スーダン:東部にカラアザール治療センターを開設
2010年04月21日掲載
「治療をしていなければ、これらの人びとは命を落としていたでしょう。この病院での活動を通じて、毎年数百人の命を救えるようになるはずです」
こう語るのは、国境なき医師団(MSF)がスーダン東部で新たに開始したカラアザール(内臓リーシュマニア症)治療プログラムの責任者、ダジェムリデット・ウォルク医師だ。
開設から2ヵ月で、顧みられない病に苦しむ400人を治療

MSFの診療を受ける、幼いカラアザール患者。
ウォルク医師の言う「これらの人びと」とは、この新たなカラアザール治療センターの開設から2ヵ月間で、MSFとスーダン保健省の合同チームが治療した400人のカラアザール患者のことである。このプログラムは、首都ハルツームから南東に550km離れたゲダレフ州にある遠隔地の村タバラク・アラーで実施されている。この一帯のアトバラ地区は、世界で最もカラアザールが風土病として蔓延している地区の一つである。カラアザールはサシチョウバエに刺されることで感染する寄生虫病で、治療をしないままでいると、命に関わる。この地方の46万人の住民は貧しい生活環境で暮らしており、そのほとんどが農業で何とか生計を立てている。
タバラク・アラー病院で活動する保健省の職員、アブバカル医師は語る。
「MSFがこの病院で活動を始めるまでは、カラアザールの治療薬が不足していました。治療を受けることができたのは、遠く離れた町まで行き、そこに1ヵ月間滞在して治療を受ける費用の出せる患者だけでした。それ以外の人びとからは、病院に追加の治療薬が届くまでの間、鎮痛剤を出してほしいとよく頼まれました」
治療には、30日間にわたって毎日注射を行う必要がある。第一選択薬の費用はおよそ50ドル(約4600円)であるが、現在MSFが活動している公立病院では無償で提供されている。
9歳のアマル・オマール・アブドゥ・ダナは、MSFのカラアザール治療センターに到着したばかりである。わずか2日前に受けた検査でカラアザールに感染していると診断され、すぐに治療が始められることとなった。アマルの父親は言う。
「息子は2日間歩き続けてひどく疲れてしまい、立っていられなくなりました。そこで私はロバを借りてこの子を乗せ、このタバレク・アラー病院までやって来たのです。MSFのカラアザール治療センターは、とても評判がいいですから」
治療に加え、研究や研修支援、医療設備の充実も
MSFは、カラアザール治療に加えて、スーダン保健省および国内外のさまざまな機関と協力して、カラアザールの診断と治療を向上させるための研究を進めている。既にこの死に至る病の治療に必要な医薬品や医療物資の提供を始めているほか、スーダンの医療従事者への研修支援も行う計画である。また、公立病院におけるカラアザールへの対応状況を改善するために、カラアザール患者専用の検査室、分娩室、入院病棟を建設し、装備を整える予定もある。
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