ソマリア:ガルカイヨのMSF診療所に過去最多の栄養失調児が来院(2009年12月8日現在)
2009年12月21日掲載
非常事態警告
ソマリアのガルカイヨでは、MSFの栄養治療プログラムのもとで治療を受ける重度栄養失調児の数が過去最高に達した。
南ガルカイヨ病院と北ガルカイヨ通院治療センターでは、現在1300人以上の子どもがMSFの栄養治療プログラムで治療を受けている。これは2008年1年間に、この地域で栄養失調の治療を受けた子どものほぼ半数に相当する。
プログラムで目にすることは、大きな危機のほんの一部
ファトゥマは、重い栄養失調の子どものそばに座り、不安げに回復の兆しをうかがっている。彼女の子どもは、現在、ソマリアの南北ガルカイヨの両方で国境なき医師団(MSF)が提供する栄養治療プログラムで治療を受けている1300人以上の子どもの1人だ。ソマリアにおけるMSF活動責任者のカリン・フィッシャー・リデルは語る。
「憂慮すべき状況です。栄養失調児の数は、MSFが過去にこの地域で治療した中で最大となっています。しかも、私たちが現在プログラムで目にしていることは、もっと大きな危機のほんの一部かもしれないのです」
悲しいことに、ガルカイヨから半径数百キロの地域で、無償で医療を提供する医療機関は今もMSFだけで、医療を必要とする人びとのうち、MSFの施設に来ることができるのは、ほんの一部である。MSFは、長い間、治安上の理由でアウトリーチ活動*を行うことも、遠く離れた村の患者を搬送することもできていない。
*アウトリーチ活動:こちらから出向いて、援助を必要としている人びとを積極的に見つけ出し、サービスを提供すること
「村では多くの人が亡くなっています。距離が遠いだけでなく、費用もかかるので、多くの人が金銭的な理由であきらめています」
現在MSFの施設で子どもが集中栄養治療と結核の治療を受けているウバは、こう説明する。
長引く干ばつと、医療機関までの遠い道のり

体重測定を受ける子ども。
MSFの混雑した待合室では、栄養失調の赤ん坊を抱いた女性の数が増えている。その多くは、病気の子どものために地元で薬を買ったり、伝統的な治療法を施したりしたものの失敗に終わり、最後の手段としてやってきた人たちである。
ファトゥマは説明する。
「村にも薬を売る小さな薬局はありますが、処方箋がないのです。だから、自分でマラリアだと思ったら、マラリアの薬を買ってきます。こんな薬の飲み方でよくなる人もいますが、病気がさらにひどくなる人、亡くなる人もいます」
MSFの栄養治療プログラムを受けにやってくる人びとは、今年異常に干ばつが長引いたせいで、もともと危機的な状況がどのように悪化したかについて、また慢性的な貧困、不作、食料品の高騰、長引く継続する暴力について語り合っている。
MSFの集中栄養治療センター責任者のジブリルは説明する。
「この地域では長く干ばつに見舞われていたため、現在、重度の急性栄養失調が最大の問題となっています。暑いときにも、多くの患者が遠くから来院しており、中にはエチオピアからやってきた人もいます。このような人たちの家畜は、すでに死んでいることでしょう」
悲しいことに、子どもたちが最も影響を受け、病気と栄養失調を繰り返す悪循環に陥っている。ウバは続ける。
「村には苦しんでいる子どもたち、非常に具合の悪い子どもたちがたくさんいます。私の娘は、最初、はしかにかかって衰弱し、そこに追い討ちをかけるように、今度は火事でやけどを負いました。しばらくすると、目が見えなくなり、8日間意識を失っていました。もう娘を病院に連れて来るしかありませんでした」
献身的な現地スタッフのおかげで、着実に回復する子も

栄養治療施設で診察を待つ母と子。
ソマリア全域で医療プログラムを運営するMSFの献身的なソマリア人スタッフのおかげで、ファトゥマとウバの子どもは、着実に回復の兆しを見せている。ウバは最後に付け加えた。
「私たちがここに来て15日になります。娘はまだ目が見えませんが、それ以外は、よくなりました。ここでは娘に流動食、ビタミン、治療食を与えてくれます。今では、ここに最初に連れてきたときとは見違えるほど元気になりました。もう、ほかの赤ちゃんと同じようです」
しかし、そこまで幸運に恵まれなかった子どもと家族は数え切れないほどいる。リデルは説明する。
「治安が悪化し、移動が非常に制限されているため、より広い地域での医療ニーズの調査や対応が不可能な状態です。と同時に、あらゆる指標が恐ろしい状況を指し示しています。つまり、無数の人びと、とりわけ子どもたちが、沈黙のうちに苦しみ、救いへの望みをもてない状況なのです」

ガルカイヨのMSFの栄養治療プログラムに子どもを
連れてきた母親。
MSFは南ガルカイヨ病院と北ガルカイヨで栄養治療プログラムを実施している。南ガルカイヨ病院は、ソマリア中南部で救急産科ケアや暴力による負傷者の治療といった外科治療を提供する数少ない医療機関のひとつでもある。これらの施設では2009年1月~10月の間に4803人の重度栄養失調児、暴力による負傷者321人を治療し、3万3700件の診察を行った。さらに700人の分娩介助を行い、6600人に予防接種を行った。また、599人の患者が、このプログラムで結核治療を開始した。
MSFはソマリアの8つの地域で10のプログラムを運営している。これらのプログラムはソマリア人スタッフによって運営され、ケニアのナイロビに駐在する運営チームがこれらの活動をバックアップしている。
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