ハイチ:緊急医療におけるクラッシュ・シンドロームと敗血症の治療-透析看護認定看護師へのインタビュー-(1月25日現在)
2010年01月27日掲載

ポルトープランス総合病院、透析センターで活動する
ステファーン・マデンズ看護師。
今回のハイチ大地震の生存者のなかでも、四肢を激しく損傷を受けた人や、危険なほど感染が進んだ人は、腎不全のリスクにさらされている。
このような状況から、腎臓専門医チームが提供するサービスは国境なき医師団(MSF)の緊急対応の重要な構成要素である。今回の地震直後、MSFはポルトープランスにある総合病院に9人からなる医療チームを派遣、さらに、4台の透析器を現地に送った。
18日(現地時間、以下同)、MSFはクラッシュ・シンドローム*の患者に対し、命をつなぐ透析療法を提供し始めた。その後、1週間以内には、50回以上に人工透析を行っている。治療が行われなければ、命にかかわる。命を脅かす感染症である敗血症の患者も、専門的なケアをこのチームから総合病院で受けている。
*クラッシュ・シンドローム:がれきなどの下に長時間取り残された場合、筋肉組織に強い圧力がかかって大量の毒素が血液中に流れ込み、腎不全をもたらす。
MSFで腎不全の治療にあたっている透析看護認定看護師ステファーン・マデンズは、ポルトープランスでクラッシュ・シンドロームの患者の治療を開始した最初の2日間について、次のように語る。
地震後、36時間以内に、透析センターを再開
私の名前はステファーン・マデンズです。47歳、透析看護認定看護師です。MSFの派遣は8回目になりますが、震災を受けて活動地に来たのは初めてです。15日からハイチにいます。
地震では、負傷者はがれきの中に長時間はさまっていることがあります。がれきの中から助け出されたとき、圧力で損傷を受けた筋肉や損傷した組織、たとえば脚などから毒素が血中に流れ込み、腎臓がこれらの毒素を除去しきれず、人工透析によって老廃物を除去するしかなくなります。
クラッシュ・シンドロームは急性腎不全に陥る症候群です。通常、クラッシュ・シンドロームの患者は皆、命を落とすか、腎機能が序々に回復することによって命をとりとめます。回復は24時間後だったり、2日後であったり、さまざまです。機能が回復しない患者さんもいます。その場合は、慢性透析患者になります。透析療法は、生命を維持していくのに有効なのです。
総合病院の中にある透析センターが見つかったことは、大変幸運でした。センターは発見したときは壊れていました。水や電気が今回の地震のため止まっていたのです。しかし、MSFのロジスティシャン(物資調達管理調整員)のおかげで、発見後36時間以内にサービスを再開することができました。しかし、腎疾患治療ユニットを立ち上げて近隣の医療関係者に伝えたとたん、町中のクラッシュ・シンドロームの患者さんが押し寄せてきました。18日に最初の患者さんが来て、19日には6人、そして20日は11人。つまり、急激に増えてきているということです。
他国での震災対応への経験からいいますと、だいたい300人から400人に透析を行ったのではないかと思います。現在透析を受けている患者は20人しかいませんが、今後急激に増える可能性はあります。そのため、現地スタッフ採用チームは活発に動き、私たちはさらに腎臓医、看護師、さらなる透析関連機器を現地に送ろうとしています。今後少なくとも数週間、クラッシュ・シンドロームによって透析を必要とする患者さんが来ると思うからです。
増加が見込まれる患者への対応や、患者の発見に尽力
災害から6日も経って、これほど多くのクラッシュ・シンドローム患者がいるのは、かなり珍しいことです。なぜなら、通常はできるだけ早く治療しなくてはならないからです。しかし19日に私たちのところへ搬送されてきたクラッシュ・シンドロームの患者さんがたくさんいました。そういうわけで、まだまだ多くの患者さんが来るものと考えています。
私たちは積極的に患者を発見しようと努めてもいます。しかし最も大事なのは、すべての外科医やポルトープランスで働いている医師とコミュニケーションをとることです。MSFスタッフだけではなく、負傷者の手当てをしているすべての人に、「腎不全の患者さんの治療を診る可能性がある」と。
私たちのところでは現在7台の透析器が稼動し、1日に35人の患者さんを治療できます。ほとんどの人は、これで命が助かります。
24時間以内に回復し、透析治療が1回ですむこともありますが、時には毎日3回から6回透析を行う必要がありますし、治療が3週間にわたったり、元の状態には回復しないこともあります。
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