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中央アフリカ共和国:活動責任者へのインタビュー−森に避難した住民のための医療が優先課題−

2007年10月20日掲載

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国境なき医師団(MSF)は、8月に中央アフリカ共和国(CAR)北西部で行った実施した調査を受けて、ボカランガで医療・栄養治療プログラムを開始することを計画している。現地の治安状況は、反政府勢力「共和国と民主主義再建のための人民軍」(APRD)」と政府軍の武力衝突に加えて、数年にわたり主要道路に出没している武装強盗団による襲撃でさらに悪化している。こうした恒常的な治安の悪さは、経済活動を妨げ、住民の医療へのアクセスを大幅に制限している。

MSFは2006年3月以来、CAR北西部の町パウアで活動を行っている。潜在的に暴力が支配する傾向は続いているが、最近はパウアの町の周辺30km以内のほとんどの道路は住民が再び移動できるようになった。町の病院は多忙を極めている。MSFは周辺各地の診療所を支援する活動を再開し始めた。現地の状況について、MSFのCARにおける活動責任者、デルフィーヌ・シュドルジュが語った。

Q.あなたはCARの最北西部での調査に参加しましたが、この地域の状況はどのようなものでしたか?
A. 8月に行った調査の主な対象はボカランガ地区でした。ボカランガの町は武装強盗団が道路に盛んに出没する一帯にあります。「ザラギナス」とも呼ばれる武装強盗団は、財産、特に価値が高い家畜の群れを保有していると思われる地域住民を身代金目的で誘拐したり、道路を通行中の人や車を襲ったりします。
私たちは、さらに少し北にあるンガウンダル地区にも赴きました。この地域は反政府勢力であるAPRDの攻撃を受けたのに続いて、4月と6月の2回にわたって政府軍による激しい報復攻撃に晒されました。
APRDは現在、この2つの町を結ぶ複数の道路のいくつかの区域に勢力範囲を拡大し、武装強盗団はやや南へ押し戻されています。この数ヵ月間、異なる武装グループによる一般市民に対する強要行為の件数は減っていますが、状況が再び悪化する危険性は非常にあり得るものです。道路は依然として危険です。というのも、ボカランガ?ンガウンダル間の地域では、その支配権を争う反政府勢力、武装強盗団、政府軍が日常的に衝突しており、村落や道路がその前線になっているからです。
Q.そのような状況は、現地の人びとの生活にどのように影響していますか?
A. 武装強盗団やAPRDの襲撃、政府軍の報復攻撃により、人びとは常に不安を感じながら暮らしています。家族で家畜を飼って生活しているフラベ族の人びとは武装強盗団の標的にされやすく、2004年以来、3万人が暴力を逃れるためカメルーンに避難したと推定されています。また、少なくとも同数の人びとが村から数km離れた畑の近くの森林地帯に逃れ、その場しのぎの住居で生活しています。その上、さらなる攻撃に対する恐れから、人びとは少しでも警戒すべきことがあれば、すぐに逃げ出すようになっています。
このような不安定な状況により、商取引も麻痺状態になっています。商用車はさまざまな武装グループに通行料を取られるため、武装した護衛がついていても巡回するのを尻込みしています。このため、物資が以前のようにこの地域に届かなくなりました。一方、農民は余った収穫物や生産した綿花を販売することができないため、現金収入を得られません。その結果、市場には物がますます少なくなり、特に町では人びとの収入が落ち込む一方で物価が上昇しています。
こうした貧困化と森林地帯への避難により、住民の生活水準は大幅に低下しています。
Q.この状況は人びとの健康に影響を与えていますか?
A. 森に避難している人びとは、特に4月から11月の雨期の間にはマラリアに非常に感染しやすくなります。飲料水の不足やその場しのぎの住居での生活で、下痢や呼吸器感染症にかかる可能性も極めて高くなります。人びとは治安の悪化により自由に移動することができず、また治療費が高額な上に現金がないため、ほとんど医療を受けることができません。
この地域では、緊急人道援助団体は活動していません。MSFも現在まで活動できずにいます。保健当局は事態の緊急性を認識していません。また、私たちの活動によってこの地域で現在も医療を行っている機関に混乱が生じることを恐れているのは明らかです。
ボカランガで調査を行っている間に、私たちは家を離れて避難したフラベ族の家族の一部が栄養失調に陥っていることに気づきました。これらの家族は、武装強盗団のために唯一の食料源と交易物であった家畜を失い、その後、町に住み着いたのです。これらの人びとの中には栄養失調に陥っている子どもが多数いることがわかりました。
Q.この地域でMSFができる活動にはどのようなものがありますか?
A. ンガウンダル地区は、カメルーン領内のムバイボウムにある大きな市場に近いため、経済活動は可能です。また、カトリックの1団体と緊急支援の取り決めが結ばれた結果、町の病院と周辺の27ヵ所の診療所の治療費が下がりました。これらの取り組みは理論的には機能しても、実際にはそれほどうまくいかないこともあります。私たちとしては、医薬品をその時々に提供するという協力も可能ですが、ンガウンダルで独自の援助プログラムを開始することが当面の優先課題だと考えています。そのためには状況をさらに観察し、より詳細な検討を行う必要があります。
一方、バカランガとクイの両地区でもンガウンダルと同様に医療を受けることが難しくなっていますが、この両地区には治療費を支援してくれる伝道ミッションはありません。その上、重度の急性栄養失調を治療する施設がなく、財産を失ったフラベ族の家族の中に患者が見つかったことを考慮すると、ここで栄養失調の治療を行うことは特別な意味があります。したがって、私たちは栄養失調に陥っている子どもを治療するプログラムを開始するとともに、家族への食糧の配給を行いたいと考えています。
この地域で活動することによって、私たちは地域の問題についての知見を深めることができます。また、必要に応じて活動を拡大する、あるいは他の緊急援助団体に結集して対応する必要があることを知らせることもできます。
Q.MSFはパウアで2006年3月から活動を行っていますが、現地の状況はどうなっていますか?
A. パウア地区では、MSFの派遣スタッフだったエルザ・セルファスが調査活動でウガウンダルに向かう途中に銃撃を受け亡くなった後は、比較的平穏な時期がありました。8月に再び治安に関わる事件が発生しましたが、2006年の時ほどの規模ではありませんでした。政府と反政府勢力は現在、休戦に向けて交渉を行っています。政府軍が兵舎に留まっている一方で、反政府勢力は道路を支配しており、激しい衝突は少なくなっています。しかし、休戦に向けてのプロセスは緩慢で、状況が悪化する可能性は常にあります。
現在のところ、パウア周辺の人びとは医療センターへ行くことが可能で、いろいろな所からやって来ます。30kmも離れた所から来る人もいます。このため、病院は多忙を極めています。例えば、毎週の外来患者診察は千件以上、出産前の診察は200件、出産も約30件に上り、小児病棟には平均30~50人の子どもが入院しています。
患者が治療費用を負担する病院、つまり治療費を払わなければならない病院では、このような活発な動きはごく一部でしか見られません。この事実は、現在のような状況の中では無料の治療が重要であることを示しています。現地では伝統的な医術や不可解とも思える治療法に愛着を持っている住民もいますが、病院で治療を受けることができるようになったことで、MSFの存在は高く評価されています。
Q.パウアの周辺地域で活動を再開する上で何か問題はありますか?
A. MSFはセルファスの事件後、6月に活動を停止しました。7月になって、私たちは周辺地域の巡回を徐々に再開しました。しかし、6月まで運営していた移動診療のシステムを復活させるつもりはありません。現在のような緊張した状況の中では、医療チームを診察のために森林地帯や村落に1日単位で送り込むのは十分な解決策にはなりません。MSFの車両が住民の集会と関連付けられる可能性もあり、そうなればチームと同様に、私たちが治療したいと思う人びとを危険にさらすことになります。けれども、暴力により森への避難を余儀なくされた人びとに接する手段を見つけることは、私たちの優先課題です。
私たちはパウア周辺の村、ベトコ、ベダヤ、ポウゴルの3ヵ所の診療所を特定し、そこで現地の人びとを治療することに全力をあげている「緊急看護師」を支援することにしています。これらの看護師はほとんど訓練を受けておらず、設備も不足しており、活動資金を得るために有料で治療しなければなりません。ですから、彼らに最も一般的な病気であるマラリア、下痢、疥癬、結膜炎の治療薬を提供するとともに、パウアの病院で追加の訓練を行います。第2段階としては、彼らが合併症を起こしていない栄養失調や、呼吸器感染症など、やや複雑な症状の治療ができるようになることを願っています。
この地域で不可欠なもう一つの活動は、パウアの病院へ患者を移送できるようにすることです。緊急看護師がより高度の医療を必要とする患者を特定し、MSFはその患者が病院へ行けるよう、自転車タクシーの料金などを負担します。けれども、診療所がなく、医療従事者もいない森の中で孤立している人びとをどのように治療するかについては、今後さらに検討しなければなりません。

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