ハイチ:活動分野別の概況(2月18日現在)
2010年02月26日掲載
地震直後の数週間は、数千人もの患者に外科手術や治療を提供するために時間との闘いが続いたが、国境なき医師団(MSF)の医療援助で現在、より焦点が置かれているのは理学療法や心理ケアを含む術後ケアである。
MSFの病院で治療を受けた患者に最善の術後ケアを提供するために、また、ハイチから去りつつある他の団体が治療してきた患者を受け入れるために、MSFは術後ケアのための施設やベッド数を増やしている。さらに、MSFは外来部門を新設し、一次医療の援助にも力を入れ始めている。
また、地震から5週間を経て、いまだに急ごしらえのキャンプや路上で暮らす人びとが直面している過酷な状況を改善するため、MSFはテントや毛布、衛生キット、調理用品のセットなど、物資配布活動を拡大している。
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1. 病院別 外科治療・術後ケア
●サン・ルイ病院/ポルトープランス
ベッド数200床、2つの手術室を備えたテント病院で、外科手術の提供は続いている。やけどの治療のためさらに手術室1つを設置する予定。現時点で188人の患者が入院中。病院設置以後、614件の外科手術を行った。この病院では術後ケアも完備しており、医療・外科的なフォローアップのほか、理学療法、心理ケアやソーシャル・ケアも提供している。治療対象には、震災前にMSFがトリニテ病院で行っていた活動と同様に、重度の外傷(交通事故、銃創、やけど、等)や、性暴力の被害者も含まれている。
●ショスカル病院/ポルトープランス、シテ・ソレイユ地区
ハイチ保健省が運営するこの病院に、MSFは当初、主に地震による負傷者の治療を支援するために入った。規模の大きい手術用2室と、比較的軽微な手術用1室の、計3つの手術室がある。MSFは現在、救急処置室と産科ケアの支援も行っている。ベッド数は100床だが、建物が地震の被害を受けたため、すべてテントでの入院治療になっている。現在95人の患者が入院中。外傷患者には理学療法と心理ケアも提供している。
〈地震後の主な治療件数〉
救急処置室での緊急治療1166件(新規患者:833件、包帯交換:333件)、外傷(けが、やけど)481件、暴力による外傷(銃弾、刃物による傷)85件、外科手術690件、大きな整形外科治療91件(切断手術37件を含む)、それ以外の傷の手術222件。地震による負傷患者の数はやや減りつつあるが、依然として深刻な症状の患者がおり、整形外科治療も続いている。地震翌日の2月13日から27日までに103件の分娩が行われた。銃やなたなど暴力による負傷の患者数は1日あたり0.6人。
●シャンセレル(産婦人科病院)/ポルトープランス
この産婦人科総合病院は、外傷の治療と産科ケアに使われている。ベッド数計85床のうち、40床分は外傷患者用。ここでMSFは2つの手術室を使い、外傷患者の治療を行っている。主に整形外科治療である。地震以降、325件の外科手術を行っており、そのうち61件が整形外科手術、97件が外傷治療、94件が帝王切開である。外傷患者には理学療法のほか、心理ケアを提供している。救急処置室ではこれまでに790人の新規患者を受け入れており、そこには産科の患者525人と包帯交換94件も含まれる。1週間あたり10〜20件の帝王切開を含む、産婦人科ケアの支援も行っている。
●サン・サンコントネール高等学校/ポルトープランス
2月5日から活動を開始した拠点。80人の患者が入院して術後ケアなどの外科治療、心理ケア、理学療法を受けている。これまでに32件の手術を行った。緊急の重要課題はベッド数の拡大。
●ミッキー幼稚園/ポルトープランス
1月19日から活動を開始した拠点。60人の患者が入院して、術後ケアなどの外科治療、心理ケア、理学療法を受けている。これまでに60件の小規模な手術を行った。緊急の重要課題は、術後ケアの受け入れ能力を最大限に保つとともに、手術を行った患者のフォローアップと、心理ケア・リハビリの強化を行うこと。
●ビサントネール(術後ケア村)/ポルトープランス
術後ケアと救急治療(一般医療、外科手術、小児科、産科)のための施設。41人が入院中。現在のベッド数は64床だが、100床まで拡大する予定。心理ケアも提供している。
●カルフールMSF野外病院
ベッド数80床の外傷・術後ケア病院。毎日約30件の外科処置が行われている。整形外科手術、皮膚や筋肉弁の移植を実施するほか、術後ケアと理学療法も提供している。外傷治療のため定期的に通院する患者が約200人。入院患者は70人。外傷患者の術後ケアは他のNGO「ハンディキャップ・インターナショナル」との連携で行っている。腕や足を切断した患者や家族に心理ケアも提供している。
●ジャクメル
市内の中核病院の建物が地震で激しく損壊したため、テント内(ベッド数70床)で外来、入院患者の治療を提供している。外科手術は病院の手術室を使って行われている。診療対象は、内科、外科手術、産科、小児科。現在のところ心理ケアは行っていない。
●レオガン
ベッド数80床の病院。直近の1週間で合計152件(大規模:100件、小規模:52件)の外科手術を行った。地震後、MSFが病院を開設してから402件の外科手術(うち152件が大規模手術)。心理ケアも活動の中心を占めており、直近1週間で129人の診療を行った。産科ケアの活動も増えており、活動開始から計49件の分娩と、10件の帝王切開が行われた。
2. 術後ケア(術後ケア専門施設)
MSFは外科手術を行うすべての活動拠点で、あらゆる術後ケアを提供しているが、以下の拠点は手術後の患者を受け入れるための専門の施設である。
●「プロメス」/ポルトープランス
ベッド数40床で活動を開始した術後ケア施設。NGO「ハンディキャップ・インターナショナル」の理学療法士とともに活動している。現在27人の患者が入院中。心理ケアの提供も行っている。
●デルマ30区/ポルトープランス
この新しいテントの術後ケア・センターには、サン・ルイ病院から第1団の患者48人とその介護者が移ってきたばかりである。理学療法や心理ケアが必要な患者のために100床以上のベッドを備える予定。
●サルト地区/ポルトープランス
設置準備中の拠点。患者150人の収容力と、2つの手術室を備える施設が、2月23日に開設予定。
3. 腎臓透析、栄養治療(病院・医療施設別)
●ポルトープランス総合病院
MSFはこの総合病院で外科手術は行っていないが、腎臓専門医と看護師、技術者のチームが、透析治療の支援に入っている。このチームが担当する患者には、2つのグループがある。一つは、最初に受け入れはじめた、地震被害による急性のクラッシュ・シンドローム*の患者。もう一つは、最近になって受け入れを開始したグループで、未診断の慢性腎臓疾患があった人が、急性の腎不全を併発したケースである。チームは、クラッシュ・シンドロームの重症患者18人に計58回の血液透析治療を行った。慢性から急性に転じた腎不全の患者を含め、合計96件の緊急血液透析が、仮設の静脈カテーテルによって行われた。また、現地の腎臓専門医が対応できるようになるまで、従来からいた20人の透析患者にも治療を継続して提供した。チームはまた、腎臓以外の治療を行っている他の団体に、稼働式の機器を使った緊急検査のサービスを提供した。
*クラッシュ・シンドローム:がれきなどの下に長時間取り残された場合、筋肉組織に強い圧力がかかって大量の毒素が血液中に流れ込み、腎不全をもたらす。
●カルフール栄養失調安定センター
重度の栄養失調児の容態を安定させる施設と、救急栄養治療のための施設。現在12人の子どもが入院している。
4. 一般医療(病院・医療施設・キャンプ・移動診療別)
●マルティッサン/ポルトープランス
外来部門と45床の入院設備を持つMSFのセンターで、救急治療と容態安定化のためのケアを提供している。その他に15床分の産科ケア機能もある。このセンターでは地震後、3389件以上の診療と、454件の包帯交換を行った。救急処置室では開放骨折の患者69人と、それ以外の骨折の患者152人の治療を行った。現在、このセンターの活動の焦点は、地震以降の救急患者と小児科医療に置かれている。現在の入院患者は35人で、その半数が子どもである。また、毎日平均5件の分娩が行われている。毎日平均80人を診察しており、その大半が子どもの患者である。
●デルマ24区/ポルトープランス
2月15日に開設された新しい医療施設。毎日約150件の診療が行われている。MSFは、サン・ルイ病院とこのデルマ24区の施設を合わせ、将来的にデルマ地区全体で合計5ヵ所の外来施設を設置する予定である。
●ミッキー幼稚園/ポルトープランス
外来施設は現在も機能しており、1日あたり120〜170件の診療を行っている。
●トゥーリズム/ポルトープランス、シャンドマルス広場前
2月15日に外来診療を開始。1日平均160件の診療を行い、わずかだが包帯交換の患者も受け入れている。
●レオガン市と周辺地域
レオガン市内のサント・クロア病院で外来診療を実施するとともに、保健省の医療チームを支援する移動診療活動もドゥフォーとダルボーンで続けている。このほかに、グレシエとプティ・ゴアーブの間の地域5ヵ所で移動診療を提供している。直近の1週間で2974件の診療を行った。
●カルフール・フォア地区/ポルトープランス
家を失った約9000人の被災者が暮らすキャンプ内にテントの診療所を設置し、医師2人、看護師2人、助産師1人からなるチームが活動している。診療所にはまだ地震による負傷者も訪れてくるが、現在もっとも多い症状は、下痢、皮膚の感染症、上気道の感染症、発熱であり、心理ケアの要望も増加している。1日平均150件の診療を実施し、心理ケアも提供している。
●カルフール移動診療チーム
被災者が避難生活をおくるキャンプ、高齢者の自宅、診療所、孤児院などを中心に、カルフール地域の多くの場所を巡って活動している。
●グラース村避難民キャンプ
約1万5000人の被災者が暮らすキャンプに、基礎医療外来、産前・産後ケア、心理ケア部門を設置。毎日約110人の患者を診療している。
●「ペスィョンビル・クラブ」キャンプ/ポルトープランス近郊
推定8万人の被災者が暮らす、この大規模な避難民キャンプで、基礎医療活動を開始したところである。毎日約60人の診療を行っている。
●カルフール産科病院
保健省が運営する病院であり、24時間体制の緊急産科ケアを実施するため、MSFは人員・燃料・物資面の支援を提供している。
●ドゥフォーおよびダルボーン地域
毎日合計約230件の診療を提供し、定期的にレオガンへの搬送を行っている。東のグレシエと西のプティ・ゴアーブの間、約35万人の住民が暮らす地域で、常設の診療所2ヵ所と複数の移動診療活動を行っている。グラン・ゴアーブの移動診療チームによると、一般医療と入院措置のニーズが高まっていることが確認されている。
5. 心理ケア(地域別)
MSFの医療施設で大規模な外科手術を受けた患者には、定期的な心理ケアを提供している。また、下記の活動地では、他のグループを対象にした心理ケア活動も行われている。
●シャンセレル、ショスカル、マルティッサン
心理療法士のチームが、患者やMSFの現地スタッフにケアを提供している。
●グラース村避難民キャンプ
キャンプ内と診療所で、避難民に心理ケアを提供している。
6. 物資配布(地域別)
●サン・ルイ中学校/ポルトープランス
サン・ルイ病院(テント病院)の周囲で推定8500人が避難生活を送るキャンプで、1800張のテントを配布した。救援物資(衛生キット・調理器具)の配布も近日中に行う予定。
●グラン・ゴアーブ
家庭用救援物資セット2638個を配布した。
●プティ・ゴアーブ
364世帯に家庭用セットとテントを配布した。
●グラース村避難民キャンプ
飲料水用タンク2つ、バケツ、衛生キット、ビニールシート、石けん6つの入ったセットを、3000世帯に配布した。
●カルフール学校
MSF野外病院の周辺で暮らす避難民に衛生キット300個を配布した。
●レオガン
レオガン周辺の農村地域で救援物資1550セットを配布した。
●ジャクメル
1800世帯以上に救援物資を配布した。
7. 水・衛生活動(地域・病院別)
●マルティッサン、シテ・ソレイユ、シャンセレル
計19台のタンクで水供給活動を実施している。マルティッサン:1、シテ・ソレイユ周辺:5、シャンセレル:1、サルト:3、等。医療活動拠点の近隣に住む避難民を中心に供給している。
●カルフールMSF野外病院
近隣の避難民キャンプでの水供給、洗面所、シャワー、トイレの設置が行われている。
●グラース村避難民キャンプ
1万5000人の避難民に水を供給している。
●ルイ・ジャンビエ高等学校
栄養治療センターの水、衛生施設を支援している。
●レオガン
レオガン周辺の地域で1日あたり最大25万リットルの水供給と、トイレの提供を行っている。
●ミッキー幼稚園/ポルトープランス
1日あたり8万リットルの水を配布している。
●サン・ルイ高等学校/ポルトープランス
推計7000人の避難民のための水供給および衛生活動(トイレ)。
●ジャクメル
サン・ミッシェル病院に水タンクと水飲み場、トイレ10台を設置。
●グラン・ゴアーブ
衛生施設(休憩エリア)を4つのキャンプ(ライフライン、フェリュス公園、セルヴァン、ティト・パラディ)に設置。施設内容は、1ヵ所あたり4〜6つのトイレ、シャワー、水タンクや、計7ヵ所の水飲み場。合計7000人の避難民が対象。
●ペスィョンビルおよびカルフール・フォア地区/ポルトープランス
計3万1800人を対象に、稼働式および固定式のトイレ、稼働式シャワー、ゴミ捨て場、水タンクを設置した。
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