コンゴ民主共和国:ウバンギ川を越えた難民の苦難は続く
2010年05月07日掲載
コンゴ民主共和国(DRC)の赤道州から逃れ、隣国コンゴ共和国との国境をなすウバンギ川を越えた約11万人の難民は、依然として同じ川沿いに留まっている。今のところ彼らが帰郷できる見込みは薄い一方で、人びとの健康面や人道上の状況はこの数ヵ月間改善されておらず、今後悪化する恐れもある。
国境なき医師団(MSF)の現地活動責任者イザベル・ムニアマンに、現地の状況を聞いた。
Q. コンゴ共和国側の現状を教えてください。

ベトゥの森の中で避難生活を送るDRCから来た難民の家族。
A. 昨年10月にDRCの赤道州で武力衝突が発生して以来、コンゴ共和国北部のリクアラ県に逃れてきた11万人にとって、状況はほとんど変わっていません。彼らは、両国の国境をなすウバンギ川に沿った南北に長い地帯で避難生活を送っています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は県北部のベトゥ郡に5万5000人の難民がいることを確認しましたが、彼らはまだ難民登録は受けておらず、現在のところ、食糧と最低限の生活物資を受け取れる配給カードが支給されているのみです。
県の南部のアンフォンド郡では、DRCのムバンダカ地方で情勢が不安定になった影響を受け、難民登録が停止しています。この地域には約3万4000人の難民が暮らしているとみられます。また同郡の最南部のリランガには、推定1万7000人がいます。MSFチームの一つが現地調査に赴いており、私たちは彼らが戻ってくるのを待っているところです。
Q.この地域で今後、懸念されることは?
A.リクアラ県というところは全体に極めて孤立した地域であり、援助を届けることが非常に困難です。様々な物流上の障害があり、運搬はカヌーかボートに限られます。世界食糧計画(WFP)も食糧を届けるのに非常に苦労しています。ベトゥにはかろうじて200トンが届けられましたが、それでは不十分です。10万人もの人びとが押し寄せたため、村々の人口は本来の2倍から4倍に膨れ上がっています。住民たちが彼らを助けたいと思っても、分けられる物はもとより多くありません。女性たちの一部は川を渡ってDRC側にわたり、畑を耕したり市場に行ったりしていますが、夜になる前にはコンゴ共和国側に戻ってきます。
難民は増え続けており、ここでは学校も運営されていて、故郷に戻ろうとする人はいません。物資輸送の困難に加えて雨季が近付いており、今後はマラリアの増加が懸念されます。また水を調達できるのはほぼ川に限られ、安全な水が得られる湧水や井戸はわずかしかありません。したがって、人びとの健康状態は今後数ヵ月のうちに悪化するおそれがあります。とくに子どもの栄養失調が心配です。
Q. MSFは現在どのような活動を行っていますか?

ボートで移動診療に回るMSFのチーム。
A. 私たちは、ベトゥとアンフォンドの2ヵ所に大規模なプログラムを立ち上げました。どちらの地域でも、病院で複数の診療科を担当するほか、移動診療や常設診療所を立ち上げ、川沿いの村々の患者を診られる態勢を整えました。ベトゥの病院では、今年1月以来すでに1000人の入院患者を受け入れ、3万8000件以上の診察を行っています。アンフォンドの病院はこれより小規模ですが、ベッド使用率は65%を超えています。また、モベンザレの町(アンフォンドから北に90キロ)の周辺で調査を2回にわたり実施しています。この辺りには約1万7000人が避難しているものと見られ、調査結果によっては、活動をさらに南の方に移動することも検討しています。いずれにせよ今後数ヵ月にわたってMSFの活動の重要性は高まるでしょう。チームは状況の変化に目を光らせていきます。
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