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マラウイ:HIV治療へのユニバーサルアクセスは実現可能、しかし新薬の高価格によって脅かされる制度の存続

2009年07月31日掲載

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HIV/エイズの被害が最も深刻な10ヵ国のひとつ、アフリカ南部のマラウイ。チョロ郡はその農村地域のひとつである。同郡の人口は60万人で、成人のうち5人に1人がHIVに感染している。住民の多くは貧しく、医療従事者の数は極度に不足している。しかし、このような非常に厳しい状況下でも、マラウイ保健省と国境なき医師団(MSF)は、エイズ患者に必要な抗レトロウイルス薬(ARV)治療をほぼすべての患者に妥当な費用で提供している。マラウイにおけるMSFの活動責任者、マリエル・ビーメルマンは、このプログラムについて説明し、大きな成果を上げてきたこの取り組みが、高価なエイズ新薬によってどのように脅かされているかについて語る。


Q. チョロ地方では、ARV治療をどの医療機関でも受けられるようになりました。つまり、ARV治療を必要とする患者の10人の内8人以上、現在合計1万4千人を超える患者が実際に治療を受けています。これはどのようにして実現されたのでしょうか?

A. HIV/エイズ治療を公的医療制度に組み入れ、できる限り標準化しました。具体的には、第一選択薬として使用する薬の組み合わせを1種類に絞り、臨床検査によるモニタリングもより簡素にしました。また、治療実施機関を小規模な保健センターに分散させました。このためには、医療上の責任を医師から看護師や他の医療従事者にシフトすることも必要でした。マラウイのように医師不足が深刻な国では、このように任務を移管させる戦略が非常に重要だったのです。このおかげで、ARV治療を開始する患者の数を4倍に増やすことができました。

HIV治療薬。写真はマラウイ・ナミテンボにある診療所で撮影されたもの。
HIV治療薬。写真はマラウイ・ナミテンボにある診療所で撮影
されたもの。

Q. このような方法にはどんな利点がありますか?

A. HIV/エイズ治療を提供できる公的医療機関を地域保健センターにまで拡大分散させたことで、患者が自宅に近い場所で治療を受けられるようになり、その結果、患者が通院に費やす費用と時間が減りました。今では、このような医療サービスのことを知る人が地域内に増え、家族や友人、同僚が回復しているのを実際に目にするようになったため、住民の間で診療所に行って検査を受け、治療を始めようという意識が高まっています。また私たちは、これまでよりずっと早期に、エイズの症状が発症する前の段階で治療を開始できるようになりました。現在、治療開始時のCD4細胞数は平均250個ですから、まだ免疫システムは比較的よく機能している状態で始められているということです。最初の検査を受けてから初めて薬を服用するまでの期間も、これまでは3ヵ月以上かかっていましたが、今では平均3週間に短縮されました。
*血中に含まれる免疫細胞のこと。HIV 感染症が進行するにつれて数が減少するため、病気の進行度と、その時点での免疫力を表す指標となる。

Q. すべてうまくいっているようですが、マラウイのような発展途上国で患者がこのような費用を負担することはできますか?

A. 現在、患者1人当りの治療費は年間233ユーロ(約3万1130円)です。この金額には、コストの半分以上を占めるARV代のほかに、その他の医薬品代、検査代、人件費、サポートサービス費用、指導費用が含まれます。チョロ郡では、エイズ治療にかかる公的予算だけで、住民1人当りの財政負担額が年間2.6ユーロ(約350円)にのぼります。発展途上国では、医療費全体の国民1人当りの負担が10~20ユーロ(約1340円~2680円)しかない場合が多いので、これは大きな負担ではありますが、実行可能な金額です。
*1ユーロ=133.6円として計算。

Q. チョロ郡ではかなりの努力の末に、誰もがエイズ治療を受けられる制度が実現されました。その存続を揺るがしているものは何ですか?

A. 主な脅威は、高価なエイズ新薬です。説明しましょう。現在、チョロでは患者の95%以上が、ARVの第一選択薬として比較的安価な後発医薬品を服用しています。まず最初に必要なのは、より副作用が少なく効果の確実な第一選択薬を導入することですが、第一選択薬を処方どおりに服用したとしても、数年後には必ず耐性が生じ、新しい第二選択薬、第三選択薬への切り変えが必要となります。しかし、これらは新薬で、その価格は特許で守られているため、ジェネリック薬(後発医薬品)のように安価に入手することができません。今後、新薬に切り替えなければならない人が増えるので、このプログラムの費用は、高額な薬品代のために天文学的な額になってしまうでしょう。つまり、今すぐあらゆる必要な対策を講じて、ジェネリック薬メーカーの競争を確保しなければなりません。それが新薬の価格を大幅に引き下げるための最善策なのです。

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