのため眼科手術は、患者が尊厳のある、健康的な生活を送る力を高めることで、その生活に多大な貢献ができると思われる。
活動場所:眼科手術は、この地域で無償の医療を提供する唯一の医療機関として多忙を極めるMSFの南ガルカイヨ病院で行われた。この病院では、144人のソマリア人スタッフが救命医療を提供しており、患者の中には、治療を受けるために隣国エチオピアからやってくる人もいる。提供しているのは、小児医療、救急を含む産科医療、栄養治療、結核治療、そして特に中心的なのは外科医療である。さらに、MSFは北ガルカイヨでも結核治療と栄養治療のための診療所を運営している。
2009年だけで、MSFはガルカイヨの南部と北部の全体でおよそ4万2000件の診察を行い、1000人近い新生児をとり上げた。また、1万3000人以上の人びとに予防接種を実施し、360件の外科手術を行い、800人以上の結核患者を治療した。
活動スタッフ:以下の医師がスタッフとして活動した。
アブディリサク・アーメド・ダルマー医師
眼科医であるダルマー医師は、インドとアフリカで眼科治療プログラムの支援を行っている国際慈善活動「見る権利」の研修・研究責任者を務めている。ソマリアで研修を受け、25年の経験を持つダルマー医師は、アフリカ各地やイギリスのさまざまな医療の現場で活動してきた。これと並行して、教育・研究機関でも活動しており、ソマリアのベナディール大学医学部の地域眼科医療・医療統計学の客員上級講師、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院国際眼科医療センター臨床研究フェロー、タンザニアの中核都市ダルエスサラームにある研究診療所の所長を歴任している。ダルマー医師は長年にわたってMSFの活動に協力しており、最近ではソマリア中部で現地のNGO「ムドゥグ開発組織」の会長として、MSFが運営する南ガルカイヨ病院を支援している。
アブドラヒ・アダン・モハムド医師
マスラー医師として知られ、南ガルカイヨでMSFが展開する外科治療プログラムのスタッフとして活動しているモハムド医師は、2008年にベナディール大学を卒業した。ソマリアでは、シアド・バーレ大統領の追放後、大学を卒業して医師になった第一陣の1人であった。卒業後まもなく、MSFの支援を受けてメディナ病院で外科の専門研修を受講した。南ガルカイヨ病院でマスラー医師は、周囲数百km圏内で唯一無償の外科医療を提供している。夜間でも緊急の患者がいれば対応し、暴力による損傷から日常のありふれた症状まで、月に約40件の外科手術を行っている。
2009年のインタビューでマスラー医師は次のように語っている。
「最もやりがいを感じるのは、治療を終えた患者が再び病院を訪れ、感謝していただけるとともに励ましてくれることです。それが私に達成感と充足感を与えてくれます」
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