スーダン南部:カラアザール大流行に対応
2009年11月13日掲載
スーダン南部で、深刻な症状を引き起こす寄生虫病「カラアザール」が大流行しているのを受け、国境なき医師団(MSF)は、ジョングレイ、上ナイル両州の数ヵ所で緊急対応に当たっている。ピボールとランキエンにあるMSFの医療施設で患者の治療を行い、ロムでは、移動診療チームを組織して、患者の積極的な発見に努めている。
貧しく情勢が不安定なへき地で猛威を振るう病
スーダン南部におけるMSF医療コーディネーターのデビッド・キディンダ医師は語る。「カラアザールに感染した人びとは、治療を受けないと骸骨のようにやせてしまい、免疫力がすでに弱くなっている場合は、数週間で命を落とすこともあります。また、スーダン南部では、住民の4分の3近くが基礎的な医療さえ受けられない状況にあり、時間と競争しながら、患者との接触を図っています」
カラアザール(内臓リューシュマニア症)は、スーダン南部の一部地域に特有の、顧みられない熱帯病の一つで、発生すると急速に拡大する。この病気は、貧しく情勢が不安定で、医療を受ける機会が非常に限られているへき地で猛威を振るう。カラアザールの原因となる寄生虫を媒介するサシチョウバエに刺されることで感染し、この寄生虫が体内で増殖し、免疫系を攻撃する。症状としては、脾臓の肥大、発熱、脱力感、消耗などがある。迅速な診断と治療が必要で、治療を受けなければ、患者のほぼ100%が1~4ヵ月以内に死に至る。しかし、適切な治療を受けることができれば、治療成功率は95%に達する。
キンディア医師は続ける。
「地区によっては、医療施設へ来る患者の数は、氷山の一角のではないかと私たちは考えています。この地域は、インフラ不足が深刻で、まともな道路はほとんどなく、医療従事者や施設も全く不足しており、現在は、暴力行為が増加して治安も悪化しています。住民はこうした数多くの障害に直面しており、命にかかわる治療を必要とする人びとにとって、状況は生き残りをかけた障害物競走のようになっています」
直接治療に加え、体調・衛生管理支援や教育活動も
最も深刻な影響を受けているのはジョングレイ州で、州北西部にあるオールド・ファンガク医療施設では、カラアザール患者275人が現地のNGOによる治療を受けていると伝えられている。MSFは、ピボールに設置しているへき地診療所で患者24人を受け入れたが、このうち2人は手当てが遅すぎたため亡くなった。また、ランキエンにある医療施設でも患者46人を受け入れている。さらに、ジョングレイ州の北隣りにある上ナイル州では、患者66人がマラカル病院で治療中との知らせを受け、ロム地区全域で住民のスクリーニング(治療の必要な患者の選定・選別)を行うため、カラアザール発生対応チームを配置し、結果、現在37人の患者が治療を受けている。
ピボールにある医療施設で治療中の患者は、ジョングレイ州北部の牛の放牧地で感染し、その後、ピボール郡北西部のレクウォンゴル周辺の村へ帰った人びとである。現在、治安と道路事情が悪いため、MSFはこれらの村に向かうことができず、患者がレクウォンゴルにあるMSFの診療所を訪ねてくる。道路が川のような状態になっているため、MSFはそこからボートで患者をピボールの診療所まで移送している。
MSFは、1日1回の注射を30日間続けるカラアザールの直接治療だけでなく、脱水症状や貧血のほか、マラリアなどカラアザール患者に影響を与える病気の補助的な治療も行っている。さらに、患者への食糧の提供、蚊帳やせっけんの配布を行い、ジョングレイ州では、カラアザールに対する認識を高め、より多くの人びとが治療を受ける後押しをするため、健康教育活動を開始している。
MSFは1979年からスーダンで活動を開始。現在、スーダン南部各地と、南コルドファン州アビエイ、紅海州、および北ダルフール州でプログラムを実施している。
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