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エチオピアにおけるカラアザール・HIV/エイズとの戦い

2007年04月27日掲載

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エチオピアの遠隔地で1年間の国境なき医師団(MSF)での活動を終えてイギリスに帰国したキャロライン・ジー医師は、新たな視点で祖国を見た。「私は、標準体重が30キロというエチオピアで、やせ細った人たちを見慣れていました。イギリスに帰国してみると、たとえ標準体重の人であっても、誰もがとても太って見えました。」

ジー医師は、スーダンとエリトリアとの国境が交わる地点に位置するエチオピアのフメラ地区で活動を行った。ジー医師はここで、1997年にMSFが開始したカラアザール(内臓リーシュマニア症)対策プログラムに参加した。カラアザールはほとんど知られていない病気だが、スーダン、南アジア、ブラジルなどを中心に年間200万人が感染している。

カラアザールは、病原体の原虫を媒介するサシチョウバエに刺されることで人体に感染する。原虫は体内で増殖し、免疫システムを攻撃し、脾腫や発熱などの症状が現れる。治療を受けなければ、感染者の95%は死に至る。反対に、30日間の筋肉注射による治療を受ければ、治癒率は95%である。ジー医師は語る。「そういう点では、医師として非常にやりがいがある病気です。」

しかし、患者がHIVにも感染していた場合、治療ははるかに困難を極める。フメラ地区では、移民労働者が多く、売春をする女性の割合も高いため、HIV/エイズとカラアザールに二重感染していることも珍しくない。この様な場合には、カラアザールの治療を初めに行い、抗レトロウイルス (ARV) 薬の投与により可能な限り早くHIV/エイズの治療を行う。

しかし、HIV/エイズのために免疫システムが弱まっている場合には再発することが多く、患者はカラアザールの治療を繰り返し受ける必要がある。最終的に二重感染した患者が亡くなるのをキャロライン医師は目にしてきた。「患者が亡くなると気持ちがくじけそうになりますが、数ヵ月の間彼らの寿命を延ばし、生活の質を向上させることが出来たとは思います。ARV薬の投与を出来るだけ早く始めれば、カラアザールの再発を予防することが出来るのかどうかということが、重要な問いです。」

二重感染した患者の生存率が高くないことを考慮すると、HIV患者をカラアザールの感染から何としても守っていかなければならない。フメラ地区の人口の大半は移民の農業労働者であり、綿やゴマやモロコシを植えて収穫している。彼らの多くは低賃金労働者であるため、野宿する人が多く、そのためサシチョウバエに刺されやすい。全てのHIV感染者には殺虫剤を染み込ませた蚊帳を配布しているが、転売されることも多く、また野宿している人には使いようがない。

ジー医師が強調する問題の一つは、エチオピアの人びとの間でのカラアザールの危険性についての認識が不足している点である。HIV/エイズは急速に関心が高まっている一方で、カラアザールは幅広く知られていない。しかし、ジー医師は、昨年1年間でHIV/エイズの領域における変化に気付いた。「私が活動していた時期の後半には、積極的にエイズ検査を受けて、ARV薬を服用する動きが高まっていました。以前は、これが至難の業だったのです。HIV/エイズに感染したという強い羞恥心は今でも存在するため、人びとはHIV/エイズに感染したことを認めたがりません。けれどもこの地域に新たに開設されたアウトリーチ*センターで、ARV薬の無料配布や、このようなサービスを提供する指導を受ける人も出てくる中、MSFのHIV/エイズプログラムをエチオピア保健省に引き継ぐ日も近いと見ています。」


*こちらから出向いて、援助を必要としている人びとを積極的に見つけ出し、サービスを提供すること

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