ハイチ:活動分野別の概況(2010年5月12日現在)
2010年05月25日掲載
![]() タバルの術後ケア施設の様子。 |
1. 外科治療、術後ケア(病院・医療施設別)
ポルトープランス

やけどの患者への外科処置の様子。
サン・ルイ病院にて。
●サン・ルイ病院/ポルトープランス
ベッド数250床、手術室は3室のテント病院で医療・外科治療が続いている。手術室3室のうち1室は、やけど患者の処置専門に設計されている。サン・ルイ病院はハイチ地震によって使用困難になったMSFのトリニテ病院と同じく、重度損傷患者ならびにやけどの患者の外科処置を担う施設である。この病院には小児・救急医療も加わり、現在は総合病院として機能している。この施設では、医療ケア、外科処置後の経過観察、理学療法、心理ケア、社会面の支援も行っている。1月25日以来2300件の外科手術を行い、現在190人が入院している。
●ショスカル病院/ポルトープランス、シテ・ソレイユ地区
ハイチ保健省が運営するこの病院に、MSFは当初、主に地震による負傷者の治療を支援するために入った。現在、大手術用2室と小手術用1室の計3つの手術室が機能している。MSFはまた、救急処置室、産科病棟および小児病棟で活動している。性暴力の被害者に向けて医療ケアと心理ケアも行っている。ベッド数は100床である。地震によって被害を受けた病院の建物自体の修復は済んでいるが、今も地震の恐怖から建物内に入る患者がいるため、すべてテントでの治療になっている。また、降雨による冠水被害を防ぐため、さらに改修が進んでいる。ショスカル病院チームは非常に脆弱な立場におかれた人びとのニーズに応えるため、この病院を総合病院にした。すべての患者と介助者に向けた心理ケアも引き続き行われている。
●ビサントネール(術後ケア村)/ポルトープランス
術後ケア・救急医療・手術室2室を備えた外科治療、母子医療を行っている。ベッド数は70床。心理ケアも提供している。
●イザイ・ジャンティ緊急産科ケア病院
MSFはこのベッド数85床の病院で、ハイチ保健省と連携して産科(母子医療)と緊急産科ケアを提供している。4月の分娩件数は、帝王切開131件を含む635件であった。この施設は現在ポルトープランス市内の基幹病院となっており、合併症や、妊娠中毒症の一種である子癇の患者を受け入れている。MSFは今後数週間のうちに、ベッド数130床の組立式コンテナの病院を設営し、新生児ケアや産科ケアの基幹病院兼研修センターとする予定である。イザイ・ジャンティ病院での保健省との連携は今後も継続する。
ポルトープランス市外
●カルフール、MSF整形外科病院
手術室2室、ベッド数135床の、損傷措置と術後ケアを提供する病院。毎日約18件の外科手術を行っている。通常のX線撮影装置に加えて、カルフール市内に数台しかないCアームX線撮影装置の1台を備えている。骨折内固定法と骨折外固定法を含む整形外科手術、皮膚移植、筋皮弁術のほか、術後ケアとリハビリが提供されている。また、カルフール地域の緊急外傷治療病院としても機能している。現在100人の患者が入院しており、術後ケアはNGO「ハンディキャップ・インターナショナル」と協力して提供されている。心理ケアは患者とその家族両方に提供している。病院には外来部門もあり、毎日約50人の患者に外傷の治療を行っている。
●カルフール、グラース小児病院
グラース村避難民キャンプに隣接するこの新しい病院は、現在ベッド数80床の小児病棟と救急医療ステーションを増築中である。5月初旬現在、重度栄養失調児を対象としたベッド数30床の集中栄養治療センターがこの病院内に設置され、平均して20人の子どもが入院している。
●レオガン
MSFは地震発生直後からシャテュレ病院の敷地内に設営したベッド数120床の病院で活動を続けている。ここでは、産科、婦人科、一般外科、一般内科を含む救急医療のほか、理学療法や心理ケアも提供している。この病院の外に、MSFはベッド数100床のコンテナ病院と、ベッド数60床の諸施設の建設に着手した。新たな病院は7月中旬から8月中旬にかけて完成し、上記のサービスに加えて、放射線科と検査施設も利用できるようになる予定である。
●ジャクメル
市内の中核病院の建物が地震で激しく損壊したため、MSFはベッド数81床のテント病院で外来、入院患者を受け入れている。新たな木造施設の建設がほぼ終わり、外科、産科、内科は既に移転している。救急医療や心理ケアも提供している。
2. 術後ケア(術後ケア専門施設)
MSFは外科手術を行うすべての活動拠点で、あらゆる術後ケアを提供しているが、ポルトープランス市内のいくつかの拠点は手術後の患者を受け入れることに特化した施設である。
●プロメス/ポルトープランス
MSFはベッド数50床の術後ケア施設で活動しており、心理ケアも提供している。5月末までに合計66人の患者へ術後ケアを提供した後、この施設での活動は終了を予定している。受け入れていた患者はMSFが運営する他の施設に移送する予定である。

タバルの術後ケア施設の様子。
●タバル/ポルトープランス
この術後ケア施設のベッド数はおよそ100床で、理学療法と心理ケアを提供している。サン・ルイ病院から患者とその介助者を受け入れている。この施設は、4月に活動を終了したデルマ30区の術後ケアセンターに代わって患者を受け入れている。
●サルト地区/ポルトープランス
MSFは2月に、ソフト・ドリンク加工工場を改造した建物に、術後ケア施設を新設した。この施設では最大で300床までの増床が可能である。現在、160人の患者が術後ケアを受けている。創傷ケア、更に専門的な整形外科手術や再建外科手術を必要とするすべての患者はこの施設に移送されている。リハビリや義肢に慣れる訓練などを最適なものにするために、NGO「ハンディキャップ・インターナショナル」の理学療法士が、MSFと協力して活動している。また、心理ケアも提供している。毎週通院して術後ケアを受ける患者の診察件数は100件となっている。
●ミッキー幼稚園/ポルトープランス、クリスト・ロア・エ・ブルドン通り角
この施設における活動は4月で終了した。ここでは平均して60人以上の入院患者を受け入れ、術後ケアほか、医療ケア、心理ケア、理学療法を提供していた。さらに治療を必要とする人は、MSFが運営するほかの施設へ移送された。
[心理ケア]
心理ケアはMSFの活動する施設では、大手術を受けた患者が必ず受けられるようになっている。心理ケアチームはカルフール、イザイ・ジャンティ、サルト、シテ・ソレイユ、マルティッサン病院内で患者と介助者に優先的に対応しており、集団カウンセリングも一部の施設では受けられる。また、これらの施設の周辺にある仮設キャンプの住民や、性暴力の被害者へのカウンセリングにも力を入れている。
3. 一次医療(病院・医療施設・キャンプ・移動診療別)
ポルトープランス
●マルティッサン
MSFは、ベッド数40床の救急外来と容態安定化のためのケア施設を2006年以来運営している。小児科、内科、産科も含めて1日あたり約100件の新規患者の診察を行っており、うち30件は緊急の治療が必要な患者である。
●サン・ルイ
サン・ルイにあるテント病院の隣で、4月には性暴力の被害者60人が24時間対応の設備で治療を受けた。外来部門と通院治療プログラムも設けられており、同じ時期に2800件を超える診察を行った。サービスには産前ケア、そして包帯交換、理学療法、心理ケアをはじめとする通院治療による術後の経過観察も含まれている。
●シャンドマルス広場前/ポルトープランス
外来部門は1日あたり約140件の診察を行っている。さらに医療ケアを必要とする患者は、MSFが運営するほかの施設に搬送している。シャンドマルス広場前にあった術後ケアセンターは4月に活動を終了した。
●「ペスィョンビル・ゴルフ・クラブ」キャンプ
MSFはこの推定4万5000人の被災者が暮らす大規模な避難民キャンプで、基礎的な医療と妊婦へのケア、NGO「ハンディキャップ・インターナショナル」と連携してのリハビリ、搬送サービス、定期予防接種、および心理・社会的支援を提供する診療所を運営している。1日あたりの診察件数は約150件である。

心理ケアの様子。デルマ24地区にて。
●デルマ24区/ポルトープランス
ポルトープランス市内のデルマ24区に2月に開設された診療所。毎日約150件の診察が行われている。
●シャンセレル、飛行場キャンプ
MSFは自宅を失った被災者4万人が住むキャンプに現在もトイレとシャワーを設置し続けている。通院患者を対象に、産前検診と地域の心理ケアサービスを5月15日に開始する予定である。
●サルト病院:平均して週に220件の基礎的な医療の診察を行っている。
●カルフール・フォア地区/ポルトープランス
MSFは家を失った約2万人の被災者が暮らすキャンプ内の2ヵ所(カルフール・フォアとタピ・ルージュ)でテント診療所を運営している。1日に200件~250件の診察を行っている。このチームは包帯交換と予防接種を行っている。また、清潔な水を提供し、衛生活動および心理ケアも行っている。
ポルトープランス市外
●カルフール、グラース村避難民キャンプ
1万人の被災者が暮らすこのキャンプではテントの中に診療所を設置し、キャンプ内および周辺市街地の人びとを対象に基礎的な医療、産前・産後ケア、心理ケアを提供している。1日に約150人の患者を診察し、1週間あたり250件の包帯交換を行っているほか、患者とその家族に心理ケアも提供している。
●カルフール、シキナ診療所、ワニー87地区
基礎的な医療、産前・産後ケア、心理ケアを提供する診療所。1日あたり80人ほどの患者が来院している。この地域は都市部で、多くの避難民が小集団になって生活している。
●レオガン
MSFは現在、サント・クロア病院内に設けた臨時の外来病棟で、心理ケアや産前ケアも含めて1週間に700件の診察を行っている。5月中には新たな外来病棟の建設を完了する予定である。
●ドゥフォー/レオガン
定常的な診療所を設けて1週間に約600件の診察が行われ、必要に応じて患者はレオガン病院へと搬送されている。
●グレシエとプチ・ゴアーブ
MSFはグレシエとプチ・ゴアーブで行っていた移動診療を終了した。医療チームが1週間に3回現地に赴き、二次医療圏での治療を必要とする患者をレオガン病院に搬送している。
4. 物資配布(地域別)
MSFは、運営する施設の周辺で暮らす数千人の人びとが至急必要としているテントの配布を終えた。調理器具や衛生用品キットなどの生活必需品の配布は、首都ポルトープランス市内外の各地で現在も続けている。MSFはこれまでに、合計で4万セット以上の救援物資セットと、2万8000張近くのテントを配布した。配布場所は以下のとおり。ポルトープランス市内のサン・ルイ学校、デルマ33区、デルマ24区、タバル、サルト、シテ・ソレイユ地区。カルフールでは、カルフール西部にある沿岸地帯プチ・ゴアーブとグラン・ゴアーブ、レオガン、そしてジャクメルである。先ごろ、レオガン周辺のへき地の村々に暮らす約200世帯に対してもテントと生活必需品を配布した。
5. 水・衛生活動(地域・病院別)

修復した共同トイレ。ポルトープランスにて。
MSFはポルトープランス市内外の数ヵ所で、水・衛生分野で活動している他の団体や機関の活動に加わった。MSFは1日あたり714立方メートルの水を配布し、803基のトイレを建設し、200基のシャワーを数ヵ所に分けて合計数万人の人びとが生活している地域に設置した。MSFはまた、仮設キャンプに住む人びとが最低限の衛生状態を保てるように、トイレの汲み取り・清掃も行っている。
6. 調査
MSFは、潜在的な非常事態を確認するために、ポルトープランス市外の地域で調査を行っている。最近では、ゴナイブ、ポールドペ、カパイシャン、フォールリベルテ、サンマルク、ベランス、ティオット、ジェレミー、レカイなどの地域で調査を行った。また、ハイチおよびドミニカ共和国両国の国境周辺地域やドミニカ共和国の首都サント・ドミンゴでも調査を実施した。その結果、調査チームは、主に公共医療サービスが不足していることを確認した。民間・半民間の施設の高額な医療費が、人びとが救急医療も含め医療を受けるにあたっての障害となっている。MSFはさらに調査結果を分析し、これらの地域の一部において、活動強化の可能性を判断する予定である。ポルトープランスでは、産科と外科のニーズへの対応を主な目的とし、追加の医療施設を今後数ヵ月のうちに設置する計画である。
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