アフガニスタン:NATOの声明はアフガニスタンの患者を危機にさらす
2010年03月15日掲載

アフガニスタン南部ヘルマンド州ラシュカルガにあるブースト
病院の入り口。MSFは「武器の持ち込み不可」を徹底している。
国境なき医師団(MSF)は、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長が2010年3月初めにヘルシンキで行った講演の中で、NGOの活動を軍事戦略の一部を構成する「ソフトパワー」と位置づけた見解に対し、強く抗議する。
MSFは紛争地での活動において、いかなる場合でも軍事戦略やその協力者として活動することはない。MSFの活動における完全なる独立性と中立性によって初めて、緊急医療援助を必要とする人びとの元に赴く合意を得ることができるのである。
NATOによるこのような声明は、NGOの医療援助活動が軍事戦略の一環であることを示唆し、MSFの患者とスタッフをさらなる危険にさらすものである。
MSFが2009年に紛争が激化したアフガニスタンでの活動を再開した際の目的は、紛争地帯で孤立無援状態に置かれた人びとに、迅速でアクセス可能な医療を提供することであった。そのため、MSFはアフガニスタンおよび国際治安支援部隊とその反対勢力などの全ての紛争当事者と、MSFが現在活動しているカブールと南部ヘルマンド州ラシュカルガにある病院区画内に武器を持ち込まないという合意を得た。この武器の持ち込み禁止が守られて初めて、援助を必要とする人びとは医療施設に入っても安全と感じることができるのである。軍に関係したものが全くないということは、病院の施設が双方の勢力から攻撃される危険がないことを意味する。
ラスムセン事務総長の見解では、MSFのような民間の人道援助団体がNATO軍と協同して活動するか、その「ソフトパワー」をNATO軍に提供すべきだということになる。しかし、それでは医療施設は安全であるという人びとの理解を危機にさらし、病院や患者、スタッフを反対勢力による攻撃の標的にする恐れがある。
ラスムセン事務総長による発言は、アフガニスタンがNATOとNGOの協働の模範例になるとの見解を示している。MSFはラスムセン事務総長および紛争の当事者全てに対し、政治的・軍事的な目的と民間の独立した医療援助の間にある明確な区別を尊重することを訴える。
![]()
報告書「アフガニスタン-人道援助活動への回帰-(邦訳)」 (2010年3月発表)
関連情報
- 2011年10月18日
- アフガニスタン:北部で唯一の外傷治療センターを開院
- 2010年12月3日
- アフガニスタン:武器のない病院で無償の医療を提供――活動再開から1年
- 2010年12月3日
- アフガニスタン:「医療ニーズは増大していくでしょう」―活動責任者のインタビュー
- 2010年12月3日
- アフガニスタン:武器のない病院で無償の医療を提供――活動再開から1年
- 2010年12月3日
- アフガニスタン:「紛争に巻き込まれて」―患者と家族のインタビュー















