中央アフリカ共和国:緊急栄養治療プログラム責任者へのインタビュー-受け入れ数は増加。これまでに4250人を治療-
2009年11月19日掲載

中央アフリカ共和国南西部の緊急栄養治療プログラム
責任者、クララ・ドゥラークル。
国境なき医師団(MSF)は中央アフリカ共和国南西部のボダとノラで緊急栄養治療プログラムを行っている。以下は、その責任者クララ・ドゥラークルへのインタビューである。
Q. MSFがここで緊急栄養治療プログラムを開始してから既に3ヵ月が経過しましたが、状況はどのように推移していますか?
A. ボダでは患者の数が次第に増えており、これまでに1600人の子どもをプログラムに受け入れました。そのうち半数は重度の急性栄養失調児、残る半数は中程度の栄養失調児です。ノラでも750人の子どもを受け入れ、ボダと同じく半数が重度栄養失調児です。
カルノー、ガンボーラ、ピサにおける各プログラムでは、重度の急性栄養失調児の治療を行っています。カルノーではこれまでに1600人を治療しました。ガンボーラでは178人を治療しましたが、その後患者数が減少したためプログラムを終了ました。一方、新たにプログラムを開始したピサでは最初の1週間で117人を受け入れました。合計で、MSFはこれまでにおよそ4250人の栄養失調児を治療しました。
この間、MSFはこの地域一帯で何度か活動評価を行いました。その結果、現在のMSFの活動範囲は適切で、この地方のほとんどの栄養失調児に治療を提供できているとみています。

栄養治療の診療のため、子どもをMSFの診療所に連れ
てきた母親たち。
Q. ほぼ1ヵ月前、ボダの通院治療プログラムではわずか2週間足らずの間に突然400人も患者が増え、その内およそ70%がガチという所とその周辺地域から来た人たちでした。なぜこのように患者が急増したのでしょう。また、MSFはどのように対処したのでしょうか。
A. 患者数が増えた理由は、MSFがここで活動しているという情報が口コミで急速に広まったためです。噂は広く伝わり、MSFの診察を受けさせようと、大勢の母親が子どもを連れて、時には50kmもの道のりを歩いてやって来たのです。
MSFはガチでおよそ200人の栄養失調児を治療していましたが、当初は2週間おきにしか現地に赴いていなかったため、治療中の患者全員を診察するのが精一杯でした。また一方で、MSFの援助が届いていない患者もいると考えられたため、状況調査を行い、医療チームを新たに編成して、毎週この地域に赴くことにしました。毎回5日間ほど滞在し、ガチと2ヵ所の周辺地域で、外来診療所を運営しています。

この地域ではキャッサバが重要な
食糧だが、必要な栄養はまかなえ
ない。
Q.ここ数日、苦味品種や加熱不十分なキャッサバを食べたことによる中毒で、人びとが健康を害しているという情報が入っています。
A. 「ビター」と呼ばれているキャッサバは、ここ数年で栽培が伝えられた生育の早い品種です。問題なのは長時間の加熱が必要なことです。人びとは空腹だったり、毒抜きのために3日から5日も費やすことができないと、すぐに食べてしまいます。その結果、シアン化物中毒が繰り返し生じています。この中毒は「コンゾー」の名で知られ、神経障害を引き起こします。しかし、MSFが活動している地域では、今のところ、こうした症例はまだあまり多くは発生していません。
Q. 雨季が終わろうとしていますが、新たな患者は減るでしょうか。
A. マラリアが蔓延するこの地域では、この病気が栄養失調を引き起こす要因の一つとなっているため、雨季が終わり、マラリアの罹患率が減少すれば、おそらく栄養失調の患者数も減ると思われます。しかし一方で、次の収穫高はまだ不明で、乾季の間の食糧供給にどう影響するかわかっていません。また、現在は人びとが森林地帯から町へと戻り始めているので、MSFではこれまで接触できていなかった新たな患者も診察することになるでしょう。
Q. この地方で、ほかに対処すべき根本的な問題がありますか?

MSFは、重度の栄養失調児を車で
栄養治療センターへと搬送している。
A. 現在の栄養危機の原因としては、経済危機によるダイヤモンド業界への打撃で、多くの人びとが収入源を失って購買力が低下するなど、この地方ならではの状況が挙げられます。が、ある地域ではMSFが診察した患者の65%近くがマラリアに苦しんでいるのに、事実上医療を受ける機会が全くないことが、事態をさらに悪化させています。
国際社会は主にこの国の北部へ援助を注いでおり、南西部全体があまり顧みられていません。この地方全域で、食糧確保、教育、医療に特化したプログラムを実施する必要性が大いにあります。
関連情報
- 2011年12月6日
- 論説:「難民条約60歳の誕生日に寄せて」―MSFベルギー支部事務局長クリストファー・ストークス
- 2011年10月28日
- 命の物語3:フメザ――有効な結核治療の早期開始
- 2011年7月30日
- 南アフリカ:住居も安全もなく、強制送還におびえる 『行き場のない人びと』
- 2010年6月21日
- 南アフリカ共和国:カエリチャ地区、HIV/エイズとともに生きる人びと
- 2010年6月21日
- ハーフタイム HIV/エイズ危機は終わらない
















