インドネシア:地震で大きな被害を受けたパリアマン市北部から心理療法士の報告
2009年10月13日掲載
国境なき医師団(MSF)のマレーシア人心理療法士マーリン・リーは、インドネシアのスマトラ沖地震発生から数日後、MSFが行った調査に参加した。下記は彼女の報告である。

現地で活動する、MSFのマレーシア人心理療法士
マーリン・リー。
パリアマン市北部の丘陵地帯にあり、最も大きな被害を受けた地域の一つ、タンディカット周辺にあるいくつかの村は、地震後の地すべりでかなりひどい状況でした。すべてが根こそぎなくなっていました。道路の大部分が破壊されているため、援助が届くのは遅れています。また、この道路事情によって、がれきを除いたり、その中で遺体を探すために必要な重機を運び入れることも困難となっています。
家族を失った人は遺体が発見されるのを、待っているのです。もう被害発生から5日と、長い時間が経っているにもかかわらずです。毎朝、彼らは家の廃墟に行って、捜索隊が家族の遺体を発見してくれるのを待つのです。食べるために、その場を離れることすらしません。ほかの人がそこに食べ物を運んできています。現地では誰もが被災しました。ほとんどの人が家財や家族を失っています。しかし、遺体が発見されるのを待っている人の心情は、更に悲痛なものがあります。悲しみが増大されるのです。彼らには、できるだけ早く、正式な形で死者を埋葬してあげることが、とても大事なのです。

パリアマン市パダン・アライ近くの小さな村にて。
地震で大きな被害を受けた。
「今、一番何が必要ですか」と人びとに聞くと、彼らは食糧、水、テント、マットレス、肌着や衣服と答えました。多くの人は、家財を全て失い、清潔な水を得られないことから、地震が起こってから一度もシャワーを浴びていません。そして、飲料や洗濯、祈祷前の沐浴用の水を早急に必要としています。
村人の多くは震災による精神的な衝撃が続いており、家族を失った悲しみに暮れています。長いこと何日も睡眠をとっておらず、食欲を失い、心配事も多く、将来どのようにしていけばよいのかわからず、答えのない問いをたくさん抱えています。
ある風景が目に焼きついています。地すべりによって埋まったある地域で、私たちはある渓谷のそばを通りかかりました。その谷底には横倒しになった家が一軒あり、その隣で男性が1人の倒木の上に腰掛けていました。彼は私たちに背を向けていましたが、うつむいているその姿は、どれほど多くの困難をその人が背負っているかを私たちに語りかけていました。後に私は彼に話しかけることができました。そして彼は妻と子どもを含めた家族を何人も亡くしたのだと語りました。
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