チリ:「地震に津波が重なり、すべてを破壊し尽くしました」-ロジスティシャンへのインタビュー
2010年03月30日掲載
チリ大地震の被災地で国境なき医師団(MSF)の活動に従事するロジスティシャン(物資調達管理調整員)のピエール・ガリグーに、現地の様子と援助活動についてインタビューを行った。
Q. チリ地震の直後に、MSFとして最初に現地入りしたメンバーの一人ですね。どのようにして活動を立ち上げましたか?

チリ大地震の被災地で活動するロジスティシャンのピエール
・ガリグー。
A. 地震発生当日のお昼頃、ブエノスアイレスのMSF事務所から電話があり、チリでの調査活動に参加してほしいと依頼されました。その日の夕方6時には、ブエノスアイレスから、チリと国境を接するメンドーサ州に向かう飛行機に乗っていました。そこからチリの首都サンティアゴ行きのバスに乗り、翌朝到着しました。
着くとまず、たまたま休暇でチリに来ていたMSFのコーディネーターに連絡を取りました。通信に問題があり、彼女と連絡を取るのは容易ではありませんでした。それから、以前MSFで働いていたチリ人の援助従事者たちに連絡を取り、彼らは後にチームに加わってくれました。それから、震源に近い地域にどうやって入るか、検討を始めました。
状況は混乱していました。チリに入ったのが早すぎて、何が起きているのかという情報がまだ何もなかったのです。テレビのニュースでは、沿岸地域の状況が非常に悪いとのことでした。救援活動のほとんどは、最も深刻な被害を受けたコンセプシオン地域に集中していたため、私たちMSFチームは震源から少し離れた地域に向かうのがよいだろうということになりました。
Q. 被災地に入った当初の印象は?
A. 翌2月28日の夜にサンティアゴを出発し、次の朝にはクリコにある病院を訪問しました。病院には医師はたくさんいましたが、非常に混乱していました。町の商店は閉まっており、通信回線は途絶え、がれきだらけでした。
私たちはさらに進み、道路の通行状況を確かめながら、ビチュケンからイロカに向かいました。
震災直後の数日間は、沿岸部の情景が最もショッキングでした。人びとはがれきの山から埋もれた家財道具を探し出そうとしており、あたりは深い悲しみに満ちていました。ショックのあまり、人びとの表情からは完全に感情が失われていました。多くの人がすべてを、愛する家族までをも失ったのです。医療従事者の抱えるストレスは大きく、対処しきれないほどの負荷がかかっていました。
Q. どのような援助ニーズがありましたか?

太平洋沿岸部トゥンベスでの移動診療の様子。
A.海岸から離れた内陸部では、建物の損壊でがれきが大量にありました。しかし沿岸部では、地震に津波が重なり、すべての物を完全に破壊し尽くしてしまいました。地震で家が倒壊しただけならば、がれきの中から何か使えるものを取り出すこともできます。しかし沿岸部では、家がまるごと波に飲み込まれてしまったのです。
人びとはすべてを失い、仮設の小屋で生活しています。沿岸部では、地震の再来を恐れて高台に避難した人たちもいます。私たちは、まず貯水容器、毛布、屋根用のビニールシートの配給が必要だと判断しました。また目撃した状況から考え、心理ケアの必要性についても検討しました。その後も数日間にわたって状況調査を続け、医療物資が不足していることも明らかになりました。クラリペでは、人びとが波に流された医療品を回収しようと試みていました。私たちは、3日目には5000世帯分の衛生用品キットを発注しました。また、クラリペで医薬品の無償提供も開始しました。
Q. チーム内ではどのように役割分担しましたか?
A.地域ごとに分かれました。1チームはコンスティトゥシオン市に向かい、私のチームはそこからずっと南のクラリペに向かいました。そして、各チームの中でも医療従事者は現地の病院を訪問し、私は役所に向かって、倒壊した家屋数や何が必要とされているかを確認するため、市長や保健省、社会開発部門の職員と話をしました。いくつかの村では家屋の70%以上が損壊したと、多くの人が話していました。このように、目視確認したこととミーティングで得た情報を重ね合わせ、MSFとして被災者のためにどのような援助を行うべきかを決定したのです。
Q. 被災後、状況はどのように変化していきましたか?
A.地震後2、3日間は膨大な量の救援物資が届きました。クラリペでは、直後には何もなかったものの、数日後には地域の診療所でボランティアの医師たちが寄付を受けながら活動を開始していました。復興に向けて迅速に動き出している兆しが見られました。
私の眼からは、チリには復興する力が十分にあるように思われます。対応策の失敗も見られますが、このように大きな災害の直後ではありえることです。とはいえ、被災者の数、家屋の損層は甚大です。
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