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ソマリア:24時間体制で多くの命を救う南ガルカイヨ病院

2009年11月27日掲載

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ソマリア

南ガルカイヨ病院のマスラー医師は、すばやく緑色の手術着に着替え、刺し傷を負った青年の緊急手術を行うため、手術室へ急いだ。「呼び出しがあったのが、午後8時。私たちは午後10時には手術室に入り、午後11時には患者の容態を安定させることができました」とマスラー同医師は説明する。

翌朝、患者の親族が病院に集まって雑談を交わしたり、青年がもう大丈夫と知らされて、大声で笑うこともあった。そして、最悪の事態を心配して病院に駆けつけた友人やほかの親族にも、安心するよう告げた。


非常時を支えるソマリア人現地スタッフの活動

南ガルカイヨ病院で手術を行うMSFのマスラー医師。
南ガルカイヨ病院で手術を行うMSFのマスラー医師。

マスラー医師は、南ガルカイヨ病院で働く国境なき医師団(MSF)の144人のソマリア人スタッフの一人として、外科治療プログラムを継続するために、極めて重要な役割を果たしてきた。ソマリアでの戦闘が激化し、医療ニーズが増大していた2008年初め、MSFは安全上の問題から外国人派遣スタッフを同国から引き揚げることを余儀なくされた。それ以来、MSFのプログラムはソマリア人スタッフによって運営され、ケニアのナイロビに駐在する運営チームが治安状況の許す限り現地を訪れ、これらの活動をバックアップしている。マスラー医師や、ソマリア国内各地で働く数百人のMSFソマリア人スタッフの活動がなかったならば、数千人に上る人びとが無償の救命医療を受けることはなかっただろう。

マスラー医師にとって、夜間の緊急手術のための呼び出しは日常業務の一部である。というのも、南ガルカイヨ病院は、この地域で無償の緊急手術を提供する唯一の病院だからだ。マスラー医師はこう語る。
「私は毎月、腹部に損傷を受けた患者に、約40件の手術を行います。銃弾や刃物による外傷、結腸の損傷、自動車事故にあった人びとです」

外科治療は、MSFが南ガルカイヨ病院で提供する医療サービスのひとつで、この病院にはケアを受けるために、はるばるエチオピアから訪れる人もいる。病院内の外来病棟の待合室、入院病棟、産科病棟の「男性立ち入り禁止」病室、そして結核治療センターの明るく換気された施設には共通点があって、どの施設でもスタッフが常に協力し合って活動している。MSFは毎月、4000件近くの外来患者の診察、約120人の入院患者を受け入れ、100人を超える新生児をとり上げている。

収容数を超える患者の増大と、医療にたどりつけない人びとの存在

南ガルカイヨ病院の栄養治療センターで治療を受ける子ども。
南ガルカイヨ病院の栄養治療センターで治療を受ける子ども。

戦闘と食糧価格高騰に加えて、長期にわたる干ばつにより、栄養治療センターは収容能力いっぱいの状態になることが多い。脱水状態で衰弱し、MSFの集中治療センターへの入院を待つ乳幼児を抱いて、落ち込んでやり場のない表情を浮かべる女性たちの列を指して、管理責任者のジブリルはこう説明する。
「私たちは毎月、下痢、脱水症状、はしか、時には髄膜炎などの患者を数人受け入れています。しかし、現在は、重度の急性栄養失調が最も一般的な問題になりつつあります。60人分のスペースしかないところで、現在90人の患者の治療を行っています」

母親たちの顔に表れている極度の疲労は、そのほとんどが長旅の末、この病院にたどり着いたことを物語っている。治安の悪い状態が続いているため、MSFは自動車で患者を迎えに行くことができない。母親の一人はこう語る。
「村の住民の多くは、ここに来れば無償の治療を受けられることを知っていますが、最大の問題はどうやってここへ来るかです。何日もかかることがありますし、50万ソマリア・シリング(約890円)ほどにもなる大変な旅費が必要な場合もあります。多くの人びとにそんな余裕はありませんから、家にとどまり、村で亡くなる人もいます」

通院治療センターで診察を受ける乳児には、体にやけどの跡が見られることが多いが、これは母親の多くが最初、伝統的な心霊治療家による治療を求め、最後の手段としてようやく病院へ来たことを示している。

求められる、無償かつ独立した医療援助

先に述べた女性たちとは全く対照的に、ある女性が満面の笑みを浮かべながら通院治療センターの入り口に立っていた。片方の腕に健康そうな赤ちゃんを抱き、もう一方の腕には、MSFから持ち帰り用に提供された家族のための食糧が入った袋を下げている。彼女は、耳をつんざくような声で泣き叫ぶセンターの子どもたちよりもさらに高い声で、病院のスタッフの一人に礼を言っていた。
「彼女はここにかなり長期間いましたが、元気な赤ちゃんと一緒に、今日、家に帰るところです」とMSFスタッフのジブリルは語る。

南ガルカイヨ病院では、ジブリルやマスラー医師のようなMSFスタッフが、数多くの献身的なソマリア人スタッフとともに24時間態勢で働き、成果を挙げている。
「この病院のスタッフは、多くの命を救っています」と、マスラー医師は語る。

暴力や、予防・治療が可能な病気で命を落とすことが日常的な出来事になっている国では、無償の独立した立場による医療の提供が不可欠である。

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