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ソマリア

活動の背景:武力紛争、風土病/伝染性疾患、自然災害
活動スタッフ:654人

2006から2007年にかけて、ソマリアの政治情勢はイスラム法廷会議と暫定連邦政府の間の戦闘、そしてエチオピア軍の存在もあり、極めて不穏なものであった。

莫大な援助ニーズが存在するにもかかわらず、人道援助・医療援助がほとんど提供されていないこの国では、武力衝突により状況が再び悪化した。1991年以来、ソマリアには実効的な中央政府も、公共の医療サービスも存在しない。ソマリアで悪化している人道的状況を繰り返し声高に伝えることが、国境なき医師団(MSF)には求められていた。

飢饉、干ばつ、洪水、そして軍閥と外国軍との間で起きる相次ぐ武力衝突に加え、公共の医療サービスが存在しないために、推定で1150万以上の国民の大半が基礎医療を受けられずにいる。女性や5才未満の子どもは、特に弱い立場にいる。妊産婦の10人に1人は出産時に命を落とし、5人に1人以上の子どもが5才の誕生日を迎える前に亡くなっている。

わずかに存在する医療サービスも、民間による非常に高額なものであり、大半のソマリア人には手が届かない。多くの人びとが下痢や呼吸器感染症など、簡単に治療できるが医療を受けなければ命に関わる病気に苦しんでいる。またソマリアは、世界で最も結核の感染率が高い国の一つである。顧みられない熱帯病であるカラアザール(内臓リーシュマニア症)は数千人の命を奪い、はしかやコレラなどの感染症が発生することも珍しくない。

MSFは1991年よりソマリアで医療ケアを提供しており、基礎医療・二次医療サービス、顧みられない病気の治療、緊急外科手術を包括的に行っている。2006年と2007年には、活動を増加、拡大させ、ジャマアメ、ガルグドゥード、ベレドウェインの各地域で新規のプログラムを開始した。2007年初めに開設したベレドウェインの病院では、最初の2ヵ月で大規模な外科手術95件と、軽度な外科手術33件を行った。既存のプログラムにおいても、活動が大幅に増加した。たとえばバコール地方のフドゥールにある大規模な診療所では、カラアザール患者の診察件数が2004年から2006年にかけて530%増加し、外来診療の数も58%増加した。

モガディシオからの避難民

ソマリアにおけるMSFのあらゆる活動も、治安の悪さの前には及ばない。2007年の初めにモガディシオで勃発した戦闘により、30万人以上が避難した。その多くは家族や友人の所に身を寄せたが、モガディシオ近郊のいくつかの町で、MSFは数千人が食糧、水、医療がないまま屋外で生活しているのを発見した。

MSFは、モガディシオの西30kmに位置するアフグーエの町と、ジョハールからモガディシオに向かって陸路で2時間の所に位置するバラドの町で、緊急対応を開始した。アフグーエにおいて、MSFの現地スタッフチームは既存の医療機関に医薬品を提供し、3500世帯以上の住民にビニールシートを配布した。コレラが発生する恐れがあるため、清潔な水の供給は最優先事項であった。MSFは給水トラックで避難民に連日7万2千リットルの清潔な水を提供した。バラドでは食糧を配布するとともに、1300人の子どもにはしかの集団予防接種を行った。また、臨時の外来診療所を設置し、1日約80件の診療を行った。さらにMSFは、モガディシオの北に位置する小さな港町アルマーンでも集団予防接種を実施した。

アフグーエに逃れた避難民の一部はモガディシオに帰還したが、多くの人びとはお金が足りず、あるいは家が盗難、あるいは破壊に遭ったために戻ることができなかった。MSFの現地スタッフは戦闘が続く間も、治安の悪い中でモガディシオのヤクシド地域における一次医療診療所の運営を継続した。戦闘によって多くの公共の建物が破壊され、機能していたわずかな公立病院も閉鎖された。首都モガディシオでは特にコレラが憂慮され、MSFは2007年3月に、ヤクシドの南にあるフォルラニーニ地域にコレラ治療センター(CTC)を開設し、2007年半ばまでに1300人以上の患者を治療した。

5月初め、MSFはモガディシオに小規模なCTCを新たに開設した。コレラの患者数は減少していると見られるため、このセンターは現在、5才未満の子ども向けの外来診療所に転用されており、1日約90人の患者を診察している。治安の悪化が続くため、モガディシオの住民が診療所へ辿り着くのは非常に困難である。

治安が悪化する中での活動の継続

モガディシオにおける治安の悪化は例外的なものではない。残念なことではあるがMSFは時として、スタッフや患者に対する暴力あるいは暴力の危険のために、医療活動を中断せざるを得ない。外国人派遣スタッフが一時退避を余儀なくされる時には、MSFは現地スタッフの管理下でプログラムの運営を続ける。ソマリアでは、現地スタッフがMSFの活動の中核を担っている。

2006年末に発生した戦闘の結果、少なくとも負傷者250人がディンソールの複数の医療施設で治療を受けた。2006年12月27日には軍の代表がMSFの医療施設に立ち入り、MSFが雇用しているソマリア人医療スタッフに圧力をかけ、全ての入院患者のカルテを没収した。この深刻な事件を受けてMSFは、スタッフや患者の安全性への重大な懸念を正式に表明した。

MSFは1991年からソマリアでの活動を行っている。