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襲撃に脅かされる北部の住民

2006年05月12日掲載

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診察中のシモン・コリンズ。
マルコウンダ村郊外にて。

「車の音がするだけで人びとは林の中へと走り去ってしまうのです。私にとって最もショックだったのは、人びとの間に深く浸透したこの恐怖感です。」中央アフリカ共和国で国境なき医師団(MSF)の医療コーディネーターを務めるシモン・コリンズは語る。コリンズは2005年11月から、同国北部のチャドとの国境に近いマルコウンダ村の郊外で活動している。

コリンズは語る。「暴力が生活の一部になっているのです。移動診療の車に乗って道を進んでいると、しばしば焼かれた家々の前を通ります。完全に破壊され打ち捨てられた村を、次から次へと見かけるのです。何が起こったのかを確かめようと車をとめると、不気味な感覚にとらわれます。完全な沈黙に取り囲まれるのです。そこで30分ほど待っていると、人びとが林の中からそっと姿を現し始めます。話をしているうちに、今や彼らは車がやって来る音を聞くと、男たちが車でやって来て村を焼き討ちにし人びとを殺すのだと考えていることが分かってきました。恐怖は続いているのです。私たちがたとえ診療のためにやってきたのだとしても。」

中央アフリカ共和国北部は、政府軍と反政府勢力間で続いている紛争の舞台となっており、住民は過酷な状況を耐え忍んでいる。戦闘は2005年6月以来同国北部へと拡大し、もともと経済基盤の弱いこの国に、他のさまざまな被害と共に保健システムの完全な崩壊をもたらした。コリンズは語る。「紛争は国の保健医療に重大な影響を与えました。特に北部では、経済的な問題によって人びとの収入は大幅に足りなくなり、ほとんどの人は保健医療のためにお金を払えなくなってしまったのです。」


移動診療の様子。
マルコウンダ村郊外にて。

新たな暴力の勃発、保健医療の崩壊、住民の避難を受けて、MSFは2005年11月、マルコウンダ郊外の2ヵ所で移動診療活動を開始した。恐怖心から、また距離のために、人びとがマルコウンダまで移動することは難しい。そのため移動診療という形で医療を届けている。「当初はとても奇妙な感じを受けました。私は以前にもスーダンのダルフール地方などの紛争地域で仕事をしたことがありますが、手助けしようとしている人びとがこれほどまでに激しい恐怖を抱いていたことはありません。たとえば、ある村での診療の際には400人が集まりました。村人の一人が突然、遠くから車の近づく音が聞こえる、と言ったかと思うと、400人全員が立ち上がってあっという間に林の中に逃げ込んでしまったのです。残されたMSFのスタッフは呆然自失です。」

住民への襲撃は激しく、また繰り返し行われた。ある村では、襲撃者たちは498戸のうち494戸を焼いた。コリンズは話す。「襲撃は非常に集中的なものです。2005年12月に起きたものでは、1日に930戸もの家が焼かれました。明らかに住民が標的にされているのです。その1週間後、私たちは何とか必要としている人に医療的な処置を施すほか、ビニールシートや毛布、石鹸などの物資を配布することが出来ました。」

MSFチームは数ヵ月のうちに増強され、派遣ボランティア5人と現地スタッフ30人にまで増えた。チャドとの国境沿いの10ヶ所で移動診療を開始し、ほとんどの場所には2週間に1回のペースで訪問している。チームは1ヵ月に合わせて4千件以上の診察を行っている。移動診療では提供できない集中的な治療を必要とする患者のために、マルコウンダにはベッド数16床の24時間体制の病院も開設した。毎週10~15人の患者が入院し、外来部門では数百人が治療を受けている。

「アフリカの他の紛争地域と比較すると、患者の数はそれほど多くはないかもしれません。私たちの活動で対象となるのは、合わせて約1万人です。数週間のうちに地域搬送病院での活動も始めるため、この数は3万人に増えるでしょう。彼らの多くは恐怖から林の中に身を隠している人びとで、医療を絶対的に必要としています。医療的なケアだけでなく、自分たちが忘れられていないと感じられることが、同じくらい重要なのです。」

国境なき医師団の活動(2006年4月時点)

中央アフリカ共和国北部のマルコウンダで、派遣ボランティア5人と現地スタッフ30人からなるチームが、病院1ヵ所と10ヵ所での移動診療の運営を行っている。また2006年5月には、マルコウンダから南に70kmの地点にあるボギラコタの地方搬送病院の支援も開始する。

現在、数千人が中央アフリカ北部からチャド南部の町ゴレ周辺へと避難している。ゴレでは外国人派遣ボランティア6人と現地スタッフ数十人からなるチームが、基礎医療の提供に主眼をおき、週平均800件の診察、栄養治療、水・衛生環境の整備を行っている。

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