ハイチ:地震の負傷者の命を脅かす物資輸送の遅れ(1月20日現在)
2010年01月20日掲載
ポルトープランスとその近郊で、国境なき医師団(MSF)が医療援助を行う病棟や手術室では、現在も膨大な数の患者への治療が進行している。しかし、治療に必要な物資供給の遅れが、患者の命を脅かしはじめており、医療スタッフの間で懸念が深まっている。外科処置に必要な薬や、透析装置などの機材が緊急に必要だが、物資輸送の障害が、こうした医療物資の到着の遅れにつながっている。
「治療したいが、物資が足りない」と苦悩する現場

多くの患者が治療を待つショスカル病院の外。
シテ・ソレイユにあるショスカル病院で活動するMSFの活動責任者、ロリス・デ・フィリッピは、現在、活動地のあちこちで起こっている事態の深刻さについて、こう語る。
「活動するうえで、最もつらい局面です。手術室から出るたびに、治療を懸命に乞う多くの顔が私たちを待っているのです。病院の前にも、治療を懇願する人びとが待っています。これはあまりに容認しがたい状況です。彼らの願いに応えるために、私たちは活動の規模を拡大しようと努めています。しかし、そのためには、空輸されてくるはずの物資が必要です。そして、私たちには、着陸が拒否されつづけている理由が見当もつかないのです」
カルフール病院でも同様に、医療スタッフは非常に困難な状況に直面している。この病院で治療にあたる外科医、ポール・マクマスターは、物資が明らかに不足していると語る。
「輸送の遅れによって、必要な物資が受け取れない事態が続いています。私たちは医薬品を使い果たしつつあります。土曜日には麻酔薬のうち一種類を使い切ってしまいました。骨折のギプスに使う石こうもなくなったし、いまは収縮包帯もありません。こんな基本的な備品も入手できないとは悪夢のようです」
新たな活動展開にも輸送遅れの影響

カルフール病院に集まった負傷者への治療のもよう。
マルティッサンにあるMSFの他の病院では、被災以降、1500人以上の治療を行った。今も120人が病院内で治療を受けており、そのうち20人はやけどの患者である。MSFは現在、さらにその他6ヵ所の拠点で、震災によってさまざまな傷を負った患者を受け入れている。活動を立ち上げたばかりの拠点の一つに、ポルトープランス市内の大規模な総合病院の腎臓透析病棟がある。MSFはここで地震による破損をまぬがれた1台の機械を利用して、現地に入ったMSFの腎臓外科チームが、昨日1人めの治療を行った。このチームは、ドミニカ共和国経由で陸路輸送される新しい透析装置が届きしだい、活動の規模を拡大する予定である。
首都ポルトープランス以外で最も大きな被害を受けた町の一つ、レオガンも、活動の新しい拠点の一つになっている。この町の看護学校が被災者に基礎的な治療を提供しており、MSFのチームの一つがそれを支援している。別のチームは、町の教会病院だった建物に4つの外科病棟を立ち上げ、この地域全体の基幹病院にする準備を行っている。被害が大きいもう一つの地域、南岸のジャクメルでは、現地の病院の手術室を使って1チームが外科治療を開始した。また、ポルトープランス市内では、手術室を2つ備えたテント病院の設置作業が始まったが、輸送機がドミニカ共和国への着陸に変更を余儀なくされたために、設置に必要な物資と人員の到着は大幅に遅れた。
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