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マラリア:単なる善意に留まらない効果的な行動を ―命を救うマラリア治療をさらに多くの患者へ―

2008年10月07日掲載

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基本的なトレーニングだけで使用可能な
迅速診断検査キット

国境なき医師団(MSF)は9月30日、マラリアへの取り組みに効果的な新戦略をより広く実施することで、はるかに多くの命が救われると論じた新しい報告書を発表した。「完全な処方箋 ─より多くの人々により適切なマラリア治療を実施したMSFの経験から─」と題されたこの報告書には、シエラレオネ、チャド、マリでのMSFの活動を説明し、今日手に入る簡単で費用のかからない治療法と診断ツールを使えば、人々の不必要な死は回避可能であると説明している。

MSFベルギー支部の事務局長メイニー・ニコライは話す。「まだ十分ではありませんが、マラリアのための資金は増えています。より効果の高い新薬が私たちのもとへ届き始めており、15分で診断を確認できる迅速診断検査もあります。しかし、多くの取り組みが最後のハードルを乗り越えられておらず、子どもを中心とした多くの患者が、まだ必要な治療を受けていないのが現状です。」

サハラ以南アフリカ諸国の多くに住む人たちは、治療費が高い、遠すぎるという理由から医療施設で診察を受けることができない。シエラレオネを例にとると、マラリアの感染が疑われる子どもたちのうち、医療施設で効果的な治療を受けた患者はわずか12%にすぎない*。MSFが活動する大半の貧しい地域では、治療費の患者負担が診察を受ける上での大きな障害となっていることが、MSFの経験と調査からわかっている。

効果的なマラリア治療を提供する際の第二の障壁は、地理的な問題である。地方によっては医療施設から非常に離れている村や、雨季の間、水で交通が遮断され孤立する村がある。このような村のマラリア患者を見つけ出し、治療するには、現地の住民も従事者として携わる戦略が非常に有効であることが証明されている。MSFのマリのプログラムでは、診療所レベルの治療と地理的に孤立した地域での治療を無料で実施し、マラリア症例の発見数・治療数が1年間で3倍にアップするという成功を収めた。

治療の質を脅かすことなくこのような成功を収めることができたのは、使い勝手のよい迅速診断検査のおかげである。迅速診断検査は、一般の人でも基本的なトレーニングを受ければ、発熱の原因が本当にマラリアかどうかを確認することができる。村の治療従事者は症例を特定すると、患者またはその介護者に無料で薬を出す。

チャドにおける活動責任者クリスティン・ジャメは話す。「マラリアが流行している村の治療従事者は、万能ではありませんが、医療施設がない地域のギャップを効率的に埋めることはできます。しかし治療へのアクセスを拡大する当局の責任は、彼等の活動によって免除されるものではありません。たとえマラリアの検査で陰性でも、発熱のある患者はその理由を問わず治療を受けなければなりませんし、合併症を起こしていれば、医療施設に搬送する必要があります。適切な医療処置を受けられるようにするためにも、検査を用いて組織的にマラリアの症例を確認すべきです。」

現在、世界保健機関(WHO)は、マラリアの流行地域では発熱のある子どもはすべて抗マラリア薬で治療する勧告を出している。しかし、シエラレオネのような感染率の高い国を例にあげると、迅速診断検査を組織的に使用したMSFのボー地域のプログラムでは、マラリアが疑われていた5才未満の子どもたちのうち、実は30~40%が陰性という結果が出ている。WHOの勧告に従い、検査を実行しなかった場合、多くの患者が誤った治療を受け、発熱の本当の原因を調べる検査もそれ以上行われなかっただろう。

予防策やマラリア撲滅のための措置がさらに大きな成功を収めるまでは、効率的な治療と診断ツールを用いた医療が提供されなければ、これからも命を落とす必要のない患者たちが死んでいくだろう。検査キットと薬品を発送するだけでは不十分であり、これらのものを確実に患者の元に届ける対策を早急に実施することが必要である。


*調査報告書:シエラレオネの8つのグローバルファンド地域におけるマラリア予防対策の実施状況を調査。2007年3月、シエラレオネ保健衛生省。

 

報告書『完全な処方箋 ─より多くの人々により適切なマラリア治療を実施したMSFの経験から─』
(英語版、PDF形式、28ページ、988KB)はこちらPDFファイルが開きます

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