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スーダン:北部におけるMSFの活動状況 − 2010年1月 −

2010年01月28日掲載

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2009年3月に国境なき医師団(MSF)オランダ支部とフランス支部がスーダン政府によって追放された後も、他の3支部が同国北部のダルフール地方西部、ゲダレフ州、および紅海州で引き続き援助活動を行っている。現在、ベルギー、スペイン、スイス各支部は一次医療と二次医療を含む幅広いサービスを提供し、必要に応じて緊急事態にも対応している。ダルフール地方では強盗、さまざまなグループ間の散発的な衝突、援助活動従事者の拉致が今なお発生しており、治安は依然として差し迫った問題である。

北ダルフール州

シャンギル・トバヤにあるMSFの病院は、小児科診療、リプロダクティブ・ヘルスケア、カウンセリングを含む、一次医療と二次医療を提供。
シャンギル・トバヤにあるMSFの病院は、小児科
診療、リプロダクティブ・ヘルスケア、カウンセ
リングを含む、一次医療と二次医療を提供。

北ダルフール州では、シャンギル・トバヤ、タウィラ、ダル・ザガワ、カグロの4ヵ所で活動を行っている。困難な治安状況にもかかわらず、シャンギル・トバヤにあるMSFの病院は、小児科診療、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)ケア、カウンセリングを含む、一次医療と二次医療を提供している。この病院ではシャンギル・トバヤとシャダトのキャンプに暮らす国内避難民、および周辺村落の住民の計5万2000人に医療を提供し、病院から50キロ離れた町ハザン・ジャディードの住民も来院している。MSFは月に平均3000~4000件の診察を実施。また、4人の地域保健員が毎日ロバに乗って、医療を受ける機会のない近隣の村落へ通っている。MSFは医療サービスを拡大して、より多くの人びとを救うための手段を常に模索し、このチームも栄養スクリーニング、基礎的な医療、衛生教育、患者の経過観察を行っている。

2009年10月末と12月末には、南ダルフール州のシェイリアで起きた暴力行為に伴って生まれた新たな避難民への援助を行った。約3000世帯が故郷の村を追われ、ウム・デレッサヤ、シャンギル・トバヤ、ダル・エル・サラムの3ヵ所へと避難してきた。救援物資の配布、水やトイレの提供、移動診療、心理ケアおよび集団予防接種を通じて、MSFは避難民の命にかかわる人道上のニーズに対応した。

タウィラでは治安が大幅に改善し、MSFの活動再開が可能となった。北ダルフール州にある保健省管轄の病院は、タウィラの3ヵ所の国内避難民キャンプ、ルワンダ、ダリ、アルゴに暮らす人びと、および地元住民の計4万人を支えている。2009年10月、MSFはルワンダ・キャンプ内の保健省の診療所に医薬品と医療物資の補給をすることから活動を再開した。外来病棟では1日あたりの診察件数が3倍に増加し、約250件から300件の診察をするようになった。MSFは、一次医療と二次医療、リプロダクティブ・ヘルスケア、包括的な栄養治療プログラム、心理ケアを含むサービスを提供している。また、臨床活動の支援として、保健省職員とMSFスタッフへの研修・能力養成、現場の監督指揮、および報奨金の支払いも行っている。さらに、戦闘で破壊された保健省の診療所の修復も開始した。修復作業の完了後、医療サービスはこの診療所に移管される予定である。

シャンギル・トバヤとタウィラの治安が改善するまで、MSFはエル・ファシールに拠点を置く外国人派遣スタッフによる週2回の現地訪問を通じて、これらのプログラムの運営を続けていく。

今年1月には、スーダンとチャドの国境にほど近いダルフール地方北西部に位置し、これまで衝突が多発してきたダル・ザガワ地域にある5ヵ所の医療施設、ウム・バル、ウム・ハラズ、ジュラゲーム、ムズバット、フラウィヤでの支援を開始した。MSFは報奨金の支払い、医薬品の補給、移動栄養治療支援、研修、および能力養成を行っている。また、同地域での人道上のニーズに迅速に対応できるよう、緊急備蓄を手配する予定である。

2009年3月、サリフ・ウムラでMSFスタッフ3人が拉致された事件により、MSFはサリフ・ウムラとケブカビヤでのプログラムを終了して外国人派遣スタッフ全員を一時退避させ、ジェベル・シ地域のカグロにおけるプログラムからスーダン人スタッフを配置転換させた。5ヵ月にわたって、カグロから移ってきた現地スタッフはMSFの診療所で引き続き活動を行い、毎月の外来診療は平均1420件であった。しかし、昨年8月には海外派遣スタッフと配置転換されたスタッフのチームがカグロに帰還し、活動を再開できるようになった。

現在、カグロでは地域病院を運営し、外来部門、入院部門、拡大予防接種プログラム、通院集中栄養治療センター、入院栄養治療センター/栄養治療病棟、婦人科診療所のサービスをしている。また、MSFは孤立した山岳地帯の村、ブルゴ、ブーレー、ルゴ、ウセイゲ、ブーレーの5ヵ所でも診療所を運営しており、一次医療を提供している。MSFはカグロで唯一の医療提供団体であり、2005年から活動している。毎月の外来診療は平均3012件となっている。

西ダルフール州

2009年10月、人口2万7700人のジェベル・マラ地域にある町ゴロとキリンでのプログラムを終了した。ゴロでは一次医療と二次医療、産科診療および栄養治療を通じて地域病院を支援していた。キリンでも一次医療、外来栄養治療プログラム、産前・産後ケアによって現地の病院に貢献していた。MSFのこうした活動は、保健省に引き継がれる予定である。

ゲダレフ州

2010年1月、カラアザール(内臓リーシュマニア症)が風土病となっているゲダレフ州アトバラ地区の村タバラク・アラーで、保健省と協同して治療プログラムを開始した。MSFと保健省は、この地域におけるカラアザールの診断と治療の向上に共に取り組んでゆく。

紅海州

スーダン北東部に位置する紅海州の州都ポート・スーダンでは、タガドム病院で引き続きリプロダクティブ・ヘルスケアを提供しており、これは産前・産後ケア、婦人科診療、分娩、およびリプロダクティブ・ヘルス診療からなっている。ポート・スーダンに住む女性の約97.6%が何らかの形で女性器切除を受けており、その結果各種の深刻な内科的および産科的合併症を引き起こしている。タガドム病院におけるMSFのプログラムでは、妊婦に対していかなる形式でも女性器切除を認めないという「ゼロトレランス(不寛容)」方式をとっている。従って、この病院で出産するために来院する女性は分娩前に女性器の封鎖を解除され、分娩後も再封鎖されることはない。またMSFの地域保健員は、女性器切除の弊害について人びとの意識向上を図っている。


スタッフ数
スイス支部:海外派遣スタッフ6人、現地スタッフ38人
スペイン支部:海外派遣スタッフ12人、現地スタッフ250人、MSFが報奨金を支給している保健省職員12人
ベルギー支部:外国人派遣スタッフ14人、現地スタッフ191人、MSFが報奨金を支給している保健省職員40人
合計:海外派遣スタッフ32人、現地スタッフ479人、保健省職員52人


 

10の最も深刻な人道的危機2009年 1998年からMSFが毎年発表している「10の最も深刻な人道的危機」は、MSFの医療チームが世界約70ヵ国で行う援助活動を通じて目撃した最も深刻な人道的危機を報告している 。12回目となる2009年のリストには、スーダンも含まれる。

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