世界結核デー 2008
2008年03月掲載

結核:新たな優先事項、新たな挑戦
−MSF結核ワーキンググループ・コーディネーターへのインタビュー−
国境なき医師団(MSF)の結核ワーキンググループのコーディネーターであるフランシス・ヴァレーヌは、結核の新たな診断法とMSFが活動を行う環境に合った治療法の発見が急務であることに言及し、また2008年におけるMSFの優先事項を示す。
- Q. 結核の診断と治療の面において、現状はどのようなものでしょうか?
A. 結核の診断と治療の問題に関する利害関係について、今日では国際機関の論調に大きな変化が見られます。世界保健機関(WHO)は、新たな診断ツールを用いる必要性を認識するようになり、さらに多くの研究を実施するべきだと考え始めています。
MSFとしては、今後も引き続きこれまでに得た結果を示し、MSFのプログラム特有のさまざまな取り組みとその有効性について紹介していく必要があります。同時に、最適な診断ツールと治療法が欠如していることによる限界も強調しなければなりません。
多剤耐性結核(MDR-TB)に関して、WHOは新規発症者数が世界中で毎年約50万人にのぼると推定しています。数年前までは、この型の結核は旧ソ連の国々に限定されると考えられていました。しかし現在では、診断法が利用できるあらゆる地域でMDR-TBが発見されています。2年もの治療期間を必要とし多くの副作用を伴う現行の治療法では、すべての症例が正しく治療されると考えるのは現実的ではありません。より簡単かつ有効的な治療法の発見が急務です。
- . 昨年1年間で、MSFのプログラムにおいて主にどのような進展がありましたか?
A. 通常の結核に対しては、治療期間を8ヵ月から6ヵ月に短縮できる治療法の普及に努力を注いできました。治療期間が短いこの治療法は、より有効であるという結果が出ています。またMSFは、患者に対する適切な情報提供と綿密な経過観察を結びつけた、自己投与治療法を選択しています。
さらに、MDR-TBの診断能力を高めるため、アントワープ熱帯医学研究所との協力関係を強化しました。同研究所ではMSFの生物学者と技師各1名が有給で働いており、MSFのプログラム全体、特に治療の失敗や再発など最も危険に晒された患者を対象に、細菌培養検査と薬物耐性検査を実施しています。
- Q. MSFにとって2008年の優先事項は何ですか?
A. HIV/エイズ患者の結核診断がそのひとつです。MSFはケニアのホマベイで試験的なプログラムを実施しており、結核の疑いがある患者全員の細菌培養検査を導入しました。これは費用面でも人員面でも多大な投資になります。しかしこの検査技術のおかげで、従来の検査法では結果が出るまで1ヵ月かかるところを、2週間で診断することができるようになりました。このような期間の短縮は、結核患者の80%がHIV/エイズに二重感染しているホマベイにおいては不可欠なことです。
具体的には、私たちはHIV/エイズ患者に対するMDR-TBの診断法を改善したいと考えています。ほとんどの場合、このような患者は検査により診断が確定する前に命を落としています。従来の検査法では、薬剤耐性検査の結果が出るまで2?3ヵ月かかります。このため、私たちは分子生物学的手法 (ポリメラーゼ連鎖反応法、PCR法)を活動地で実施する可能性について調査したいと考えています。この方法が実現すれば、抗結核薬であるリファンピシンに対する耐性を評価し、24時間以内に検査結果を得ることができるようになります。
もうひとつの優先事項は、MSFの医療施設内における院内感染の管理体制を改善することです。この作業は完全にMSFが管理しているプログラムには含まれていますが、他の機関も関わっているプログラム、特にアフリカでのプログラムにおいては、しばしばおろそかにされています。MSFの医療施設が感染の危険がある場所であってはなりません。
- 100のプログラムで2万5千人の患者を治療
これまでに2万5千人以上の患者が、MSFの100以上のプログラムで結核治療を受けている。このうち半数のプログラムにおいて、結核治療は一般医療に組み込まれており、4分の1はHIV/エイズ治療プログラムの中に組み込まれている。
MDR-TBの治療を受ける患者の数は増え続けており、2006年の260人に対し、2007年は580人であった。
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