バングラデシュ: 深刻化するロヒンギャ族への迫害 MSF、当局に暴力の停止と保護を求める
2010年02月19日掲載

2009年10月以来、クトゥパロン仮設難民キャンプには6000人
以上のロヒンギャ族が迫害を逃れて到着している。
ミャンマーからバングラデシュに避難してきた、数千人に及ぶ国籍のないイスラム系少数民族ロヒンギャ族に対して、現地当局による暴力や迫害が続いている。避難民の住居が点在するバングラデシュのコックスバザール地区からは、当局や現地住民の暴力や迫害を逃れ、多くの人びとがクトゥパロン仮設難民キャンプに身を寄せている。この場所で、負傷者らの治療にあたる国境なき医師団(MSF)の患者の中には、バングラデシュ当局によってミャンマーへ強制送還されそうになった人たちもいる。 2010年2月18日、MSFは報告書*を発表し、ロヒンギャ族避難民への暴力の即時停止と、バングラデシュ政府と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)へロヒンギャ族の保護措置を早急に拡充するよう訴えた。
クトゥパロン仮設難民キャンプには、2009年10月以来、6000人以上が到着し、うち2000人は1月に到着した。避難民たちは過密状態で不衛生な土地の一画で、就業の機会も食糧援助もないまま、避難所の撤去におびえて生活している。MSFは、難民キャンプで受け入れる人数が増えるにつれ、人びとの健康に深刻な影響が出ることを深く懸念している。
バングラデシュにおけるMSFの活動責任者、ポール・クリチェリーは語る。
「バングラデシュ政府は、ロヒンギャ族に対する暴力行為を即座に停止し、保護を提供することが必要です。UNHCRも明確な方針を打ち出すために、大きく踏み出す必要があります。そして国による保護を失った人や保護を求める国がない人びとへの国際的な保護者としての役割が、バングラデシュ政府によって疎かにされることのないように求めなければなりません」
ミャンマーの民族・宗教上の少数民族であるロヒンギャ族は、迫害を逃れるため数十年にわたってバングラデシュへ避難し続けている。しかし、バングラデシュ政府によって限定的な範囲でも難民としての地位を認められ、現在UNHCRが監督する公設難民キャンプで生活しているのは2万8000人に過ぎない。これとは対照的に、難民認定のない20万人以上は援助もなく、非常に弱い立場で苦しい生活にあえいでいる。
2009年1月には、タイ政府がボート難民のロヒンギャ族を拘束した後、外洋に放置した「ボート危機」事件が起きた。この事件が示すように、ミャンマー政府から国籍の取得を拒否されているロヒンギャ族にとって、周辺アジア地域の複数政府による解決策は早急に必要とされている。
MSFは1992年からバングラデシュで医療を提供している。現在、クトゥパロンでのプログラムに加えてMSFはフルバリア郡でカラアザール治療プログラムを開始し、チッタゴン丘陵地帯で基礎的な医療プログラムを運営している。MSFは2009年5月末にバングラデシュを襲ったサイクロン「アイラ」による数万人の被災者にも対応した。
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