ハイチ:地震でMSFの医療施設も損壊。仮設診療所で治療開始(1月14日現在)
2010年01月14日掲載
1月13日深夜以降、ハイチで既に医療プログラムを展開していた国境なき医師団(MSF)のチームから、現地に関する報告が届き始めている。チームは今回の地震による負傷者数百人の治療にあたっているが、MSFの医療施設が損壊しているため、テントの中に診療所を設置して活動を継続している。
外傷、骨折のほか、ガス爆発による火傷も

地震で倒壊した建物。
首都ポルトープランスの貧困地域にあるマルティッサン診療所は被害が大きく、安全が確保されないため、地震後に患者を避難させなければならなかった。当診療所で受け入れていた患者は屋外に張ったテントに移動し、医療スタッフは町からやってくる負傷者にも対応している。既に300~350人が来院し、外傷と骨折が多くみられる。うち50人ほどは火傷を負っており、重症患者もいる。倒壊した建物の中でガス容器が爆発したことによる場合が多い。
パコ・リハビリセンターでは、別の300~400人が治療を受けている。首都近郊の町ペスィョンビルにあるMSFの管理事務所の一つに設けられたテント診療所には、少なくとも200人が来院した。
マテルニテ・ソリダリテ病院は深刻な被害を受けたが、ここで医療援助を受けている患者は現在も増えている。
施設損壊により、ニーズの高い外科治療が停滞

地震直後、数百人の患者が訪れているMSFの医療施設。
MSFのシニア・スタッフの一人、ステファノ・ザンニーニは13日夜、市内のニーズ調査に実施し、医療施設の状況を視察した。ザンニーニは語る。
「状況は大変混乱しています。現地の主要な病院を含めた医療施設5ヵ所を訪問しましたが、そのほとんどは機能していませんでした。多くは損壊しており、悲惨なほど多くの遺体を見ました。市内の一部は電気がなく、人びとは屋外に集まって路上でたき火をして互いに助け合い、落ち着こうとしています。私がMSFから来ているとわかると、彼らは助けを求めてきました。負傷者を助けてほしいというのです。路上に寝泊りしている人びとの間には、強い連帯意識があります」
現地にいるMSFの別のコーディネーター、ハンス・ヴァン・ディレンは、ハイチ政府の大規模の災害への対応は、全く追いついていないと語る。
「数十万人が住居を失い、路上に寝泊りしています。開放骨折や頭部のけががみられます。問題は、今の段階ではまともな外科治療を受けられる搬送先がないことです」
医療ニーズは高いが、市内にある医療施設のうち、あまりにも多くが被害を受けたため、この分野の医療は大部分が中断している。
医療体制強化のため、スタッフと援助物資を増強
MSFは追加の人員をハイチに派遣する準備を進めており、近日中に約70人が現地入る予定だ。また、ベッド数100床規模の病院建設資材を現地に送る。この病院はエアーテントにおさまる外科治療ユニットを備え、手術室2室と入院病棟用テント7張りからなる。チームには、地震被災地でよくみられるクラッシュ・シンドローム*に対応するための腎臓専門医も参加する。しかし、輸送ラインをつなぐのは困難であり、物資と医療スタッフが東隣のドミニカ共和国から現地入りする可能性もある。
MSFは安否の確認がとれていない一部スタッフの安全を深く懸念している。現地では800人が活動に従事していたが、もともと通信事情がよくなかったことと全体的なサービスの中断によって、いまだ連絡がとれていないスタッフがいる。
*クラッシュ・シンドローム:がれきなどの下に長時間取り残された場合、筋肉組織に強い圧力がかかって大量の毒素が血液中に流れ込み、腎不全をもたらす。
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