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ニジェール:重度の急性栄養失調児を救うためのより効果的な治療の取り組み

2007年07月09日掲載

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国境なき医師団(MSF)のニジェールにおける医療コーディネーター、スーザン・シェパード医師は、死に至る危険性が高い子どもを適切に治療するため、マラディ県でMSFが行う栄養プログラムにおいて、新たに設けた重度の急性栄養失調の定義に基づいて治療が行われるよう尽力している。並行して、重度の栄養失調に陥る危険性がある子どもに対しては、食糧事情の最も厳しい数ヵ月間は栄養補給を行っている。


ギダンルンジ群で
MSFが運営する栄養治療センター
Q. 現在どのような状況ですか?
A. 例年通りの厳しい年です。ハンガーギャップ(端境期の飢餓)が始まり、農村部の住民は食事の回数を減らすことを余儀なくされています。彼らは次の収穫期までの4ヵ月間、既に乏しい備蓄のミレット*を制限し、ミルクや豆などの食料を買うための少ないお金をやりくりしなければなりません。食糧事情は家族ごとに差がありますが、3才未満の子どもの栄養状況は比較的似通っています。幼い子どもは主食にミレットを食べ、たまにミルクが加わる程度なので、栄養の偏りの影響を最初に受けます。急成長期の幼い子どもは特定の栄養素を大量に必要とします。しかしここでは、食物摂取量が豊かで多様な国々では一般的に使用されている、必須栄養素を豊富に含む特定の乳児食を手に入れることは出来ません。子どもたちは栄養不足のため感染症にかかりやすくなり、彼らの大多数が、身体が生存のために体内の蓄積エネルギーに頼り始め、次第に消耗していく急性栄養失調のレベルにまで達しています。重度の急性栄養失調の子ども4千人が、ギダンルンジ郡とマダルンファ郡でMSFが運営する栄養治療センターで治療を受けています。また、合併症を伴う重度の急性栄養失調の患者200人が、現在マラディの病院で治療を受けています。毎週およそ10人が亡くなっています。
Q. 子どもが栄養失調によって命を落とし続ける状況をどのように阻止できますか?
A. できる限り早期に治療することです。子どもが急性栄養失調に陥ると、免疫システムは正常に機能しなくなり、死亡する危険性が非常に高くなります。呼吸器感染症や胃腸炎などの子どもにとってはありふれた病気であっても、栄養失調の子どもの場合には、即座に合併症へと進行し、死亡の危険性が高くなるのです。大多数の子どもは、合併症を発症する前に最寄りの栄養治療センターで、そのまま食べられる栄養食品(RUTF)を用いた治療を受けます。また、耳感染やマラリアなどの合併症を伴わない病気に感染した場合には、適切な治療を受けます。医学的監視を毎週実施することで、子どもの体重が増加していなかった場合、あるいは病状が悪化している場合の迅速な対応が可能となります。約1ヵ月間にわたって子どもに栄養治療食を1日2回与えて、彼らの面倒を主に見るのは母親たちです。急性栄養失調児の95%が生後6ヵ月から3才までだということが分かっています。この年齢層はちょうど離乳期にあたります。離乳期は、母乳以外の固形食を食べ初めてから急成長期の終了までの、子どもの重要な過渡期にあたります。また、毎年の急性栄養失調のピークが、ハンガーギャップの時期の6月から10月と重なっていることも判明しています。
Q. 毎年見られる栄養失調の増加を未然に防ぐことは可能ですか?
A. 2006年は、中程度の段階で治療することにより、重度の急性栄養失調の増加を未然に防ぐことに成功しました。しかし、何千人もの子どもが5~6ヵ月という短期間に栄養治療センターに押し寄せました。さらに何万人もの子どもが栄養不足に陥って病気にかかりやすくなり、症状が悪化する子どももいました。2006年には栄養治療センターと診療所において実にのべ25万人の診察を行いました。
今年は、死亡の危険性が高い子どもの治療を栄養治療センターで行うことにしました。さらにギダンルンジ郡では、急性栄養失調になりやすい生後6ヵ月から3才までの子ども全員に対し、栄養補給の実施を拡大することにしました。私たちは、2006年の入院数に基づき、昨年はギダンルンジ郡でこの年齢層の子どもの半数が急性栄養失調にかかったと推定しています。そこで今年5月からは、RUTFを毎月4袋配給しています。栄養失調の危険性がある子どもには、毎日スプーン3杯分のRUTFを与えます。この分量には1日に必要な必須栄養素が含まれており、250キロカロリーが補給できます。これは通常の食べ物に加えて摂取すべき補助食品です。この配給は約6万3千人の子どもを対象に収穫期まで継続して行われます。病気にかかった子どもは栄養治療センターか、最寄りの診療所に搬送されます。今では、5才未満の子どもはニジェール保健省の医療施設で無料の治療が受けられるようになりました。
成果について評価するのは時期尚早ですが、MSFがRUTFを配給している地域の子どもに関しては、栄養治療センターへの入院数がやや減少してきています。さらに、この地域の子どもが入院施設への搬送を必要とする合併症を引き起こすケースも少なくなっています。これは明るい兆候です。
Q. 栄養失調による死亡の危険性がある子どもに照準を合わせるためにどのような基準を採用していますか?
A. これは重要な問題です。現在まで、重度の急性栄養失調による死亡の危険性が高い子どもを特定するための適切な基準はありませんでした。しかし先日、世界保健機関(WHO)がアフリカ、ヨーロッパ、アジア、アメリカの各地域の子どもを対象とする研究結果として新たな成長基準を発表しました。この研究では、飲料水とともに質と量の両面で十分な食べ物を摂取していれば、子どもはどの国であれ生後2年間は同じように身長が伸び、体重が増えることが確認されました。この新たな成長基準によって、死亡の危険性が高い栄養失調の子ども、特に生後6ヵ月から12ヵ月の年齢層により照準を合わせやすくなりました。以前の基準をもとにした場合、2006年にMSFのプログラムで受け入れた後に死亡した子どもの3分の1は重度の栄養失調に、3分の2は中程度の栄養失調に分類されました。WHOによる新たな「重度の急性栄養失調」の定義に基づき、これらの子どもの年齢層、体重、身長のデータを見直すと、死亡した子どもの80%が重度の栄養失調の分類に入ることが分かりました。この新たな基準を導入することで、死亡の危険性が最も高い子どもに対して医療を集中させることが可能になります。栄養失調になりやすい年齢層の子どもたち全員に栄養補給食品を配り、死亡の危険性が極めて高い栄養失調児に医療を集中させることで、子どもの栄養失調による病気の感染率、病気の発症件数、死亡率においてさらなる効果をもたらすことができると考えています。

*キビ・アワ・ヒエなどの雑穀類の総称

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