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開発途上国に向けたワクチン普及の世界的取り組みが、急激な資金不足に直面  ―オックスファム・MSFが共同報告書を発表―

2010年05月12日掲載

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髄膜炎の予防ワクチン。
髄膜炎の予防ワクチン。

国境なき医師団(MSF)とオックスファム・インターナショナルは5月11日に報告書「開発途上国へ最高のワクチンを-ワクチンの普及と研究開発の概略」を発表し、最貧国の子どもたちの命を守るワクチン普及への国際的な取り組みが、その価格の高さと急激な資金不足により阻まれている現状に警鐘を鳴らした。

開発途上国における予防接種の普及を目的とした官民パートナーシップ「GAVIアライアンス(ワクチン予防接種世界同盟)」(GAVI)は、死亡率の高いB型インフルエンザとB型肝炎の2疾患について、そのワクチン普及がこれらの病気の予防において大きな成果を収めたと報告している。しかし、新種ワクチンの高い価格、そして資金拠出国からの出資が停滞しているために、同団体は現在急速な資金不足に直面している。新たに24億米ドル(約2235億5600万円)の資金が提供されなければ、GAVIは大規模な予算削減を強いられ、貧困国でのワクチン普及活動を後退させざるを得ない。

MSF必須医薬品キャンペーンのディレクター、ティド・フォン・シェーン・アンゲラー医師は次のように話す。
「ワクチン市場の基本的な性質のために、豊かな先進国向けに開発された高価な新種のワクチンが途上国の子どもたちのもとに届くまでには、何年もの時間を要します。また、研究開発のパイプラインを経て完成した製品は、往々にして途上国のニーズや条件には適合していません。この報告書では、その原因を明らかにしています。」

MSFは3月にチャドではしかの予防接種を実施。
MSFは3月にチャドではしかの予防接種を実施。

GAVIが現在直面している財政面での困難は、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)の導入を加速する試みにおいても顕著に現われている。このワクチンは、富裕国では長年にわたり使用されており、数十万人もの患者を肺炎や髄膜炎などの深刻な感染症から守ってきた。また同時に、多国籍のワクチン製造業者に巨額の富をもたらした。しかし、このワクチンを設備や人材の乏しい貧困国により広く導入しようとするGAVIとその資金拠出国の試みは障害にぶつかっている。

PCVを開発途上国に遅滞なく普及させるという意思表明は繰り返し行われているものの、製品供給の問題と資金不足により、依然として多くの子どもたちに届いていない。ケニアは2010年にこのワクチンの新型版の提供を受ける資格を持つ唯一の国であるが、子ども1人当たりのコストは21米ドル(約1950円)と、資金拠出国と途上国政府が負担するにはあまりに高い。

オックスファム・インターナショナルのシニア・ポリシー・アドバイザー、ロヒト・マルパニ氏は次のように述べる。
「最新のワクチンを製造しているのは、一握りの多国籍製薬会社だけです。この寡占状態が高価格を許しているのです。GAVIには交渉力があるとはいえ、新種ワクチンの価格は高過ぎます。今回発表した報告書では、子どもたちへのワクチン接種率を上げ、生きられる可能性を高めるために、手の届く価格のワクチンを開発する新たな方法について述べています。」

安価な新しいワクチン開発の一例として、世界保健機関(WHO)と米国の非営利団体PATH、インドの後発医薬品メーカーのセラム・インスティチュートが合同で髄膜炎ワクチンを一接種あたり0.5米ドル(約46円)以下で行えるよう実現させたことが挙げられる。サハラ以南アフリカに位置する「髄膜炎ベルト」と呼ばれる髄膜炎が頻繁に発生する国々のニーズに合わせて開発されたこのワクチンは、今年中には利用可能になる見通しである。

MSFとオックスファム・インターナショナルは、拠出される資金が、開発途上国の条件に合い購入可能な価格のワクチンの開発促進につながるよう、現状の仕組みを変革することを訴えている。

こうした変革に加え、定期予防接種の態勢を強化する必要がある。開発途上国では、既存のワクチン接種が出来ないために、毎年2百万人もの子どもたちが命を落としている。

シェーン・アンゲラー医師はこう訴える。
「過去2年間、MSFははしかと髄膜炎の大規模な流行に対応してきました。流行の原因は、はしかワクチンの接種を受けられない子どもが増加していることや、有効期間の長い髄膜炎ワクチンが未だに利用できないことにあります。大枠の目標は、定期予防接種の接種率向上と、新型ワクチンの確保に設定すべきです。」

MSFは2009年、各地で5万人以上の髄膜炎患者を治療し、740万人以上に向けて予防接種を行った。また、2008年にはしかが大流行した際には流行地にて3万2千人を治療し、190万人以上の子どもに接種を行った。

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