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パレスチナ:ナブルスからの証言2 ―パレスチナ人ソーシャルワーカーの報告―「パンしか食べられないこともよくあります」

2010年05月10日掲載

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パレスチナ

シャルークは、国境なき医師団(MSF)のナブルスにおけるプログラムで活動するパレスチナ人のソーシャルワーカーです。彼女は自らの人脈を使って、特に困窮状態にある一部の家族を、社会福祉団体や保健省、または国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に紹介しています。以下の報告は、2009年7月に寄せられました。


援助を必要とする人びとを探して

患者の家庭を訪問するソーシャルワーカーのシャルーク。
患者の家庭を訪問するソーシャルワーカーのシャルーク。

私のもとには、心理療法士から患者が紹介されてきます。私はこれらの人たちが必要としている手助けを得られるよう、国内の社会福祉団体や国際援助機関と調整を行います。また、入植地の近くやイスラエル軍による侵入がある場所など、問題が起きやすい地域で、心理的支援が必要な人びとを探すこともあります。私たちはそうした場所に赴き、特に女性に対して、MSFのことを紹介します。時には患者の方からこちらを訪ねてくることもあります。

ここでの主な問題は失業です。特に難民キャンプでは大きな問題となっています。パレスチナ人はイスラエルで働くことが禁止され、労働許可を得るためには何年も待たなければなりません。影響を最も受けているのは男性です。各家庭はわずかな菜園で自家用の作物を栽培し、ヤギやニワトリを飼い、必要最小限のものしか持っていません。ここでの生活は厳しいものです。パンしか食べられないといったこともよくあります。最も必要とされているのは食糧です。MSFは各家庭のニーズに応じて月に2回から5回、基本的な食糧をセットにして配布しています。冬には暖房用品や毛布なども配布します。

学校でも家庭でも暴力の影響が

家族全員が苦しんでいます。学校に関する援助の要請も多く受けます。4、5歳くらいからの子どもたちが暴力的になってきており、学校に来なくなる例が増えているためです。校内暴力も年々激しさを増し、権威に対する敬いの念も失われています。生徒をもてあました教師が、生徒に対して暴力をふるう場合さえあります。

幼い子どもたちはストレスに苦しみ、怯え、よく眠ることができない一方で、なぜ自分の気分が晴れないのか理解できません。父親は失業中で、家庭内暴力も深刻な社会問題となりつつあります。家族全員が苦しんでいます。それなのに、家庭内暴力に対処している組織は2つしかありません。また、ナブルスで無償の教育を提供している団体は、大学生が運営する1団体しかありません。

一触即発の緊張が続いている

緊張が高まると、イスラエル軍は戦略的に重要な場所にある家の屋上や上階を占拠します。滞在は6日で終わる場合もあれば、半年続く場合もあります。この事態は、住民を肉体的にも精神的にも消耗させるうえ、屈辱的でもあり、家族全員に心理的重圧がのしかかります。兵士がようやく引き上げた後には、すべてがめちゃくちゃにされ、ドアや窓が壊されているのです。

ナブルスには3ヵ所の難民キャンプがあり、難民と住民の間で緊張が高まっています。キャンプの生活はお互いに密接して暮らし、プライバシーもないので、暴力行為も頻発しています。すでに人びとが十分に悲惨で困難な生活を送っているこうした地域には、追い打ちをかけるように、イスラエル軍による侵入も頻繁に起こっています。

情勢は不安定で、一触即発です。何が起こるかわかりません。経済的な面でも、すべてが急激に崩壊する可能性があります。ただし、人びとの心理状態が全体的にひどく悪化していることだけは確かです。ある日の時点では安定していた患者も、翌日に心の傷となるような出来事を経験し、深刻な状態に陥ってしまいます。こうした事態はこの地の慢性病となっています。精神科の患者の数は増え続けていますが、パレスチナ全体で精神病院は1ヵ所しかありません。それも、ここから2時間もかかるベツレヘムです。また、ナブルスに精神科医は1人しかいません。民間の診療所もありますが、費用を負担する必要があります。ここには深刻なニーズがありますが、それに対応するための臨床的・専門的な体制は整っていません。MSFは、心理・医療・社会面での援助を密接に組み合わせながら無償で提供している唯一の団体です。この3つの種類のケアは、互いにどれが欠けても機能しない不可欠な援助だと私は思います。

ニュース ― ヨルダン川西岸地区 ナブルスにおける新たな暴力の形

ナブルスからの証言1 ― 精神科医の報告―「臨床心理ケアを提供しているのはMSFだけです」

ナブルスからの証言3 ― ある家族の話「そっとしておいてほしい、願いはそれだけです」

ナブルスからの証言4 ― ある家族の話「私たちは逃げられない。耐えるしかないのです」

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