12月1日は世界エイズデー 資金減額で死者増加の恐れ-HIV/エイズ対策
2009年11月25日掲載

マラウイでは、多くの患者が抗レトロウイルス薬(ARV)治療を
受けている。
エイズ対策のための国際的な資金援助公約の後退は、ここ数年、劇的に進展してエイズ関連の病気や死亡を減らしている取り組みを根底から覆す恐れがある―国境なき医師団(MSF) が2009年11月5日に発表した報告書はこう指摘している。
去る11月9日から11日にかけて、エチオピアのアディスアベバで、第20回目の「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(世界基金)理事会が開催された際には、新規資金援助提案の一時凍結も危惧され、貧しい国々におけるエイズ対策は、金融危機による資金不足問題のしわ寄せを顕著に受けていることが明らかとなった。日本政府は、同基金の「生みの親」を自認しており、これまでに計10億ドル以上の援助を行ってきた。一方、米国のエイズ対策プログラムである「米国大統領エイズ救済緊急計画」(PEPFAR)は、今後2年間、資金援助額の増額を控えることを決定した。
現在、ウガンダでは、援助資金拠出機関による援助減額の影響がすでに出始めており、新規のHIV患者に対する治療中止を余儀なくされている医療施設もある。南アフリカ共和国のフリーステート州では、昨年11月より数ヶ月間にわたって治療薬の供給不足が発生し、治療の中断や新患受け入れの延期の影響により、約3000人が死亡したとみられる。
2005年のG8サミットで首脳たちは、エイズ治療を2010年までにすべての人に行き渡らせることを公約し、この公約に勇気づけられて、多くのアフリカ諸国政府は意欲的なエイズ治療対策を打ち出した。
この結果、MSFが調べたところ、マラウイと南アフリカの抗レトロウイルス薬(ARV)治療が広く行われている地域では全死亡率が大きく低下し、また、マラウイのチョロ郡や南アフリカの西ケープ州では結核患者の数が大幅に減少している。世界基金からの援助資金凍結という当面の危機は回避されたものの、今後、国際的な資金拠出機関による援助資金の減額といった事態が生じれば、こうしたエイズ対策への投資が無駄に終わってしまうだけではなく、より重篤な症状に苦しむ患者が増加する一方で、治療に必要な援助資金額は増加の一途をたどるという悪循環に陥ってしまう危険性がある。
発展途上世界では現在、400万人を超えるHIV/エイズ感染者がARV治療を受けている。また、命をつなぐための治療を必要とし、ARV治療を受ける機会を待っている感染者は600万人に上ると推定される。MSFは約30ヵ国でHIV/エイズ治療プログラムを実施しており、HIVに感染している14万人以上の成人と子どもにARV治療を提供している。
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