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インド:EUとの自由貿易協定(FTA)交渉が最終段階へ

2010年04月23日掲載

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インドと欧州連合(EU)との間で現在協議中の自由貿易協定(FTA)交渉は、4月28日から最終ラウンドに入る。

現在交渉中のFTAは、インド製の安価なジェネリック医薬品の供給を脅かす恐れがあり、その影響はインド内外の患者数百万人に及ぶ。インドは途上国に向けたジェネリック医薬品の主要な供給源であり、国境なき医師団(MSF)が各国で展開するエイズ治療プログラムで使用されている治療薬の80%がインド製である。しかし、FTAが調印されれば、この状況が脅かされる。


医薬品に手が届かなくなる危機

EUはインド政府に対して、医薬品においてより厳格な知的所有権の保護基準を課すよう要求している。現在EUが推し進めている措置は、ジェネリック医薬品の登録と販売開始を遅らせ、特許権を付与する期間の延長させることで市場競争を阻害し、薬価を患者の手の届かないほど高額に維持するものである。これは、開発途上国でHIV/エイズやその他の病気に感染した人びとの命を危険にさらすものである。

MSFの必須医薬品キャンペーン政策責任者、ミシェル・チャイルズは語る。
「インドのアナンド・シャルマ商工相とEUのカレル・ドゥ・グヒュト通商担当委員は、FTAはジェネリック医薬品業界からの医薬品の普及を妨げることはないと明言しています。しかし、双方とも協議中のFTAからジェネリック医薬品競争を脅かす条項を除外することは公約していません。私たちはこれらの条項が、FTAから公的かつ完全に除外されるまで抗議を続けていきます」

3月12日には、HIV感染者やエイズ患者がニューデリーにあるインド商工省の前で抗議デモを行った。

インドのHIV陽性者団体「デリーHIV陽性ネットワーク(DNP+)」のルーン・ガングテ代表は語る。
「私たちはインド政府が、HIVと共に生きる人びとの命を引き換えにするような決定を行わないよう要求し、抗議活動を行っています。彼らが一生涯治療を受けられるためには、新たなエイズ治療薬を入手できることが不可欠です。インド政府が過去に調印した国際貿易規定のため、新しいエイズ治療薬には既に特許権が付与され、全く手の届かない価格になっています。政府は一体だれのために協議を続けているのでしょう」

インド製の治療薬を使うアフリカや南米にも影響が波及

インド国外でも懸念の声が上がっている。数百万人が安価なジェネリック医薬品に頼っているアフリカでは、安価なインドのジェネリック医薬品の普及が妨げられることになれば、壊滅的な影響が患者に及ぶことが予想される。その影響はMSFのプログラムで治療を受ける患者にも及ぶ。

ケニアのナイロビにあるスラム地区マタレに住むマーガレット・ワンガリは、8人の子どもの母親である。彼女はマタレにあるMSFの診療所で抗レトロウイルス薬(ARV)によるHIV/エイズ治療を受けている。
「もしジェネリック医薬品が無くなってしまったら、私たちは生き延びることはできないでしょう。子どもの世話をしたり、自分の身の回りのことをしたり、家族と過ごすことはできなくなるでしょう」

ブラジルでは、インド・EU間の協定がブラジルでの医薬品の普及にもたらす影響を懸念し、NGOによる署名活動も始まった。ブラジルの市民活動家は過去にも米国における同様の協定に対し抗議活動を行い、一定の成功を収めている。

4月28日にブリュッセルで始まる非公式協議は、最終合意に達する前の最終ラウンドとみられている。EUは2010年10月までにFTAを調印する意向を表明していることから、今回の協議が医薬品の普及を著しく妨げる条項を除外できる最後の機会とみられる。

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