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「多くの被害者にとって、痛みが消え去ることはない」-性的暴力の被害者の治療-

2005年10月28日掲載

リベリアでは14年にわたる内戦を通じて、レイプなどの性的暴力が戦争の道具としてあまりにも頻繁に振われてきた。内戦が2003年8月に終結して以来、国の武装解除が進められているが、性的暴力は現在も続いている。少女を含めたリベリア人女性の40%以上が、なんらかの性的暴力を過去に受けたことがあると推定されている。


リベリア人カウンセラーの
トレーニングを行うシンガー看護師

国境なき医師団(MSF)は、性的暴力の被害者に治療を提供するため、首都モンロビアにあるベンソン病院および、その北にある3つの国内避難民キャンプ内に、治療とカウンセリングのための診療所を開設している。モンロビアには、この国の人口の60%が集中している。またモンロビアの北東に位置するニンバ州でも、性的暴力に関連する問題への取り組みを開始した。

レベッカ・シンガーは、米国コロラド州デンバー出身の看護師である。彼女は5カ月前から、ベンソン病院の診療所でレイプなどの性的暴力を受けた人びとに治療と支援を提供している。以下は、彼女自身によるこれまでの活動の報告である。

ベンソン病院は現在、モンロビアで唯一、女性と子どもに医療を提供する病院である。人びとがこの病院に来る理由は、マラリアや重度の下痢などこの地域でよく見られる病気から、妊娠までさまざまである。MSFはこの病院内で、性的暴力の被害者のための診療所を運営している。診療所に来る人の多くは、近所の人や警察官から話を聞いたり、外来病棟でソーシャルワーカーから案内を聞いてやって来る。ここでは性的暴力の被害者は誰でも支援を受けられ、また自分の身に起きたことについて恥じる必要はないと聞いて来るのである。


広報用に作った看板

「何か悪いこと」が自分や子どもの身に起こったときはベンソン病院に行くべきだという話が、テレビや電話がないにもかかわらず、モンロビア中に広まっているようだ。MSFは、地域の人びとの性的暴力に対する意識を高めるため、活動についての広報をより広い地域で行うことを計画している。これまでのところ、女性に暴行を振う男性の絵が描かれた看板を3カ所に掲示した。看板には、「レイプされた?今すぐ無料の治療を受けなさい。」という単刀直入なメッセージが書かれている。画家がこの絵を提案したとき、私はあまりに生々しすぎることを心配したが、リベリア人の同僚はこれくらいの強烈さは必要だと断言した。

現在、診療所では1日におよそ6人から15人を診ている。診療所を訪れる人は、数限りない被害者のほんの一部にすぎない。患者は、診療所の外にあるベンチで辛抱強く順番を待つ。小さな子どもをおぶったり、乳を与えたりしている母親。視線を合わせようとしない思春期の少女。彼女たちに付き添って身動きもせず座っている男性。皆一様に黙っている。

彼らは「カウンセリング室」と書かれた部屋へ入る順番を待っているのだ。女性であれ、男性であれ、または子どもであれ、患者が部屋へ入ると、ドアには鍵がかけられて、自分の身に降りかかったこと、または家族や友人の身に起きたことについて自由に話すことができる。

2年、4年、あるいは6年も前に被害にあい、それ以来腹部や背中に痛みがあると訴える女性が、毎日あとを断たない。

ある女性は1992年に、戦闘を避けようと村から逃げた後、検問所で8人の兵士にレイプされたことを話した。彼女は2003年にも再び集団レイプにあった。これまでの5カ月、この部屋で語られた話はすべて、それぞれまったく別の話なのに、私にはどこか聞き覚えのあるものとなった。反政府軍兵士や政府軍の兵士たちがやって来て、家長である男性を殺害または殴打した後、その家のすべての女性をレイプした、といった話をよく聞く。また、軍の指導者、たいていは反政府軍の指導者に女性が連行され、料理や洗濯、そして性行為を強いられるといった性的奴隷の事例もある。

診療所では、内戦中に性的暴力の被害に遭ったという患者が大多数を占めるが、つい最近性的暴力を受けたという人もたくさんいる。日々の診療から、子どもに対する性的暴力がしばしば発生していることがわかる。ここで治療を受ける患者の約3分の1が18才未満である。カウンセリング室には、おもちゃやクレヨンや紙が置いてある。たいてい、これらをきっかけに会話を始めることができるが、決して簡単な作業ではない。最近は夜間、1人で外にいる若い女性を、少年が集団で手当たり次第にレイプするという話を頻繁に耳にする。ここでは日が沈むのが早く、シャワーやトイレは外にあることが多い。同僚たちが言うように、夜に1人で外に出るのは「非常に危険」なのである。

診療所にくる性的暴力の被害者に対しては、性感染症、HIV/エイズ、または望まない妊娠を予防するためにさまざまな薬を処方する。また患者の健康状態を調べ、法的に訴えると決断した場合には裁判で使えるよう、診断書を出す。そして彼女たちを抱擁し、いつでも訪れることができ、安心できる場、恐ろしい体験を忘れることができる空間を提供している。

しかし多くの被害者にとって、痛みが完全に消え去ることはない。私は、痛みを消し去ってくれる薬や注射はないと説明する。心臓や頭が痛むのは、恐ろしい体験をしたからであり、恐ろしい体験は体に痛みを与えるのだと話している。また、心に深い傷を負うことで身体に様々な症状が現れるという考え方を説明しようと努力している。そして、友人や姉妹、叔母などと話し、苦しみを分かち合うこと、それを継続することを勧めている。これが私にできるすべてであり、それを理解してもらえることを願っている。時々、私たちの活動は不十分なのではないかと不安になる。ここに来る女性、子ども、男性は、来る前より希望を失って帰っていくのではないかと・・・。

しかし、痛みがようやく消えたと話してくれる女性や、再受診のときに、はにかんだ笑顔を見せ、しがみついてくる幼い少女がいる。また、リベリア女性のために活動していることを私たちに感謝してくれる男性もいる。戦争の傷から回復しつつあるリベリアで、いくらかの希望を与えることができていると感じられるのは、そのようなときだ。

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