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ロシア連邦/北コーカサス

活動の背景:武力紛争、社会的暴力/医療からの疎外
活動スタッフ:331人

12年前、ロシアからの独立要求の後にチェチェン共和国で起こった2度にわたる紛争は、物質的な破壊だけでなく、人びと心に深い傷を残した。心理社会的カウンセリングは、国境なき医師団(MSF)が同国で行う活動において重要な要素である。

公式には政権の正常化と情勢の安定化が報じられているにもかかわらず、治安は未だに不安定である。チェチェンやロシア隣国の北コーカサス地方で暴力が急増し、MSFは医療ケアを含め、住民の多くのニーズが未だに満たされていない状況を目の当たりにしている。チェチェンの首都グロズヌイでは、避難していたイングーシ共和国から帰還したものの自宅が破壊され、生計を立てる手段が無い難民が暮らす一時宿泊センターにおいて、MSFの移動診療チームが基礎的な医療ケアを提供している。MSFはまた、グロズヌイで2つの診療所の修復を行い、無料の薬局を運営している。薬は、MSFの医師の監督の下に処方、配布が行われている。MSFは母子保健に重点的に取り組み、チェチェン人のMSF医師が小児科、婦人科、性と生殖に関する健康と家族計画相談について、ひと月あたり合計約3千件の診療を行っている。経済的に衰退している遠隔地のシェルコフスコイ地区では、MSFが一次医療を提供する診療所を運営し、月におよそ1000人の診療を実施し、シャトイ、シャロイ、さらにイトゥム・カリの地区病院の支援を行っている。

結核については、直接監視下短期療法(DOTS)を行う治療プログラムを、人口30万人をカバーする4つの結核診療所を支援する形で行っている。チェチェンの保健医療システムは、結核治療の基本的な計画と治療のための財源が不足し、機能している診療所はチェチェン全土で5ヵ所のみである。MSFは結核治療においてDOTSを実施し、さらなる回復のために高カロリーの栄養治療食品を補助的に患者に提供している。このプログラムでの治療成功率は高く、さらに、患者が困難で長期にわたる治療を順守できるように支える結核教育チームの取り組みがこれを強化している。

2006年7月、MSFは、負傷時に適切な治療を受けられずに、手足の切断などの重症を負った戦傷者に対する再建外科プログラムを、グロズヌイ病院9号で開始した。2007年5月までに、200件以上の外科治療が行われた。MSFはまた、主要な公立の形成外科病院である同病院内で、脳神経外科病棟と形成外科病棟を支援し、暴力により負傷した患者の救命外科治療を行っている。

プログラムの縮小と閉鎖

チェチェンに隣接するイングーシ共和国では、援助対象であったチェチェン難民が大規模に帰還したことに伴い、小児科、産前・産後ケア、移動診療を通じた一次医療の提供などのプログラムのほとんどを終了した。首都ナズランにあるMSFの診療所では、自然発生的に形成された国内避難民の居住地区に残って暮らす住民に対する医療ケアは継続して行い、MSFの心理ケア専門家もイングーシ共和国で引き続き活動を行う。

モスクワにおけるストリート・チルドレンと10代の子どもたちへのプログラムは2007年3月、他のNGOに引き継いだ。MSFはこれらの子どもたちのために再社会化のワーキングモデルを展開した。これは、日々のアウトリーチ活動*や、施設においての医師や心理療法士、教育者やソーシャルワーカーによるフォローアップを組み合わせたものである。 『ストリートと社会の架け橋:MSFのモスクワのストリート・チルドレンへの援助の経験と分析(2003-2006)』と題する調査報告が2007年に出版された。