UNITAIDによる医薬品特許プールの決定を歓迎
2008年07月14日掲載
国境なき医師団(MSF)は、低・中所得国の人々がより適切で安価な医薬品をより容易に手に入れることができるように、医薬品特許プール*の創設に向けて新たな一歩を踏み出すことを決めた国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)理事会の2008年7月の決定を歓迎する。
MSF必須医薬品キャンペーンの政策責任者であるエレン・トゥーンは語る。「UNITAIDは今取り組まなくてはならない問題について、素晴らしい展望と理解を示してくれました。このことは医薬品へのアクセスにとっても医学上の技術革新にとっても大きな影響力を持つ可能性があります。うまくいくかどうかは今や、特許権者が特許権料の支払いと引き換えに、自己の特許権を特許プールという仕組みの中で共有してくれるかどうかにかかっています。」
MSF必須医薬品キャンペーンの医療コーディネータ、セリーナ・ロー医師は述べる。「新薬の価格を引き下げるための方法を見出す必要があります。世界保健機関(WHO)が新たに推奨しているHIV/エイズのための第一選択治療を行うためには、安く見積もっても患者一人当たり年間613米ドル(約6万5千円)から1022米ドル(約11万円)が必要です。これは、現在の旧・第一選択治療に要する89米ドル(約9310円)に対し7~12倍に相当します。この旧式の抗レトロウイルス薬の価格が下がった時のように、価格引下げのための最良の方法は競争を盛んにすることです。特許プールには、競争を促進させる効果が期待できます。」
さらにエレン・トゥーンは付け加える。「特許プールはまた、複数の薬剤を組み合わせてひとつの錠剤にした多剤混合薬(FDC)の更なる開発の可能性を広げます。FDCを構成する薬剤のそれぞれに対して特許権が設定されていると、新たなFDCの開発や製造の妨げになる恐れがあります。特許プールはFDCの製造者に対して、複数の知的財産の所有者から一括して必要な許諾を受けることを可能にするため、こうしたことを避けることができます。ジェネリック薬品のメーカーは特許権料を支払って、ライセンスを取得することで、異なる薬剤の組み合わせによる多剤混合薬を製造することが可能となります。同じことは、より子どもに適した薬剤を開発する場合にも当てはまります。」
*特許プールとは、企業、大学または研究機関等のさまざまな団体が所有する多くの特許権を、第三者による製造や製品改良のために提供するメカニズムのこと。たとえばある既存の多剤混合薬に関して、その小児版を開発したい場合などに利用できる。特許権者は、特許権の利用者から特許権料を受け取る。プール機構は、ライセンス、複数の特許権者との交渉、および特許権料の支払いと受け取りについての管理を行う。
この医薬品特許プールは特許期間の20年が切れるよりもずっと早い時期に開発に着手することを可能にするため、新規に開発された医薬品の後発品(ジェネリック薬品)が市場に出回る時期を早めることができる。同時に、特許プールとのライセンス契約により薬を製造した医薬品製造メーカーは、プールのライセンスに指定されたすべての国に製品を輸出できることから、特許プールは潜在市場の拡大に貢献することが見込まれている。
特許プールは、世界保健機関(WHO)が最近採択した医薬品へのアクセス改善を支援するための「公衆衛生と技術革新、知的財産権に関するグローバル戦略」の一部である。
http://www.who.int/gb/ebwha/pdf_files/A61/A61_R21-en.pdf
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