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イエメン:政治的な所属に関係なく、必要とする人に医療を提供―活動責任者へのインタビュー―

2009年10月16日掲載

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イエメン

イエメン北部で再び戦闘が始まって、8週間が経過した。首都サヌアにおける国境なき医師団(MSF)の活動責任者アンドレ・ロメロは、現在の状況下での活動について、次のように語る。


Q. イエメン北部におけるMSFの活動は、どのように変わってきましたか?

紛争が続くイエメン・サアダ州。病院で子どもの診療を行うMSFの医療スタッフ。
紛争が続くイエメン・サアダ州。病院で子
どもの診療を行うMSFの医療スタッフ。

A. MSFはイエメン北部のサアダ州で、2007年9月から活動を開始し、2004年以来、政府軍とフーシ師率いる反政府武装集団との間で起きている武力紛争の巻き添えとなった一般市民に医療を提供してきました。

MSFはラゼ行政区のシャラアとサヘール行政区のアル・タールにある保健省の病院を支援しています。どちらの病院でも、MSFの医療チームは基礎的な医療、救急診療、病院収容、産科・婦人科医療を無料で提供し、アル・タールでは救急手術も行っています。また、両地域の周辺では、地域診療や拠点病院への搬送などの面で、保健省のサポートをしています。

2009年8月11日に第6次戦争が勃発して以来、MSFはサアダ州北方に位置するマンダバ地域でも、避難民を対象とした援助を開始しました。給水システムを立ち上げ、約250家族に飲料水を提供しています。

激しい戦闘の続いたこれまでの2ヵ月、政府軍とフーシ師率いる反政府武装集団双方からの承認は得てはいるものの、こうした活動の運営は、ますます複雑になってきました。アル・タールでは一時的に手術活動を中断せざるを得なりましたし、医療基盤を支える公共医療機関への支援も減らしました。

しかし、ラゼでは引き続き、診療と病院への搬送サービスを行っており、1ヵ月間に約560件の救急診療を行っています。まもなく、MSFの手術チームがラゼの病院の応援に加わります。

Q. サアダ州の人びとは今、おもにどのようなニーズを抱えていますか?

サヘール行政区のアル・タール病院内にあるMSFの施設と車両。
サヘール行政区のアル・タール病院内にあるMSFの施設と
車両。

A. 絶え間ない戦闘により、多数の人びとが州内各地または隣接州への度重なる避難を強いられています。救援チームや人道援助機関の関係者らが州内のすべての地域に到達することは難しいため、なかなか避難民の総数を正確に把握できません。しかし、国連の統計によると、サアダ州、アムラン州、ハッジャ州で合計約6万人が避難民として登録されています。

加えて、多くの家族が身の危険を感じて、今なお各地を転々としています。例えば、サアダ州北部では、何家族もがダヤンからジェスネン、ジェスネンからバキムへと避難し、さらにバキムからマンダバへと避難しています。しかし、マンダバでも安全な場所を見つけるのは極めて困難です。この地でも衝突が起き、避難家族らは再び各地へと散っていきました。

MSFは、マンダバで約3000人の置かれている状況を調査しました。その大半は、水の入手がままならず、毛布や調理器具などの生活必需品もない不安定な生活をしています。食糧の確保も重大な懸念事項の一つになりました。供給に障害が起きており、食糧価格が平常時の4倍近くまで跳ね上がってしまったからです。他の援助機関が食糧と生活必需品の分配に力を注ぐ中で、MSFは当地住民へ医療を提供すべく活動しています。

サアダ州では、多くの医療機関がもはや機能しておらず、機能している機関にも情勢不安で足を運ぶことが困難なため、医療を受けることは極めて困難です。また、民間人の死傷者数を推定するのは、今なお困難です。

2009年8月11日から9月22日の間に、MSFはアル・タール病院で195件の外科処置を行いました。うち、135件は戦闘に関連した負傷です。その後はアル・タール病院での外科活動を中断せざるを得なくなりました。MSFは現在、早急に外科活動を再開できるよう、イエメン保健省と作業を進めています。

Q. 厳しい治安情勢の中で、MSFはどのように活動を続けてきたのですか?

A. 治安上の危険やコミュニケーションの不足など数々の問題に直面し、これまで毎日が挑戦でした。固定・無線電話はどれも不安定で、サアダ州と国内他地域を結ぶ道路は遮断され、MSFの現地スタッフは家族とも連絡を取れない状況の中、病院で働いている場合も多くあります。

MSFは、サウジアラビア経由で医療物資や手術チームなどの人員を派遣したり、事態の変転に細心の注意を払ったりして、この状況に対応してきました。紛争関係者すべてに、MSFの中立・公平の原則が理解されていることも、ここでお伝えしておきたいと思います。ラゼとアル・タールにおける活動の成果の一つとしていえるのは、私たちが戦傷者を含め医療ニーズのある人なら誰でも、その政治的所属に関係なく治療することができたことでしょう。


2009年1月から7月の間、MSFのチームはサアダ州において3万件の診察を行った。うち8000件は緊急処置であり、1450件は入院だった。また、戦傷の治療約100件を含め、720件の外科処置を行った。

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