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ダダーブの歌―ソマリア人難民の声―

2010年03月掲載

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ケニア国境付近の町、ダダーブに設けられた3つの難民キャンプ(ハガデラ、イフォ、ダガレイ)には、ソマリア各地の激烈な内戦から逃れてきた人びとが暮らしています。内戦によって国は破壊され、男も女も子どもたちも皆、避難を余儀なくされ、国際社会からの援助に頼って生活しています。

この特集では、ダダーブの難民キャンプに身を寄せる人びとの証言、詩、歌をお届けします。難民キャンプでの困難な生活のみならず、ソマリアで生きることの厳しい現実が語られています。

Hawa Hawa Mohamed Hindya Omar

ダダーブに身を寄せる彼らの声を通じて、避難を余儀なくされた人びとのもつ、さまざまな側面、彼らの過去や文化、希望、そして彼らが求めているものが、被害者としての“難民”のイメージを超えて伝わってくるでしょう。

撮影は、人口過密なダガレイ・キャンプで行われました。ダガレイを含むダダーブの複数のキャンプは、1990年代初頭に1キャンプあたり3万人を受け入れる予定で設置されました。しかし2010年現在、26万人近いソマリア難民がダダーブに集まり、世界最大の難民キャンプの一つを形成しています。

ソマリア・ケニア国境は公式には閉ざされているにもかかわらず、2010年初頭以来、ソマリアの首都で続く熾烈な戦闘を逃れるため、新たに5000人が国境を超えてケニア側に入りました。

国境なき医師団(MSF)は2009年2月から、ダダーブで病院と4つの診療所を運営しています。現地のスタッフが目撃しているキャンプの状況は非常に過酷で、MSFはソマリア難民が直面している人道危機に隠された人びとの素顔に光を当て、広く知らせる必要があると考えました。

一連の作品は、ソマリアの人びとすべて、とりわけ不可欠な協力を提供してくれたアブバカールとマハドに捧げます。

 

Hawa (ハワ)

ハワは興奮気味で自分の体験を語りたがっていましたが、どう話をつなげればよいのかわからない様子でした。語っては中断し、言葉を探して迷うのです。そして歌い始めると、言葉は流れ出てきました。銃の発砲音、かき切られる喉、血のあとと死体の山……長い間混乱と戦争にさらされる国に生きることの恐怖。ハワはそれでも、ソマリアへの愛と憎しみの入り混じった感情とともに、平和な国に生きることへの渇望を語ってくれました。



Mohamed (モハメド)

モハメドには、ある朝、巨大なキャンプの真ん中にある彼の小屋の前で出会いました。彼はすぐに、乾燥させた泥で作った自宅に招いてくれました。彼の生活環境は、他の難民に比べればましです。私たちはマットレスの上に座って、彼の暮らしぶりや以前のことを聞きました。カメラを取り出すと、モハメドは妻に金色の服を持ってきて、壁に掛けるように伝えました。彼らがソマリアから持ち出すことのできた数少ない品の一つです。モハメドは使い古したギターを取り出し、歌い始めました。周りの女性たちも声を合わせました。愛する故郷が戦争に破壊され、国を追われた悲哀をうたう歌です。




Hindya (ヒンディヤ)

ヒンディヤは小屋の前で私たちを待っていました。通訳を通じて取材を申し込むと、自分の話をするのは、もう飽き飽きしたという風でしたが、もう一度話しましょうと言ってくれました。ヒンディヤは少しずつ、彼女と家族がどんな困難をくぐり抜けてきたのかを語りました。それは身も凍る恐ろしい話でした。彼女の娘が脇に座っていましたが、その顔には表情がなく、どこか違う場所にいるかのようでした。無差別な暴力によって家と国を追われた家族の物語です。



Omar (オマール)

オマールは、私たち撮影チームがMSFの診療所を離れるというので挨拶に来ました。話がしたいというのです。心配そうな彼の様子は、牢に閉じ込められた人が心身を解き放ちたいと願う姿を思い起こさせました。彼の心は、19年も続く紛争によって破壊されたソマリアの戦争の亡霊に、いまも囚われているかのようです。その言葉は、戦争と戦争がもたらす暴力よってすべてを失った男からの問いと苦悩にあふれていました。暴力に満ちた過去と、過酷な現在の物話です。


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