• English
  • 한국어

RSS

ご寄付に関するお問い合わせ・資料請求は フリーダイヤル 0120-999-199

寄付する

  1. TOP
  2. 活動ニュース
  3. ニュース
  4. アフガニスタン:首都カブール、アーメッド・シャー・ババ病院での活動

アフガニスタン:首都カブール、アーメッド・シャー・ババ病院での活動

2010年03月15日掲載

Bookmark and Share

アフガニスタン

国境なき医師団(MSF)は2009年10月以来、アフガニスタンの首都カブール東部のアーメッド・シャー・ババの地区病院を支援してきた。カブールの人口は過去10年で3倍に増えた。紛争に引き裂かれた地域から、比較的安全な首都へと逃れてきた人もいるし、貧困に苦しんだ末、首都カブールで生計を立てようと移住してきた人もいる。パキスタンや、アフガニスタンの他地域に一度避難してから帰還してきた人もいる。その結果、30年にわたる紛争ですでに脆弱になっていた医療システムが限界にきてしまった。医者にかかる余裕のない多くの人びとが、医療を受けられなくなっている。


人口の急増と基礎的な医療の不足

1歳になる娘、ライラに無料予防接種を受けさせたナスリーン。
1歳になる娘、ライラに無料予防接種を受けさせたナスリーン。

「ここでは、診察も薬も無料です。私には住む家さえありませんが、それでも、病院で1歳の子どもに予防接種も検査もしてもらえました。本当によかったです」

こう話すのは、明るい青のブルカの中から笑顔をのぞかせるナスリーン*である。アーメッド・シャー・ババ・メナからやって来た彼女の1歳になる娘、ライラは無料予防接種を終えたところなのだ。

*患者の安全保護のため、仮名を使用。

MSFは2009年10月以来、カブール東部のアーメッド・シャー・ババ病院を支援してきた。カブールの他地域でも事情は同じだが、この地区病院のある地域も過去10年で人口が急増した。しかし一方で、民間診療所(たいていの人には診察費の払えない)を除けば、現地における基礎的な医療は今も不足したままである。

アーメッド・シャー・ババ病院の医師が子どもの予防接種歴を把握できるよう、必要な情報はすべてカードに記載されている。ナスリーンは説明する。
「病院に次回来なくてはならない日時が、このカードに書いてあります。ライラの具合が悪くなっていないことを確認しに来院する必要があるのです。私のように経済的な余裕のない人はたくさんいます。助けてほしくても、お金が払えないのです。かつては、人に無心してバザール(市場)に薬を買いにいくお金を工面したものですが、でも今はここに来ます」

「ここは彼らの病院であり、患者は彼らの同胞なのです」

これまで5ヵ月間にわたって、MSFの外国人派遣スタッフとアフガニスタンの医師、助産師、看護師は、病院の医療スタッフと力を合わせて医療の質の改善に取り組んできた。特に重点を置いてきたのは、治療手順、救急処置室での治療、産科医療サービスの改善である。MSFの小児科医であるマリア医師は、アーメッド・シャー・ババ病院での活動を当初から支援してきたチームの一人である。
「医師にとっては、これは間違いなく、病院を別の角度から見る一つの方法です。自ら仕事に携わる場合と他人に任せる場合との間でうまくバランスをとる必要があります。監督の仕事と、管理・直接支援の仕事を組み合わせなくてはなりません。病院スタッフに取って代わるのではなく、この人たちがいろいろな意味で実力をつけて、これまで行ってきたことに更に力を入れ、また新しいことも取り入れていく、その手助けをすることを念頭においています。ここは彼らの病院であり、病院にいるのは彼らの同胞なのですから」

MSFがアーメッド・シャー・ババ病院で行っている仕事の中で極めて重要な要素の一つとなっているのが、病院スタッフを対象とした指導と研修に時間を割くことである。例えば、産科病棟では、滅菌や正しい分娩準備といったテーマについて、MSFの助産師が病院の4人の助産師を対象に週単位の連続研修を始めている。

救急サービスの強化と、質の確かな医療の提供

アーメッド・シャー・ババ病院を訪れた子どもたち。
アーメッド・シャー・ババ病院を訪れた子どもたち。

現在は、1日に診察を平均400件、分娩を平均10件こなしている。
「開始当初の診察時間は午前11時半まででした。今は状況が変わり、12時から1時の休憩をはさんで、午後2時半まで診察しています。毎日午後に少なくとも170人の患者さんを診ています」とマリア医師は語る。

早朝、トリアージ*システムの導入に取り組む健康教育担当のスタッフと受付係が、何百人という患者に登録カードを配布する。病院で働く医師は7人だが、診察の質を維持するため、1人の医師が診察する患者は最大で60人と決められている。院内を見渡してみると、女性と子どもが患者の大半を占めていることがわかる。マリア医師は説明する。
「2人いる小児科医は手一杯です。診察する子どもの数がとても多いのです。来院した人を断るのはとても大変ですが、病院は金曜日を除いて毎日開いているからと言って安心させるようにしています。

*トリアージ:患者の重傷度・緊急度などに応じて治療優先順位を決めること。

MSFが最優先事項の一つとして取り組んでいるのが、毎日昼夜を問わず当直の医師・看護師を置いて、救急サービスを1日24時間、週7日稼動させることである。

薬の慢性的な過剰処方は、同病院で働くMSF医療チームにとって頭の痛い問題の一つである。「処方の習慣を変えるのは時間がかかります。薬を必要としていない患者に6~7種の薬を処方することも珍しくありません。現在、患者1人当たり平均3種の薬を処方しています。私たちは、具合の悪くない人には薬を出さないというところまでもっていきたいと願っています。ここでは解熱鎮痛薬のパラセタモールが、まるでキャンディーのように安易に出されているのです」 バザール(市場)に行けば、質の粗悪な偽造薬がすぐに買える。多くの患者が、効能よりも害のほうが大きい薬を購入しているのだ。

MSFの薬品が1月に到着してからの3週間で、1万人の患者が診察を受けた。
「無料で薬を出すというだけではありません。私たちは質の確かな治療を提供したいのです。この地に出回っている薬は品質が確かではないのです」
プログラム・コーディネーターのシルビー・カチュマルチクは、こう説明する。

心理ケアの導入で、より広範な医療の提供へ

患者の診断を行うMSFのスタッフ。
患者の診断を行うMSFのスタッフ。

この病院を地区病院として十分に機能させるため、MSFはインフラの主要要素の補修と復興にも携わっている。とは言え、建物の物流面での問題に取り組む間、医療の仕事が止まることはない。「コンストラクション」(建設)と「コンサルテーション」(診察)は同時進行中である。

まもなく、男女別の病棟を備えた30床の入院施設*と、帝王切開にも対応できる手術室が開設される。MSFはまた、病院で提供するサービスに心理ケアの要素を導入したいと考えている。実現すれば、アーメッド・シャー・ババ周辺に住む約20万人が、この病院でより広範な総合医療を受けられるようになる。マリア医師は説明する。
「新しい建物では、トリアージのためのちゃんとした部屋を確保します。子どもたちは診察の順番を待つ間に、暖かい部屋に通されて身体測定を受けます。これは、栄養失調の子どもを見つけるのに役立ちます。また、病院の健康教育担当スタッフと共同で、健康への意識を高め、健康教育を促進する場として待合室を利用できるようにしたいと考えています。患者にも順番待ちの時間は無駄にならないとわかってもらえるようになります」

*イスラム教圏なので男女別の対応が必要になるため。

病院長のサッタル医師は感嘆の声をあげる。
「多くの人が病院にやってきます。薬も検査も医者も外来診療も、無料ですから。救急処置室も24時間開いていますし」


MSFはアフガニスタンでの援助活動を、いかなる政府あるいは資金拠出機関からの助成金も受けずに、一般市民からの寄付金のみで運営している。MSFは現在、カブール市東部にあるアーメッド・シャー・ババ地区病院に加えて、ヘルマンド州の州都ラシュカルガにあるブースト病院で、現地の医療体制を支援している。両地域におけるMSFの目的は、命を救う無償の医療を、効果のある薬を用いて、産科、小児科、外科、救急医療などすべての医療分野で提供することである。

MSFは2010年に、アフガニスタン国内他地域の病院や地域診療所に、支援を拡大する予定である。


報告書「アフガニスタン-人道援助活動への回帰-(邦訳)」 (2010年3月発表)

Bookmark and Share

関連情報

2011年10月18日
アフガニスタン:北部で唯一の外傷治療センターを開院
2010年12月3日
アフガニスタン:武器のない病院で無償の医療を提供――活動再開から1年
2010年12月3日
アフガニスタン:「医療ニーズは増大していくでしょう」―活動責任者のインタビュー
2010年12月3日
アフガニスタン:武器のない病院で無償の医療を提供――活動再開から1年
2010年12月3日
アフガニスタン:「紛争に巻き込まれて」―患者と家族のインタビュー

[アフガニスタン] に関連した情報を表示