結核:過酷な治療を経て薬剤耐性結核を克服したタヴァン
2010年03月19日掲載
たくましい体と力強い握手、今のタヴァンは健康そのものだ。しかし、2年ほど前は、薬剤耐性結核を患っており、最悪の健康状態にあった。
辛い投薬を支えるのは、本人の意思とスタッフのサポート

いまは全快したタヴァン。自らの治療
体験を語り、多くの患者を励ましている。
「ある日、仕事中に気分が悪くなり、体がひどく衰弱して、やっとのことでタクシーに乗り込み家に帰りました。それから高熱が出て2日間自宅で寝込み、さらに吐血が始まりました」
薬剤耐性結核(DR-TB)にかかるまで建設管理者だったタヴァンは、こう語る。
薬剤耐性結核と診断されるまでに体重は20kgも減り、最終的に国境なき医師団(MSF)がアルメニアの首都エレバンで管理・運営にあたる結核治療プログラムに登録された。
2年以上にわたるつらい治療を経て、今や彼は全快している。
薬剤耐性結核の治療は、エレバンの国立結核センターで始まる。患者はこの病気を他人にうつす可能性がなくなるまで、通常2ヵ月ほど入院する。
退院後は週に6日、外来診療所に通い、空気を介して感染する、この病気を治すための薬剤投与を受ける。
他のほとんどの患者と同じように、タヴァンもおよそ2年間にわたって毒性のある薬を服用しなければならなかった。これには本人の強い意思とMSFのソーシャルワーカーと心理ケアのチームによる支援が必要だった。
タヴァン自らも、体験談で患者の治療継続を支援

薬剤耐性結核の治療薬は強い抗生物質
で、患者の心身両面に過酷な副作用を
及ぼす。
薬剤耐性結核に対処するための最新の医薬品は1940年代に開発された強力な抗生物質で、錠剤、粉末剤、注射の組み合わせが、精神的肉体的に激しい副作用を引き起こす。
50歳のタヴァンは語る。
「こうした薬の服用は本当に大変でした。自分に何が起こっているのかわかりませんでした。立つことも、歩くことも、横になることもできず、吐き気に襲われました」
患者が既に他の病気にかかっている場合、副作用の激しさは、時に耐え難いほどになる。
MSFのプログラムで活動するシャヒダル・イスラム医師は語る。
「胃炎のある患者が治療を受け始めると、結核の痛みよりも腹部の痛みを強く感じます。そうした場合、患者が薬を嫌がることもあります。副作用のために服用を中止してしまうのです」
2007年にMSFが支援するプログラムに登録された患者のうち、およそ21%は治療を最後まで終えることができなかった。その多くが、治療をやめた原因に過酷な投薬計画を挙げている。
治療を受けて快復したタヴァンは今、できる限り多くの患者が治療を続けられるよう、自分の体験を患者たちに話している。
彼はこう語る。
「患者たちは私が日ごとに健康を快復していったことを知り、治療を信じ、過酷な投薬にも耐えられるようになりました。治療を始めたとき私はどんな状態だったかなど自分の例を話し、よいアドバイスをするよう努めています。当時私は半死半生でしたが、今では健康です。私の話を聞き入れる人もいれば、そうでない人もいますが……」
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