ウガンダにおけるマラリア治療 −患者と関係者の証言−
2007年05月10日掲載
クリスティーン・アヨオ(33)(患者)
「私が病気になったとき、お腹には一番下の子どもがいました。最初は、夜に熱が出ても日中には下がっていたので、医師のところへは行きませんでした。熱は2ヵ月ほど続きました。その後、病状が悪化して、嘔吐、咳、黄色の下痢の症状が表れました。医療機関で診てもらうように勧められ、「地域保健員(CORPS)」の診察を受けました。熱があると伝えると、彼らはいつから発熱したかと尋ね、熱を測りました。そしてどこが悪いのかは説明せずに、ファンシダールとパナドールを処方しました。その薬を服用すると、初めはいくらか良くなりましたが、再び発熱しました。結局4ヵ月間、熱が下がりませんでした。その後、国境なき医師団(MSF)の診療所を訪ねました。そこでは、さらに長く時間がかかりました。まず体重と熱を測定し、「パラチェック』で血液を検査しました。マラリアに感染していると告げられ、薬を処方されました。何の薬だったか覚えていませんが、2週間後、だいぶ良くなりました。今は何でもありません。赤ちゃんも元気です。」
ベティ・アコヨ(30)
アティマンゴ・フィオナ・アコヨ (生後17ヵ月)が「パラチェック』でマラリア陽性と診断。他に5 才から15才までの3人の子どもがいる
娘の具合が悪いので、MSFの診療所に連れて来ました。下痢をしていて高熱があります。熱が3日続いた後に保健省の診療所へ連れて行きました。診療所では娘の症状を尋ねられ、それからファンシダールを3錠、クロロキンを6錠もらいました。錠剤を二つに割って毎朝半錠、毎夕半錠飲ませるように言われました。ビタミン剤ももらいました。薬は飲ませましたが、良くなりませんでした。だからここに連れてきたのです。ここに到着すると、娘は体重と熱を測定され、血液検査を受け、マラリアだと診断されました。今は娘のために色々な錠剤を処方してもらい、満足しています。幼い娘がこれで治ると思うと、大変嬉しいです。」
マーティン・オケニー (40)(患者)とレイエット・グレース (40)
オケニーは語る。
「マラリアには一度かかったことがあります。2003年のことでした。症状はとても重いものでした。深夜に発熱し、朝には歩けなくなっていました。当時、ここには医者がいませんでした。ボランティアはいましたが、本当の医者ではありませんでした。そこで私の兄と妻がすぐに病院に連れて行ってくれました。兄がバイクの後ろに私を乗せ、約50km離れた病院まで運んでくれました。到着までに8時間かかり、道中、水を5リットル飲みました。病院に着くと医者が注射をしてくれました。私は大量に排尿し、脊髄に激しい痛みを覚え、そのまま意識を失いました。」
グレースが続ける。
「私はとても心配でした。オケニーのどこが悪いのか、だれも教えてくれなかったからです。オケニーが目を覚ました時、彼は話すことができませんでした。その後、注射はせず、いくつか錠剤をくれました。私は飲みやすいように錠剤を砕いて、オケニーに与えました。2週間後、医師はオケニーを治療出来なかったと私に告げました。彼はさらに約19km先のセント・ジョセフ病院へ行かなければなりませんでした。私は、病院からここへ戻ってきて、子どもたちの面倒を見なければなりませんでした。」
オケニーはさらに語る。
「目が覚めると胸と足に強い痛みがあり、体が大変火照っていました。セント・ジョセフ病院ではX線検査を受けました。しかし結果は知らされませんでした。実際、私がマラリアに感染していることも全く知らされていませんでした。私はカルテを見て、マラリアに感染していることを知ったのです。セント・ジョセフ病院に1ヵ月半入院しました。イブプロフェンなどのカプセル剤をもらいましたが、これらの薬が何だったのかは分かりませんでした。回復して退院できることになった時、さらに薬が処方されました。そして喫煙、飲酒、過労に注意するように言われました。」
エリザベス・アシロ(37)(患者の母)
「私には4人の子どもがいますが、そのうち2人がマラリアに感染したことがあります。2人の調子が悪くなったときには、水で冷やしてやりました。冷たい砂糖水を飲ませ、体力を維持させるためにサトウキビを与えました。2人の症状が非常に重くなった時に、MSFの診療所へ連れていきました。そこで血液検査を受け、薬を処方されました。今年2月、私が妊娠5ヵ月の時に腹部に痛みを覚えました。熱と嘔吐があったため、1日経ってから保健省の診療所へ行きました。パナドールと黒い錠剤を処方され、私は入院することになりました。出血が激しく、結局流産しました。胎児は全身、黄色でした。へその緒まで黄色でした。私がマラリアに感染していたからだ、と告げられました。」
ロバート・アニク(25) (MSFのクリニカル・オフィサー(准医師))
「マラリアは乾季にはあまり見られませんが、雨季になると1日最大で50人の患者を診ることもあります。すでに雨季が始まっており、これからマラリアの感染者が多数出ることは間違いないでしょう。」
「MSFで活動する以前には、マラリア治療にクロロキンとファンシダールを使っていました。患者10人のうち約5人はこれらの薬に何の反応も示さず、症状をぶり返すため、これらの患者にはキニーネを処方し、重症患者にはキニーネを静脈注射していました。現在はMSFの診療所で活動していますが、クロロキンとファンシダールを服用している患者が今もやってきます。彼らは、これらの薬を服用しても症状が改善しないため、MSFの診療所を訪れるのです。MSFではアルテミシニンと他の抗マラリア薬を併用する治療法(ACT)に「コアルテム」を使用しています。これは大きな副作用のない良い薬です。ただし、高価なのが難点です。」
「難しいこともあります。発熱と頭痛のある患者がここへ来て、自分はマラリアに感染したと言うのですから。ときには症状すら説明せずに、ただマラリアに感染したと言って、私に薬をもらいに来る人もいます。このような人には、パラチェックの結果では陰性だったと説明しなければなりません。発熱だけで、マラリアとは断定できませんから。」
「このあたりの薬局では、クロロキンやファンシダールを未だに販売しています。ここの住民は薬局好きのようです。薬局へ行けば、どんな薬でも注文でき、手に入れられるからです。」
「地域保健員は、クロロキンとファンシダールが入ったパックを、発熱を訴える人に配布していました。今はコアルテムも持っているようですが、今でもクロロキンとファンシダールを使っていると思います。
アイリーン(保健省の看護師)
「診療所を訪れる人の大半はマラリアに感染しています。私たちは患者を臨床診断し、発熱、悪寒がある場合、または、食欲不振や吐き気がある場合は、恐らくマラリアに感染しているであろうとします。血液検査は行いません。ようやく検査室を開設しましたが、今はまだ検査助手もいません。また、パラチェックも使用していません。MSFの診療所では見たことはありますが、ここにはありません。保健省は、パラチェックは高価すぎると言っています。」
「私たちはコアルテム、クロロキン、ファンシダールを使って治療をしています。地区の保健当局からは、クロロキンとファンシダールの在庫がなくなるまで使い続けるように、と言われています。だから私は、患者にクロロキンとファンシダールを処方しています。症状が改善しなければ、コアルテムを処方します。妊婦のマラリア感染者は月に5人ほど来ますが、第一期であれば、キニーネを投与します。それ以降の妊婦については、クロロキンとファンシダールを処方しています。」
「この地域には、約24人の地域保健員がいます。地域保健員は、マラリアなどの病気について住民に教育を行い、治療薬を配布しています。治療薬はNGOが提供しています。主にクロロキン、コアルテム、パナドールです。コアルテムの配布対象は、5才未満の子どもに限定されていると思います。大人の患者については、診療所に行くように指示することになっています。」
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