スーダン南部:武力衝突や「神の抵抗軍」による暴力行為が拡大、援助が大幅に不足
2009年12月15日掲載

ジョングレイ州の村で発生した部族間の衝突によっ
て避難を強いられた家族。スーダン南部、2009年
11月。
スーダン南部で、隣国ウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」による攻撃や部族間の衝突が激化している。市民は2005年の南北包括和平合意の署名以降、最も深刻な暴力にさらされている。国境なき医師団(MSF)は、危機的状況が高まる中で国際社会からの対応は不十分であると訴える。
MSFは12月14日に発表した報告書「深刻な現状に直面:スーダン南部で暴力行為の激化により深刻化する健康危機」の中で、各国政府、国際的な資金拠出機関、人道援助団体が現在の危機的状況を認識し、緊急に人道上のニーズに対応するよう呼びかけている。
MSFは過去1年間でスーダン南部における著しい治安の悪化を目の当たりにしている。同国南部の上ナイル、ジョングレイ、レイク、中央エクアトリアの各州における武力衝突から、「神の抵抗軍」による東・西・中央エクアトリア各州における襲撃まで、市民に対する暴力行為は拡大している。
2009年にMSFが緊急対応に当たったジョングレイ州と上ナイル州では、村を標的にする襲撃が多発しており、その被害者の多くは女性と子どもである。これらの襲撃による死者は負傷者の3倍に上り、MSFが治療した患者の87%は銃創を負っていた。MSFは2009年1月から9月の間、この2つの州だけでも1,426件の外科手術を行い、これは2008年にスーダン南部全体で実施された手術の件数1,271件を上回る。

上ナイル州で襲撃に巻き込まれ銃創を負った少年。
彼はこの襲撃で母親も失った。スーダン南部、
2009年11月。
スーダン南部では市民の誘拐や襲撃、武力衝突などの暴力行為により、これまでに25万人近くが家を追われ、避難を余儀なくされている。避難民となった人びとは不安定な状況下で暮らしており、疾病の流行や栄養失調が発生する懸念がある。MSFが2008年に受け入れた栄養失調の患者数は6,139人であったのに対し、2009年 1月から9月の間では、その患者数は1万1,129人にものぼった。
このように暴力行為が激化する以前から、スーダン南部では住民の75%が最も基礎的な医療さえ受けられず、病気の大規模な流行により人びとの命が脅かされてきた。しかし、国際的な資金拠出機関はスーダン南部への開発援助を重視しており、緊急の人道支援への拠出額は、開発援助への資金に比べ不釣合いなほど少額に留まっている。
MSFのスーダンの活動統括責任者、ステファン・ギュートゲブールは次のように話す。「限られた援助機関だけが活動している状況に対して、警鐘を鳴らさなければなりません。スーダン南部の人道状況に適切に対応するには、開発援助だけでは不十分です。緊急事態に備えることと人道援助が最優先になされなければならないのです。」
MSFは1979年からスーダンで活動を開始し、現在は紅海州、北ダルフール州、西エクアトリア州、中央エクアトリア州、バハル・エル・ガザル州、ワラップ州、ジョングレイ州、ユニティ州、上ナイル州、南コルドファン州アビエイで活動している。他また他の地域でも緊急援助プログラムを実施している。
MSF報告書「深刻な現状に直面:スーダン南部で暴力行為の激化により深刻化する健康危機」はウェブサイトからダウンロードできます 。
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